菅田将暉 撮影/伊藤和幸

「役者をやる意義、意味ってあってないようなものだと思っていたんです。でも賞をいただいたことで、その意味がハッキリしたというか。ちゃんと僕を選んでいただいたことを、間違いじゃなかったって証明し続けなければいけないと思ったんです」

 映画にドラマ、そして歌手としてCDデビューと、その活躍が止まらない菅田将暉(25)。しかも『日本アカデミー賞』最優秀主演男優賞をはじめ、『報知映画賞』『日刊スポーツ映画大賞』『毎日映画コンクール』『キネマ旬報ベスト・テン』の主演男優賞を受賞するなど2017年度の映画賞を総なめに。

「この仕事には“夢がある”って僕自身の経験で実感できたんです。25歳でアカデミー賞だなんて夢があるじゃないですか。夢、あったなぁって(笑)。役者である前に、ひとりの人間ですから。これからも、どんどん人生を楽しんでいきたいです」

 そんな菅田を“憧れの俳優”に挙げる若手も多く、それを伝えると、

「うれしいことですねぇ。僕は小栗旬、山田孝之世代で育って、よく憧れの先輩として名前を挙げさせてもらっていました。それが今や朝まで一緒に飲んだりしてるんですよ。人生、おもろいですわ!」

 大阪出身、関西弁を使ってちゃめっ気たっぷりに話す。

太鳳ちゃんはすごく芯のある女の子

 途切れることなく出演作が続く菅田だが、そんな彼が次に挑むのは少女漫画が原作の映画『となりの怪物くん』。行動予測不能な超問題児の高校生・春を演じている。

「高校生役ですから、まるで禊(みそぎ)のように1日2回髭(ひげ)をそりました(笑)。年齢のこともそうですけど、こういった生きづらさを感じて悩んだりする多感な高校生役は今しかできないなと。みんなで花火したりかき氷を食べたり、思いっきり青春を謳歌(おうか)しました」

菅田将暉 撮影/伊藤和幸

 ともにW主演を務めるのは、土屋太鳳。彼女もまたひっきりなしに出演作が続いているが、意外にも2人は初共演なんだそう。

「太鳳ちゃんはすごく芯のある女の子。女優さんって“女でもなく男でもなく女優という生きもの”って言葉があるけど、まさにそんな感じでカッコよくて。あんなに小さいのに5人分くらいのオーラとバイタリティーがあるんです。

 それでいて、ちゃんと女の子の部分も持ってる。例えば毎日、食材を持ち歩いていて、めかぶとか(笑)。まな板と包丁を持参して料理を作ったり、セルフプロデュース力がすごい。太鳳ちゃんこそ間違いなく怪物です」

 主人公2人の周りには気づけばたくさんの友達が。昔から友人関係で悩んだことはないという菅田だが、友達づくりの“コツ”は?

「正確には悩んでる時間がなかったんです。僕、昔はピアノに英会話にサッカー、ダンスととにかく習い事をたくさんやっていたので、忙しくて(笑)。その習い事で自然と友達ができました。友達というのはつくらなきゃいけないことはないんですよ。自然と仲よくなるやつが出てくると思うので、それでいいと思います」

 ちなみに今回の共演者には、同世代の役者がズラリ!

「撮影の合間にみんなで歌ったり写真を撮り合ったりして楽しかったし、いい友人になれそうだなって。でも結局、撮影後に連絡をとり合うことはなかったですね。互いに信頼はあるんですけど。これ、20代俳優あるあるですから(笑)」

■今後の夢は

「『あゝ、荒野』という作品で、韓国のヤン・イクチュンさんとご一緒させていただいてすごく刺激を受けました。アジア映画にハリウッド、まだ行ったことのない映画祭もたくさんあるし、世界は広いなと。もちろん日本も大事にしますけど、国内外問わず、いろんなことにチャレンジできたらと思います。まずは……英語、覚えます(笑)」

■しっかりしなきゃ!

「事務所に入ったときは、僕が唯一の10代でいちばんの末っ子だったんです。でも、いつの間にか後輩がたくさんできて。事務所の忘年会とかでもわざわざあいさつしに来てくれるんですが、年齢を聞いてビックリ。“ひと回りも下か~”って(笑)。自分が成長したかどうかはわからないけど、明らかに状況は変わっているので、しっかりしなきゃと思います」

<映画情報>
映画『となりの怪物くん』4月27日(金)全国公開
 予測不能な行動で周囲から恐れられる“怪物”こと春(菅田将暉)とガリ勉な冷血女子・雫(土屋太鳳)。当初、友達がゼロだった2人の周りには、いつしか多くの友人が集まっていた。初めての恋に友情――。不器用なキャラクターたちが織りなす、青春ラブストーリー。

(C)2018映画「となりの怪物くん」製作委員会 (C)ろびこ/講談社