婚活ライターをしながら、仲人としても婚活現場に携わる筆者が、目の当たりにした婚活事情をもとに、様々なテーマを考えてゆきます。今回は、『原石くんを磨いてこそ実現するアラフォーの結婚』です。

婚活は原石を磨く研磨職人になる覚悟で!? (写真はイメージです)

桂子さんの交際終了理由

「誕生日にファミレスって、ありえないでしょ」

 こう憤慨していたのは、36歳の桂子さん(仮名)です。お見合いの後、おつきあいに入っていた、41歳、 IT関係の会社員の吉本さん(仮名)と3回目のデートをした時のこと。その日がちょうど、彼女の36回目の誕生日でした。

 彼氏いない歴3年。誕生日を男性にお祝いしてもらうのは、久しぶりのこと。どんなお祝いをしてくれるのか。心はずませてデートに行ったそうです。

 待ち合わせは土曜日の夕刻、約束の場所に彼は車でやってきました。

「車に乗り込んだら、『お誕生日おめでとうございます。肉が好きだって言ってましたよね。肉を食べに行きましょう』」

 そういってつれていかれたのが、お肉系ファミレスの『B』でした。

「誕生日のお祝いにファミレスだなんて、こっちがびっくり!ですよ。それに肉は肉でもハンバーグですから」

 ジョークをいいながらも、言葉はどんどんヒートアップしていきます。

「高いレストランを予約してほしいなんて言ってません。カジュアルなフレンチとかイタリアンでいいんですよ。で、最後にハッピーバースデーのケーキプレートが花火をパチパチさせながら出てくる、とか。まあ、私も36にもなって、そんな乙女チックなことを言ってるから、いつまでたっても結婚できないのかもしれませんけどね」

 桂子さんは自嘲ぎみに笑いながらも、「でも、ファミレスはナシでしょ」を盛んに繰り返していました。

 また、男性はなぜ、誕生日のレストランの選択にファミレスを選んだのか、桂子さんが肉好きだったという理由の他に、こんなことも言ったようです。

「今日は、車だったんで、駐車スペースがある場所がいいかなと思って」

 これについても桂子さんは、こんなことを言いました。

「『車で行きます』って言われた時に、“じゃあ、お酒は飲まないんだ”って思ったんです。でも、まだお会いするのが3回目だったし、『お祝いなんだから、シャンパンで乾杯したい』とかも、遠慮して言えなかった」

 このあと2人は、交際終了となりました。

「ゆっくり食事できるように個室を予約しました」

 45歳女性、美由紀さん(仮名)のこんな話もあります。51歳の男性、恩田さん(仮名)とお見合いをし、交際に入りました。初めてのデートの時のこと。「ゆっくり話せるほうがいいと思って、個室を予約しました」とメールがきました。

 待ち合わせは、金曜の東京・新橋。駅前にある機関車の前に19時。新橋といえばサラリーマン御用達の居酒屋天国ですが、きっと駅から少し離れた裏通りに、静かでこじゃれた大人の隠れ家的なレストランがあるのだろう。そんな期待を美由紀さんはしていたようです。

 待ち合わせの場所に行く前に、駅のトイレで入念なメイク直しも怠りませんでした。そして、機関車のところに行くと、彼がすでに立って待っていました。

「お待たせしてすいません」

「いえ、僕も今きたところですよ。さあ行きましょうか」

 そこから連れていかれたのは、駅からほど近い飲み屋の入った雑居ビル。

「えっ、ここ????」 

 彼女の頭は「?」だらけでしたが、彼は何の迷いもなくエレベーターに乗り込み、6階を押しました。降りるとそこは、サラリーマンで賑わう居酒屋さん。

 入り口で、彼は店員さんに言いました。

「予約した恩田です」

 彼女は私に、その時の様子を苦笑いしながら、こう話してくれました。

「“個室”っていっても、テーブルとテーブルの間がパーテェーションで仕切られているスペースだったんですよ。だから、隣の声が丸聞こえ。パーテーションの隙間から4人組のサラリーマンが見えたし。『夜景が綺麗でしょ』って、恩田さんがおっしゃったけど、窓の外から見えるのは、雑居ビルの飲み屋の看板ばかりでした(笑)」

 そして、お会計の段になり、美由紀さんが、「お支払いは?」とお聞きすると、「3000円でいいです」と。お会計は、2人で7千円弱でしたから、女子割のお会計となりました。

 この2人もデートの後に、美由紀さんのほうから、「交際終了」を出しました。

婚活男は女性の喜ばせ方を知らない

 誕生日にファミレスに連れて行かれた、桂子さんは言います。

「お見合い市場にいる男性って、恋愛をしないままに年を取ってしまった人が多いんですよ。だから、会話も下手だし女性の喜ばせ方を知らない」

 初めてのデートで、新橋の居酒屋に連れて行かれた、美由紀さんもいいます。

「予約をしておいてくれた恩田さんは、まだいいですよ。待ち合わせしたのはいいけれど、行く店を決めていない男性もいて、『どうしますか?』『知ってるお店はありますか?』と、街中を歩き回ったこともありました」

 確かに婚活市場にいる男性は、女性慣れしていない。その通りだと思います。でも、この2つのデートが学生時代や20代前半のことで、お相手が気心知れた同級生や会社の同僚だったら、女性たちも、「あのね、誕生日にファミレスはナシでしょ」や、「パーテーションは個室と言わないよ」と、遠慮なく言えたはずです。

 また男性たちも、そうやって女性に教育されながら、フラれながら、“あ、記念日にファミレスはダメなんだ”とか、“パーテーションの仕切りは個室扱いじゃないんだ”と学び、女性が喜ぶレストランを検索したり、楽しいデートコースを研究したりするようになったでしょう。

 ただ、そうやって学生時代や社会に出てから、恋愛をしていた男性たちは、もう結婚しています。すでによその女性のものです。

 結婚平均年齢をご存知ですか? 男性が31.1歳、女性が29.4歳(2015年、厚生労働省調べ)。女性に積極的にアプローチできる気の利いた男性は、20代で結婚相手を見つけ、30代でファミリーを築いているのです。

 前出2人の男性は、女性と付き合った経験が少ない(もしくはない)から、女性が喜ぶデートのやり方を知らない。ただ知らないだけなんですね。ならば女性側が教えてあげたらどうでしょうか。

 “誕生日のお祝いをしてあげよう”“ゆっくり話せるように個室を取ろう”と思った気持ちは、男性側のやさしさです。その男性のやさしさを上手く育ててこそ、いい関係が育めるのが30代、40代の恋愛です。

 逆を返せば、女性のエスコートが完璧で、金払いもいい。そんな男性が30代後半、40代、50代で独身というのは、何かがある! 結婚していない理由が、そこに存在しているのですよ。女性と遊ぶのは好きだけれど、結婚に縛られるのがいやな独身主義者なのかもしれないし、実は結婚しているのに、独身を装っている偽独身かもしれません。

 30代、40代の婚活女性たちは、原石を磨く研磨職人になる覚悟で、婚活に臨んでみてはいかがでしょうか?


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/