新田真剣佑 撮影/廣瀬靖士

「20代は30代を迎えるための準備期間。将来どういう役者になりたいかというよりも、その年代の誰にも負けないような代表的な役者になりたいです」

 力強い眼差しを向け、凛とした表情で質問に答えていく新田真剣佑(21)。“憧れの人もライバルもいない”と断言し、

いちばんの敵は自分。すべては自分との闘いです。自分に勝てば、ほかは誰にも負けないと信じています」

 とキッパリと男らしく言い放つ。上半期だけ見ても、映画にドラマ、舞台と出演作が続き、国内外問わず幅広い活躍を見せる新田は、

僕はそれぞれの役を毎回愛して演じています。好き嫌いはあると思いますが、いろんな役をやっている僕を見てほしい。役者・新田真剣佑として世間にどう見られているかはやっぱり気になります。今後もセルフプロデュースしていきたいです」

 今の新田を奮い立たせるものは何か聞いてみると“いい作品との出会い”との答えが――。その彼が台本に心から惚れ込んだという映画『OVER DRIVE』が公開される。

 自動車競技“ラリー”にすべてを捧げた若者たちの熱き戦いを描いた作品で、天才ドライバー役の新田は、東出昌大演じるメカニックの兄とラウンドごとに衝突を繰り返す。

「こうやってぶつかる役は信頼しているからこそできる。遠慮がないから全力で向かっていけるんです。今回、そういった仲になれたのがすごくうれしかったですね」

 北九州では1か月にもわたる長期ロケが行われ、そこで2人の間には本当の兄弟のような絆が。

 私生活では“兄”の立場であり、

「弟ってこういう気持ちなんだなっていうのがわかりました」

 と笑顔を見せる新田は、今でも東出のことを“兄貴”と呼んで慕っているそう。

泊まり込みで撮影をしていたので、終わったあとはみんな兄貴か僕の部屋に集まって話をしていました。監督とは焼き肉屋さんでこの作品のことを語り合いながら号泣したり。でも、そこにいた兄貴は“何、泣いてるんだ”と、すごい冷たい目で僕を見てましたけどね(笑)」

 そう言って、ふと“弟”の表情を浮かべ、

「それも含めていい思い出。僕の大好きな映画なので、ぜひ見てほしいです」

 初日にして大失態が?

「北九州に入った日に、なんと財布をなくしたんです。すごい落ち込んだんですが、警察に行ったら届けられてて。“真剣佑”って書かれたアカデミー賞会員証もちゃんとあったし、(中身も)全部あって、あぁ、北九州大好き! ってなりました(笑)

 移動はまさかの……

「本編で自転車に乗るシーンがあるんですけど、北九州では兄貴と2人で自転車移動してました。もちろん本番用を使ったら怒られちゃうから、ママチャリで(笑)」

(C)2018「OVER DRIVE」製作委員会

<出演情報>
映画『OVER DRIVE』 6月1日(金)全国公開

<PROFILE>
あらた・まっけんゆう◎1996年、ロサンゼルス出身。2014年より日本で活動を始め、日本アカデAミー賞新人俳優賞に輝いた『ちはやふる-上の句-/-下の句-』ほか、数々のドラマや映画、舞台に出演。今後は『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』が7月27日に公開予定