野性爆弾くっきー 様
今回勝手に表彰するのは昨年後半から大ブレイク中の芸人、野性爆弾のくっきーである。芸人仲間から「あいつは天才」と長年言われ続けてきた男だ。
展覧会『超くっきーランド』を開けば大盛況、なんと台湾・台北でも開催され、1か月の会期中、現地に10万人もの人が訪れたという。独特のセンスのイラストとオブジェの数々が、今後はヨーロッパに進出し、よりワールドワイドな展開を計画しているんだとか。
トーク番組に出たら必ず紹介されるインスタの「顔マネ」芸も絶好調だし、例え王・フットボールアワー後藤輝基に「誰よりも速い300キロ出るエンジン積んでるけど、街中もその300キロでしか走れないバイク」と例えられたお笑い暴走機関車が、やっと時代とシンクロし始めたようだ。
……てな具合の記事は、いろんなところですでに語り尽くされていると思うので(笑)、私はマルチ過ぎるくっきーの才能の中でも、実は一番すごいのではないかと睨(にら)んでいる「ミュージシャン」の一面について書いてみたい。
レギュラー番組の『BAZOOKA!!!』(BSスカパー 毎週月曜21時)から飛び出し、最近話題になった企画バンド、ジェニーハイのことかって? いやいや、あれもメンバーにゲスの極み乙女。の川谷絵音や新垣隆がいたりしてすごいとは思うが、ホントはもうひとつ、パーソナルなパンクバンドをやっているのだ。
その名もTHE SESELAGEES(ザ・セセラギーズ)。吉本の芸人仲間と組んだOiパンクバンド。いろんなパンクフェスやイベントで神出鬼没に活動中。英国労働者階級に端を発したOiパンク、日本でも3本の指に入ると自負するマニアな私から見ても、セセラギーズはヤバイ。芸人の余技なんかでは全くなく、ちゃんとOiパンクをリスペクトし、聴き込んでいるのがわかるハイクオリティな楽曲群。パンク専門誌でインタビューを受けるぐらい本格的なサウンドなのだ。
そして、そのほとんどの作詞作曲を担当しているのが、ステージネーム・ニクグソタロウこと、くっきーなのである。すでにアルバムも2枚出しているのだが、通販とライヴ会場での物販のみで、一般になかなか流通していないのがまことに惜しい。YouTubeでも聴けるので、興味を持った方はセセラギーズで検索してみてください。
実はOiパンクの才能もすごい、そんなくっきーを「セセラギーズでもちゃんと活動してね」賞を勝手に差し上げて表彰したい。
そして、できれば鮫肌文殊率いるカルトOiパンクバンド・捕虜収容所とも対バンしてほしいなあ。ニクグソタロウさん、連絡お待ちしております!
<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。
<鮫肌文殊からお知らせ>
鮫肌文殊率いる捕虜収容所の次回のライヴはちょっと先で6月24日(日)梅田ハードレインにて。現在、新曲作りでスタジオにこもってリハーサルの日々。関東方面からのライヴ依頼も募集中です。