ゴールインしたカップルの4組に1組が再婚という時代。それに伴い、子どもを連れて再婚し、新たな家族を築く『ステップファミリー』も増えているという。
再婚を考えたのは長男の存在
シングルマザーとして働きながら、長男(16)と障害のある次男(13)を育ててきた伊藤みかこさんは、5年前にお見合いで子連れ再婚した。
現在の夫との間に授かった三男(3)をはじめ、伊藤さんの母も含めた6人の大所帯で暮らしている。
「まるで地獄だった」と振り返る前夫との離別を経て、新しい家族のカタチにたどり着くまでを聞いた。
「再婚にはそんなに前向きではなかったんです。前の結婚が悲惨だったので、そういう気持ちになれなくて。でも、うちの母に“あなたひとり残して死ねないから、とにかく結婚してくれ”と説得されてお見合いしたんです。写真を見たら、(現在の夫が)すごくカッコよかったので、いいかなと(笑)」
再婚を考えたもうひとつの理由は、長男の存在だ。「男の子だし、自分とは性が違うから、思春期になったときに相談に乗ってあげられないのではと不安で。男の人がいて、お兄ちゃんのサポートをしてくれたらいいと考えました」
長男が小学校高学年のとき、伊藤さんは、“ママ、お兄ちゃんと結婚しようかな”と言ったことがある。たわいないやりとりを期待してのことだったが、
「“僕とは結婚できないよ”と思い切りはっきり言われて、ハッとしました」
母親と息子への思いを胸に臨んだお見合い。家族ありきの伊藤さんを、現在の夫はそのまま受け止めてくれた。
「前の結婚については、“悲しいことだから、もう話さなくてもいい。これからは僕が養うから結婚してほしい”と、見合いの3か月後に言われました。実は主人の両親も1度離婚していて、お義母さんは再婚されています。そんな経験をしているから、長男を主人の籍に入れるときも“名字が変わるとかわいそうだから、変えなくていいよ”と気遣ってくれました」
楽しく子育てをやり直している
義母も、ことあるごとに“お兄ちゃん(長男)がいちばんだよ。子どもをいちばん大切にしなきゃだめ”と、夫に刷り込むように言ってくれるという。
「私も意識的に長男との時間を持つようにしています。障害のある次男については、私の母が主人に気を遣って、自分が面倒を見るから深く考えなくていいよ、と。長男もいろいろ我慢していると思いますが、(同じ家の)1階のおばあちゃんちが逃げ場になっているのはラッキーかな。母や義母、いろんな人のサポートがあって生活が成り立っています」
最初の結婚では子育てに非協力的な夫の浮気に苦しみ、「子育てはこんなにつらいのか」と感じた伊藤さん。いまは「子育てをやり直している感じ。こんなに子育てって楽しかったんだ」と毎日、幸せをかみしめていると話す。
子育てに追われる一方、医療系フリーペーパー『ゲンキのモト』の編集長を務めるなど多忙な毎日。だからこそ節目ごとに、家族そろっての食事や旅行を大事にしているという。
いまの願いは“いい出会い”をシングルマザーに提供することだ。再婚のとき、お世話になったお見合い相談所の荻窪支部を母が設立し、伊藤さんも一緒に事業を行っている。
「同じ境遇だった女性たちに、いい出会いの支援をしたいと思っています。ひとりで大変な状態のときって、寂しさから変な人にひっかかりがちですから」
いま、伊藤さんのお腹の中には第4子が宿っている。お互いに支え合いながら、ステップファミリーは新たな家族の歴史を紡いでいく。
■伊藤さんが母とともに事業を行う『お見合い相談所〜トレッフル〜』全国仲人連合会所属 ホームページ https://omiai-trefle.jp/
<取材・文/ガンガーラ田津美>