5月上旬の夕方、仕事を終えてタクシーで帰宅した政伸

「おふたりともかなりのご高齢ですからね。寿美さんも今はかなり衰弱されているようです」(芸能プロ関係者)

 寿美さんとは、高島忠夫の妻・寿美花代のことだ。87歳と86歳の夫婦は、現在ふたりとも身辺の世話が必要な状態になっているという。

「高島さんはすでに介護施設に入っているという噂もあります。自宅には寿美さんがおひとりで住んでいて、自宅介護の状態なんだとか……」(同・芸能プロ関係者)

 '13年に『カスペ!』(フジテレビ系)で、日常生活もままならない夫を寿美が懸命に支える“老老介護”の姿がドキュメンタリー番組として放送された。それから5年が過ぎ、寿美も介護される側になってしまったというのだ。

この番組は、やせ細った高島さんが弱々しい姿をカメラの前にさらしたことで話題に。会話中に眠り込んでしまうひと幕もあり、生々しい映像でした。当時82歳だった高島さんを支える寿美さんも81歳で、社会問題となっていた“老老介護”の実態を明らかにしたことで大きな反響を呼びました」(テレビ誌ライター)

 高島夫妻は芸能界きってのおしどり夫婦として知られていた。'63年に結婚して以来、ふたりそろってのテレビ番組出演も多くなっていく。

「'71年からは、料理番組『ごちそうさま』(日本テレビ系)に夫婦で出演。'98年まで続く長寿番組となり、ほのぼのとしたやりとりで仲のよさを見せていました」(スポーツ紙記者)

 '65年に政宏、'66年に政伸が誕生し、2人とも俳優の道へ。笑顔に包まれた高島ファミリーというイメージが定着していった。

'06年3月、BSフジの番組で家族そろって“イェーイ”ポーズを披露

「ですが、高島さんは暴飲暴食がたたって糖尿病に。'98年には重いうつ病になり、25年続いた『ゴールデン洋画劇場』(フジテレビ系)の解説も降板して治療に専念しました」(同・スポーツ紙記者)

 '07年には本格的に復帰を果たすが、パーキンソン病が追い打ちをかける。芸能活動を続けることはできず、表舞台から姿を消す。'10年には不整脈により心臓にペースメーカーを取りつける手術を受けた。

息子たちの結婚式・披露宴が行われなかった理由

寿美さんは献身的に高島さんの世話を続けました。足元がおぼつかない夫を支えてリハビリをアシストし、インスリン注射の手助けまでされています」(前出・芸能プロ関係者)

 '05年には、長男の政宏が女優のシルビア・グラブと結婚。'15年になると、次男の政伸が14歳年下の一般女性と再婚してようやく明るい話題がもたらされたが、結婚式や披露宴は行われなかった。父母ともに、出席できる状態ではなかったからだ。

「政伸さんがもともと繊細なタイプなので、仕事への責任感から精神的に不安定になることも。両親と同居して介護しようとも考えたといいますが、自分も医者の支えを必要とする状態では難しい。高島さんと寿美さんの世話は、ヘルパーさんが見るしかなかったようですね」(前出・スポーツ紙記者)

 現在の高島家は、どのような状況なのだろうか─。

 4月上旬、都内の高級住宅街にある高島家を訪ねた。玄関前には1台の自転車が置かれていて中からはカチャカチャという音が聞こえてくる。寿美が食器を洗っているのだろうか……。

都内にある自宅を何度か訪れたが、高島夫妻の姿は結局、1度も見られなかった

 近隣の住民に聞いてみると、

「最近、ふたりの姿はまったく見ていない」

「自宅はいつも、ひっそりと静まり返っている」

 など彼らがまるで自宅に住んでいないかのような証言ばかりが集まった。だとするとあの自転車はいったい……。数時間後に戻ってみると、玄関前の自転車は消えていた。

 4月中旬に再度訪問すると、今度は自転車ではなく1台の自動車が門の前に止まった。中から男性1人と女性2人が現れ、高島宅に入っていく。医師と看護師のようだ。車のフロントウインドーには、「訪問巡回中」と記されたプレートが置かれていた。診察が終わったのか、30分ほどで3人が出てきた。

 やはり高島は介護施設に入り、寿美も病院に通えないほど衰弱して、自宅での闘病生活を余儀なくされているということなのだろうか─。

 5月上旬、真相を確かめるために次男の高嶋政伸を直撃した。自宅マンションにマネージャーとともにタクシーで帰ってきた彼は、強風が吹き荒れる中でも足を止めて丁寧に答えてくれた。

─忠夫さんは施設に入院していて、ご自宅には寿美さんだけが暮らしているという話がありますが……。

「いえいえ。まだふたりとも自宅にいますよ。どこからそんな話が……」

 少し表情を曇らせたが、その場を立ち去ろうとはしなかった。

─寿美さんが忠夫さんを介護できないので、忠夫さんが施設に入られたのでは?

「いえいえ。ふたりとも自分で寝起きしていますよ」

 少し驚いた様子を見せたが、落ち着いて答えた。

「老老介護」はどうのような状況か

─ドキュメンタリー番組で“老老介護”の姿が放送されましたが、その後、お身体の具合はいかがですか?

もう高齢ですからね。1週間に1回、お医者さまに訪問してもらい、体調を診てもらっています。でもカレーとかステーキとかも食べるし、普通に暮らしていますよ

 ただ、自分たちだけで家事などをこなすことは身体的に難しいらしい。

ホームヘルパーさんに1週間を3人交代で入ってもらい、主に生活援助をしてもらっています。僕たちがいろいろ調べて、介護保険の範囲内でお願いできる訪問介護のサービスを見つけて利用するようになりました

強風の中でも立ち去るそぶりは1度も見せず、真摯に対応してくれた

─どのような生活援助を受けているのですか?

「食事の準備やあと片づけ、掃除や洗濯など家事全般をお願いしています」

 4月上旬に自宅を訪ねたときに見た自転車や食器を洗う音は、ヘルパーの訪問だったのだろう。

 政伸も仕事の合間を縫って、たびたび実家に顔を出しているようだ。

─政伸さんも、実家にお子さんを連れていったりするのですか?

そうですね。時間があるときには連れていくようにしています

 子どもの話になって、政伸からやっと笑みがこぼれた。

─ご両親にとっては初孫だと思いますが、どのようなご様子ですか?

やっぱり孫の顔を見るとより一層、元気になってくれますよ!

 最後に「お疲れさまです」と記者に会釈をしながら、自宅マンションの玄関へと足早に向かっていった。

「政伸さんは、昨年8月に長男を授かっています。初めての子で、両親にとっては初孫となります。

 政伸さんは『メレンゲの気持ち』(日テレ系)で、最初に両親のもとに連れていったときのことを話していました。寿美さんは涙を流して喜び、忠夫さんは“この子は必ずスーパースターになる!”と太鼓判を押したそうですよ」(前出・テレビ誌ライター)

 初孫の誕生が高島ファミリーを勇気づけ、明るい家族の絆をより強くした。