連日芸能ニュースで話題を集める、元SMAPの稲垣・草なぎ・香取の3人。3月には3人によるデジタル配信曲『雨あがりのステップ』をリリース。4月30日からは、草なぎ・香取による新ユニット「SingTuyo(しんつよ)」の新曲『KISS is my life.』が配信されることも発表された。
YouTubeやTwitterなどを効果的に活用するなど、これまでジャニーズ事務所が「弱い」とされてきたネットでの活動にも注目を集めてきた。
いっぽうのジャニーズ事務所側も、これまでNGだった雑誌の表紙や会見写真のネット掲載が解禁され、ジャニーズJr.によるYouTubeチャンネルの開設など、ネットへの進出に意欲をみせている。
「ファンクラブに登録しているファンのもとには、誕生日にタレントからのバースデーメッセージカードが届けられるのですが、最近では、そこにQRコードが印刷され、読み込むと、タレントからのメッセージ動画が見られるようになっていました。
一昨年あたり、ITに強いスタッフが入り、本格的なネット進出も考えているという噂があったのですが、昨年あたりからデジタルチケットも本格導入されるなど、元SMAPの後追いや対抗意識でなく、ネット展開は視野に入れていたようです」
と、ジャニーズ事情に詳しい芸能記者が言う。
実はジャニーズにも、元SMAPのような配信曲が複数リリースされていることは、意外に知られていない。
「CDリリース曲に比べると、歌番組での披露やCMなどの機会が少ないぶん、正直、認知度は低いと思います。たとえば、中山優馬は主演映画『ホーンテッド・キャンパス』の主題歌『Feeing Me Softly』を2016年に配信限定曲としてリリースしています。KAT-TUNの中丸雄一も、主演ドラマ『マッサージ探偵ジョー』(テレビ東京)の主題歌『お疲れサンクス』を、上田竜也も同じく主演ドラマ『新宿セブン』(テレビ東京)の主題歌『未完成のアンサー』をリリースしています」(前出・芸能記者)
配信曲に関して、ある音楽関係者は言う。
「女子アイドルの世界でも、ハロー!プロジェクトなどは、積極的に配信限定曲をリリースしています。CD発売などの場合は、握手会やリリースイベントなどと連動して売り上げ枚数をかせぐ方法が定番になっているため、ファン以外の認知度が低くなることもあります。でも配信は、売り上げ枚数にとらわれず、多くの人により多くの楽曲を届けられるというメリットはあります」
配信の先駆けグループ
ジャニーズの場合、握手会などのイベントが行われる機会は少ないが、
「配信でのリリースは、ソロ名義のものが多いですよね。グループだと、連続1位記録がかかっていたり、売り上げ枚数が話題になるので、配信はソロが多いのかもしれません。A.B.C-ZのDVDシングルでのデビューのように、配信限定曲におけるビジネスのめどがたったら、先細るばかりのCDでのデビューではなく、配信デビューというスタイルで活躍する、新グループも出てくるのではと思います」(同・音楽関係者)
ところが、今から何年も前に、配信限定曲をリリースしたグループが、存在した。前出の芸能関係者は言う。
「SMAPです。2011年の5月にリリースされた『not alone ~幸せになろうよ~』という、『SMAP×SMAP』でもずっと流れていた曲です。これは香取慎吾の主演ドラマの主題歌として、もともとはCDシングルとしてのリリースが予定されていました。それが3月に発生した東日本大震災の影響で、流通面などを考慮し、配信限定でのリリースに切り替えたという経緯があります。
SMAPはそれ以前にも、例えば2004年12月に2日間限定で『Song of X'smap』を配信するなど、ジャニーズのデジタル配信の先駆け的な存在ともいえます。今の彼ら3人の配信曲も、そう考えると、『CDを出せない』というよりも『配信で多くの人に聞いてもらう』という、SMAP時代のスタンスを受け継いだとみることもできるかもしれませんね」
ネットで聞けるジャニーズ曲が、ますます増えていくことだろう。
<取材・文/渋谷恭太郎>