加山雄三

「幸せだなァ 僕は君といるときが一番幸せなんだ」

 船上の加山雄三はこれまで何度、このセリフを言ったことだろう。

 4月1日に自身の“愛船”『光進丸』を火災事故によって失った加山。1週間後の9日に予定していたコンサートを延期するほどに、かなりのショックを受けたという。

「死傷者が出なかったことが不幸中の幸いでしたが、船は加山さんの代名詞であり生きがい。会見でも“相棒が消えていく”“半身を失ったぐらいつらい”と心情を吐露していました。新造船についても“考えられない”と再度、船上の人となることをためらっているようでしたね」(芸能レポーター)

 そんな加山が船に乗る。7月7日から2泊3日で催行予定の『若大将クルーズ』に同行するのだ。客船『飛鳥II』によるクルーズツアーは、今年で開催10回目を迎える記念ツアーでもある。

加山雄三さんが名誉船長としてご乗船なられて、2日目の日にスペシャルコンサートを船上でしていただくことになります。

 ステージの合間にトークもされると思いますが、それ以外には名誉船長による船内放送などがイベントとして行われます

 そう話すのは、『若大将クルーズ』を含む『飛鳥クルーズ』を企画・運航する郵船クルーズ株式会社の担当者。

 『若大将~』は、昨年12月の販売開始時点で客室はほぼ埋まった人気ツアーだそう。加山は名誉船長として乗船し、乗客定員870人を誇る日本最大のクルーズ客船を“預かる”ことになるのだ。とはいえ、もちろん彼が舵を取るわけではない。

加山さんは船員服に身を包んで乗船客を迎えたり、ディナーでは乾杯や挨拶をしたりとエスコート役をこなします。

 運が良ければ船内で記念写真にも応えてくれますよ。ラウンジでは若大将シリーズの映画が流されるなど、ファンにとってはたまらないクルーズでしょう。そうそう、奥様の松本めぐみさんもいらっしゃることもあるそうです」(旅行代理店関係者)

 と、楽しみなツアー内容も、ここまでは例年であればのこと。加山は船長として船を沈めてしまったばかりだ。出火原因は特定できておらず、たとえ過失はなかったとしても、乗客にとって縁起がいい出来事ではないかもしれない。影響はないのだろうか。

「旅行会社様から頂いた時点での販売データと、(事故が起きた時期と)タイミングがずれていまして(いつ追加予約とキャンセルが入ったのか)詳細は把握できていませんが、若大将を、加山さんを励まそうと新たにご予約された方もいらしたでしょうし、逆にキャンセルした方もいらしたのかもしれません。

 ですから全体の数、総トータルとしては当初から変化はありません」(前出・郵船クルーズ担当者)

 多少の増減の波はあったものの、『若大将クルーズ』の航行に支障はないようだ。

もともとリピーターが多いツアーで、加山さんのサービスたっぷりのステージを楽しみに申し込んでいるお客様ばかりなんですよ。でも、毎年軽妙なトークが冴えますが、さすがに今年ばかりは多少しんみりするかもしれませんね。と言っても光進丸の件ではなくて、星由里子さんが亡くなりましたから」(前出・旅行代理店関係者)

 5月18日に肺がんなどで他界した、若大将シリーズでマドンナ役「澄子」を演じた女優の星由里子さん(享年74歳)。加山はコメントで「僕は君が先に逝ったことを信じたくないけど……澄ちゃんの存在は永遠だよ」と追悼。故人を偲んだのだった。

 今年、加山が船上で歌う『君といつまでも』は特別なものになりそうだ。