洗い物をするなかみきさん。「伺う前は“どんな依頼者かな?”ってワクワクします」

 最近流行りの「シェアリングサービス」だが、シェアできるのは物や乗り物だけにとどまらない。

 家事やペットの世話、英会話のレッスン……。日常のちょっとしたことを“誰かに頼みたい人”と、“自分のスキルを生かして働きたい人”をアプリでつなげるサービスが『ANYTIMES』だ。

“得意なこと”をお金にできる

「イメージは、ご近所の助け合い。登録すれば誰でも、依頼する側・提供する側、どちらにもなれます」

 運営する『エニタイムズ』広報の松沢実穂さんはそう話す。サービス開始は’13年、現在の会員数は約4万3000人にのぼる。

「みなさん、自由な発想で“得意なこと”“できること”を提供しています。掃除や料理などの家事が目立ちますね。ひとり暮らしや共働き家庭からの依頼に、ベテラン主婦が応えるケースは多いです」(松沢さん)

 さらに民泊運営者からの掃除依頼、外国語やヨガのレッスンなど趣味に関するもの、アイドルイベントのチケット購入代行、家具の組み立てなど、まさにサービスのるつぼ!

 料金は提供者が任意で設定できる。平均単価は5000〜6000円(税込み)。週に1〜2回など、定期的にサービスを利用する人も多いという。

 提供者からは“自分のスキルが誰かの役に立つうえ、小遣い稼ぎになってうれしい!”という声が多く聞かれる。一方、利用者からは、“業者とは違った柔軟な対応をしてもらえてありがたかった”と喜びの声が多く寄せられているそう。

 実際に自分のスキルを提供している、登録ネーム・なかみきさん(47)は笑顔でこう話す。

「ANYTIMESを知ったのは2年前。テレビを見ていて、“これだ!”と思いました」

 なかみきさんは保育士の資格を持つ、5人の子どものママ。家事代行やシッターを本業としている。

「子どもが5人いると“大変でしょ?”ってよく言われるけど、いちばんきつかったのは子どもが2人だったとき。働くママのしんどさ、差しのべられる手のありがたみって、すごくわかるんです」(なかみきさん、以下同)

 日常に追われながら働くママを笑顔にしてあげたい、助けてあげたい─。そんな気持ちに突き動かされ即、登録。

「出身の沖縄には“ゆいまーる”という助け合い精神があるんです」と、なかみきさんは笑顔で話す

 初めての依頼は、出産を間近に控えた女性宅での模様替えだった。

「自分の経験から、赤ちゃんを家に迎えるにあたって、どうテーブルやタンスなどを配置すればいいか、室内の動線を意識したアドバイスをしながら模様替えを行いました。依頼してくれた方がすごく喜んでくれたのを覚えています」

 マニュアルはない。依頼者と1対1でコミュニケーションをとりつつ、自分で考えてやったことで、相手が笑顔になる。それが何よりもうれしいと語る。

 このほか掃除や子育てアドバイス、(出身地の)沖縄旅行のプランニングなど、スキルと経験を生かして今までに17回、提供者として活動している。

 ぶっちゃけ、稼げた?

「そんなそんな(笑)。ここで稼ごうなんて思っていません。無料のボランティアだと続けるのがしんどくなるから、そうならない程度ですよ」

 提供者になりたい人へのアドバイスは、

「“昔、友達にこんなことしたら喜ばれたな”などと記憶をたどり、自分のできる範囲のことを提供するのがコツだと思います」

 自分の何げないスキルが、誰かの感謝にかわるとしたら、こんなにうれしいことはない。

★『ANYTIMES』https://www.any-times.com/

経験豊富な愛犬家が大事なワンちゃんをお預かり

 知識と経験が豊富な愛犬家の個人宅に、犬を預けられるサービスが『DogHuggy(ドッグハギー)』。運営会社CEOの長塚将吾さんは、

「僕が無類の犬好きで(笑)。昔、家族旅行で愛犬をペットホテルに2日預けたら、ストレスで毛がゴワゴワになってしまって……。本当にかわいそうなことをしました」と、サービス誕生の背景を語る。

 ペットホテルの多くはケージの中で預かるが、

「犬は家族ですから、できる限りストレスフリーで過ごさせてあげたい。普段と同じように広々とした環境で、愛情を持った人のもとに預けたい。そんな思いから’15年に始めました」

 犬を預かり世話をするドッグホストの数は現在、首都圏を中心に50以上。一方、預けたいと登録している飼い主は約3000名に達しているという。

ドッグホストは弊社の審査を通過した人のみ。1次審査はペーパーテスト。犬の飼育経験や考え方、モチベーションなどを見ます。2次審査ではビデオ通話で犬を預かる室内環境を実際に確認しつつ、面談形式で人間性や犬に対する考え方などを見ています」

 合格率はなんと15%と、かなり厳しい。

「犬を預かるときには、飼い主との事前面談を必ず行ってもらっています。預けている間は、飼い主のもとへ最低1日1回、ドッグホストから写真つきメッセージが届くようになっています。

 正直、お金目的ではできないと思いますね。純粋に犬が好きで、犬と飼い主さんの役に立ちたいという方が多いです

 ドッグホストの中にはペットロスに向き合っている人、飼育経験は豊富だが先を考えると飼いたくても飼えないという高齢者も。

「海外では動物とふれ合うことで寿命が延びるという“アニマルセラピー”の研究もあり、その需要にも応えられていると思います」

 獣医資格を持つスタッフによる24時間の電話サポートも好評。1泊の平均価格は約6450円(税込み)と決して安くはないが、“安心して出かけられるようになった”という声が多数届いているという。犬を愛する人なら要注目!

★『DogHuggy』https://doghuggy.com/