『特命刑事カクホの女』主演の名取裕子

 名取裕子が麻生祐未と凸凹コンビを演じる連続ドラマ第2弾。対照的なおばさん刑事が事件解決と犯人確保(カクホ)に迫る。最終回を控え、主演の名取が、これまでを振り返った撮影の舞台裏とは──。

最終話2時間スペシャル
すべての謎が明らかに

最近、私たちの世代が楽しめるドラマが少ないせいか、友達からの反応がすごくて。“(高橋)克典さんカッコいい”とか“あの人が怪しい”とか、いろいろ言われています。事件の謎解き、サスペンス、人情にグルメまで、今の時代ともリンクした内容で考えさせられることも多く、奥行きの深い作品だと思います

 と、主演の名取裕子。

 名取演じる北条百合子は元警視庁の内勤警官だったが、定年目前に神奈川県警の刑事部に異動。叩き上げ刑事の三浦亜矢(麻生祐未)との凸凹コンビで、犯人確保(カクホ)に迫る、秦建日子のオリジナル脚本。

 百合子が異動してきたのは、パートナーの晋作(鶴見辰吾)の殉職事件の真相を探るためで、第一発見者の亜矢を疑っていた。

「流行りの熟年婚じゃないですけど、老後を一緒に過ごそうと思っていたパートナーを殺された百合子。演じるにあたっては、恨んでいるはずの亜矢と仲よくしていいのかしら? などいろいろ考えました。亜矢はいつもクールで、ひとりになったときだけ悪夢にうなされ、苦しむという一貫性があります。

 でも百合子はシリアスな面もあるけれど、根が天然で、いつもはおとぼけ。亜矢より10歳年上のおばさんの気持ちになるためシーンごとに思ったことを楽しんで演じ、“ハッスル”といった言葉を使うので、ちょっと昭和の人のイメージです(笑)」

 名取と麻生は、4年前に同局『マルホの女~保険犯罪調査員~』でも凸凹コンビとして共演、今作でも息はぴったりだ。

祐未ちゃんは蒼い炎のように静かで、演技に集中、余計なことはいっさいしない。
 逆に私は、余計なことしかしていない。便所の100ワットだから。無駄に明るいの(笑)

 演技以外にも、巨大鍋で豚汁を作ったり、果物やお菓子、手作りのホットサンドイッチを差し入れたり、身体を温めるショウガ入りの紅茶を持って行くなど、座長として共演者やスタッフに気遣いをみせる行動に驚くが、

「“これは女優の仕事ではないですね”と。私はまかない担当スタッフのほうが向いているのかも(笑)」

 現場での思い出のひとつに、麻生も大喜びしたという廃屋での撮影で待機場所として用意されたテントを挙げた。

“熟女クラブ洞穴”と名づけて、プロデューサーや監督をおもてなしして、盛り上がっていました(笑)」

百合子は亜矢率いる三浦班のメンバーとともに事件の謎に迫る (c)テレビ東京

 最終回(3月9日放送)は2時間スペシャル。ラーメン店強盗事件を起こした男(石橋蓮司)が、晋作の死の真相に言及。殉職事件の犯人は誰なのか、すべての謎が明らかに。

「この回だけでも、十分お楽しみいただけます。見終わって“カクホ・ロス”になってください!」

クランクアップの
サプライズに号泣

ドラマの最大の見どころは、名取さんと麻生さんの掛け合い。表面上のおとぼけに加えて、腹の探り合いという二重構造になっています。おふたりでなければ成立しませんでした」と語るのは、山鹿達也チーフプロデューサー。

「圧倒的な存在感のある名取さんはもちろん、本格的な刑事役は初めてという麻生さんの班長ぶりも見事でした。チームワークもよく、にぎやかな撮影現場でした」(山鹿CP、以下同)

 クランクアップでは、名取が号泣したという。

「最終日は、百合子が土砂降りの雨の中を走るシーンだったので、名取さんおひとりでした。でも、すべての撮影が終わったとき、麻生さんと三浦班のメンバー全員が登場するというサプライズがあって、名取さんはびっくり。感激で、号泣していました。大どんでん返しもある本作。結末はもちろん、百合子が“カクホ!”と声をあげるのか、見届けてください」

■“カクホ”名物のグルメシーン

名取と高橋、実は出身校が同じ! (c)テレビ東京

 百合子が如月らとおいしいものを食べるシーンが登場するのは、このドラマのお決まり。最終話では、驚きのシーンで、百合子はハンバーガーをパクつくので、お楽しみに! ちなみに、演じる名取と高橋は、青山学院大学卒業の先輩後輩。母校の箱根駅伝優勝の話題で盛り上がったそう。