「今年の日本映画批評家大賞の授賞式が中止になったようなんです。26年続いた歴史ある映画賞だけに、関係者の間では動揺が走っていますよ」(映画配給会社関係者)
映画評論家の水野晴郎さんや淀川長治さん、小森和子さん(いずれも故人)らが中心となって創設した映画賞が存続の危機に瀕している。そんな状況を作り出したのは、水野さんの弟子として昨年まで批評家大賞機構の代表理事に就いていた“ぼんちゃん”こと西田和昭だろう。
「彼は機構の代表理事としてある会社社長に近づき信用させ、偽の業務委託書を見せて150万円の融資を依頼。それを信じた社長が融資するも、期限までに返済されることなく、警視庁に詐欺罪で告訴されたのです」(スポーツ紙記者)
映画賞を利用し西田が詐欺行為を行ったことを、週刊女性は'18年2月20日号で報じている。また、その件について彼を直撃すると、
「詐欺なんて意識はないもん。150万円だからね。日本映画批評家大賞をやっていて何千万円もお金を動かさなくちゃいけないなかで、150万円で詐欺してってあるわけないでしょ」
と開き直ったのだ。
「詐欺事件以外にも、昨年は借金取りが授賞式会場に来るなど、さすがに西田の金銭トラブルが問題になり、彼は今年に入って代表理事の座をT氏に譲ったのです。ただ、T氏は映画業界に近い人間ではないため、いろいろと問題が起きてしまったそうです」(前出・映画配給会社関係者)
問題山積のなか、2月下旬には選考委員が集まり、主演男優賞に『無限の住人』の木村拓哉。主演女優賞には『海辺の生と死』の満島ひかりを選出している。
ア然とした木村
「木村はSMAP解散でひとりだけ悪者扱いされる中、特に弁明することなくこの映画の撮影に臨んだことが高く評価されたそうです。所属事務所にも受賞の知らせは届いており、6月14日に予定されている授賞式に出席する予定でした」(芸能プロ関係者)
だが、機構が3月に入り押さえた授賞式会場は、100人規模のライブハウス。木村や満島が来るというのに5、6人入れば満員になる控室が1つしかないようなところだ。
「木村さんのような大物俳優を呼ぶのにそこでいいのかという意見が、機構の事務方や選考委員の間で上がったのです。昨年は池袋にある東京芸術劇場だったように、映画関係者や報道陣も含めたらとてもじゃないですが、ライブハウスなんかではできないですよ」(批評家大賞機構関係者)
結局、T氏は新たな会場を見つけることなく、授賞式を行うことを断念したという。
「授賞式がなくなったことを聞いた木村はア然としたそうですよ。授賞式が行われない映画賞をはたして彼らが受けるか、大きな疑問ですよね」(前出・芸能プロ関係者)
批評家大賞の授賞式中止について、機構の代表理事であるT氏は、
「西田さんから受け継ぎ、いろいろな面で改革する必要があったのですが、時間が足りなかった。今年は授賞式ができなくなり、水野晴郎さんには申し訳なく思っています。ただ、歴史ある批評家大賞そのものに価値があり、授賞式がないからダメという考えはおかしいのではないでしょうか。受賞者にはトロフィーなどを贈らせていただきます」
と答えた。だが、選考委員のひとりはこう反論する。
「選考委員はすでに解散していますし、これで賞を贈ったら、誰が選んだ賞なのでしょうか。残念ですが日本映画批評家大賞は終わったんです」
水野さんが亡くなって今年でちょうど10年。
彼は草葉の陰でどう思っているのだろう。