オフィス北野のお家騒動もフリーアナウンサーの夏目三久が放ったセクハラ過去の告白も、週刊誌記者の合併号休みも吹き飛ばしたジャニーズタレント、TOKIO山口達也メンバー(46)による強制わいせつ事件。
一連の対処の中で明白になったのは、ジャニーズ事務所の時代を読めなくなった劣化だ。今までこんなことはなかった。
「考えてみれば、今の時代に、80代の人間が牛耳っている組織ですよ。それは対応できませんよ」
と同業のプロダクション幹部は突き放す。
ジャニー喜多川氏とメリー喜多川氏の二人三脚で帝国を築いてきたが、過去、どんな帝国も永遠だった試しはない。やがて落日は来る。その始まりが今回なのかどうかは、いずれ歴史がきちんと証明する。
ひとつの文書に注目する。
事件が明らかになった直後、ジャニーズ事務所が報道機関に送ったというか送り付けた文章がある。短文なので、全文掲載する。
【報道関係各位 お酒を飲んで、被害者の方のお気持ちを考えずにキスをしてしまいましたことを本当に申し訳なく思っております。被害者の方には誠心誠意謝罪し、和解させていただきました。2018年4月25日 ジャニーズ事務所】
「これって印象操作そのもののコメントですよね」と芸能リポーターはあきれ果て、こう蹴散らす。
「お酒を飲んで山口はキスをした、山口は和解した、文句ないでしょうという高圧的な文面ですよね。謝罪の誠意が伝わってこないし、高飛車。古臭い。ジャニーズ事務所が古臭いと思われたらおしまい」
好意のある互いがキスをしようとしていたら唇だけを触れさせることもできるが、嫌がっている相手にキスをする際は、力ずくの押し倒しなどキス以外の乱暴な行為が発生するのは当然。それを隠すようなコメントだ。
つい先日までジャニーズ事務所は、ウェブメディアでの所属タレントの写真掲載を許さなかった。肖像権を守るというのが言い分だったが、
「ウェブ戦略がなかっただけの話。今年になって写真の解禁、ラジコでのアーカイブ音声の解禁を打ち出したが、出遅れ感は否めない。それもこれも、お年寄りの会社だからでしょうね」
と、芸能記者は冷ややかだ。
ウェブメディアでの写真は、解禁された。でも制限がある。取材現場の使用は認めるが、二次使用は認めない。それをきちんと守っている一部スポーツ紙は、今回の山口による反社会的行為を報じる際でも、資料写真として使用していない。それほどまで、従順さを示している。
時代遅れの事務所と時代遅れのメディアが時代遅れの報道を繰り返していれば、時代の先を求める読者やファンに見放される。
山口メンバーの事件が示す潮目を、それぞれの立場で読み解く必要がある。
<取材・文/薮入うらら>