「大多数の国民は、佐川宣寿・前国税庁長官の証人喚問に納得がいかなかったと思う。これで幕引きにするなんて許されない。国会議員の仕事として、与野党を問わず、次は安倍昭恵夫人の証人喚問の実現に向けて動くべきです」
と話すのは、名古屋学院大学の飯島滋明教授(憲法学)。私たち主権者から国民の代表として選ばれた国会議員の責務だという。
「憲法41条で国会は『国権の最高機関』とされています。主権者から選挙で選ばれた議員で構成される国会に対し、行政が改ざんした文書を提出したということは、とりもなおさず主権者をダマし、愚弄したことになります。
誰が、何のために公文書の改ざんを行ったのか、徹底的に解明するのが国会議員の役割。私たちの財産である国有地が約8億円も安く払い下げられているわけですし、徹底究明しようとしない国会議員に国民の代表を名乗る資格はありません」(飯島教授)
衆参両院で実施された3月27日の佐川氏の証人喚問は、すっきりするどころかフラストレーションのたまる内容だった。森友学園の決裁文書改ざんへの関与については「刑事訴追されるおそれがあるので、答弁を差し控えたい」と頑なに口をつぐんでおきながら、安倍首相や昭恵夫人、麻生財務相らの指示はなかったと言い切ったからだ。
「想像以上にひどい内容でした。佐川氏は真相を解明しようとする態度ではなく、安倍政権をかばおうとする姿勢だけがよくわかりました。自民党議員の質問も、安倍夫妻らの疑惑を晴らすことに時間が割かれた印象です」
と前出の飯島教授。
おいしい役回りは積極的
質問に立った共産党の小池晃参院議員は「これでは証人喚問の意味がない! これ以上聞いたってしょうがない」などと語気を荒らげたほど。
さて、野党の求める昭恵夫人の証人喚問はいつ行われるのか。
全国紙政治部記者は、
「自民党内でも昭恵夫人に厳しい声は出ている。党三役の竹下亘総務会長は直近の講演で“安倍昭恵さんという存在が政権に迷惑をかけたことは事実”などと述べており、先行きは不透明ともいえる。しかし、それでも政権は、昭恵夫人の証人喚問は拒否し続けて死守するだろう」
と指摘する。
昭恵夫人は日本のファーストレディーとして、海外の要人夫妻らと高級ディナーを囲むなど“おいしい役回り”は積極的にこなしてきたといえる。気乗りしない話になった途端、隠れようとするのはひどくないか。
前出の飯島教授は、
「昭恵夫人が国会に出てくれば国民にはわかりやすい」
と話す。
「ウソをつけば偽証罪に問われる証人喚問で、何を話し、どういう態度をとるか。本当に隠し事は一切なく無関係ならば国民にもそれはわかるだろうし、信用されると思います。逆に隠し事があればそれも見抜かれるでしょう。国有地の売買交渉時に財務省理財局長だった迫田英典氏や、昭恵夫人付き職員だった谷査恵子氏も証人喚問すべきだと思います」(飯島教授)
このままでは、国民の疑念は永遠に晴れない。まずは、昭恵夫人の出番といえる。