シンガー・ソングライターの広瀬香美(52)の名前が、久しぶりに芸能メディアを騒がせました。先月28日、所属事務所オフィスサーティーから移籍したと自身のフェイスブックに発表したことがきっかけで勃発した”移籍ドロドロ”。
時系列で振り返りますと、きっかけは今年2月28日。広瀬は、オフィスサーティーの社長に、所属事務所と広瀬香美音楽学校(ヴォーカルレッスン・ヴォイストレーニング教室)の代表を代わってほしいという要請を突き付けたそうです。
以降4度、話し合いの場を持ちましたが、両者は決裂。広瀬は独立を公表し、所属事務所社長の平野ヨーイチ氏が緊急会見を開き、事情を説明するに至りました。
弁護士を伴っての事情説明会見でしたが、写真撮影はNGでした。言い分は「無許可の独立」「両者合意の上の独立ではない」ということでした。
半オクターブで200万円
その際、明らかにされたのは、広瀬の焦りでした。ヒット曲として取り上げられるのは1990年代の『ロマンスの神様』などオールディーズばかり。
「コンサートといっても、東京公演はそこそこ入ったとして、地方はガラガラ。半分も埋まらないのはざらでした」と情報番組ディレクターが伝える。
広瀬が所属事務所社長に訴えたのは「このままではアーティスト生命が終わってしまう」という、自分自身に対する危機感、商品価値の下落です。
「演歌歌手であれば、1曲でもヒット曲があれば、それで何とか食つなぐことができる。どぶ板のような営業もします。でも、広瀬のような歌い手には、それができない。しかも生活の拠点はロスでしょ。日本で金を稼げるうちは、そんな二重生活が可能ですけど、日本で稼げなくなれば息詰まるのは当然です」(芸能プロダクション関係者)
広瀬は、歌い手としてプライドがかなり高いようで、周囲がへきえきすることがあっても自分を貫きます。
「自分の声域を半オクターブあげるためだけで、ボイストレーニングに200万円を払う人です。プロ意識が高いと言えば高いのですが、別の見方をすれば融通がまったくきかないタイプです。
コンサートも、絶対にアンコールをやりません。最後の1曲で、自分のその日の力を全部出し切って歌うという考えからです。最初からアンコールを設定しているのは、今の音楽業界の当たり前ですから、そこまで考えて声を使い切ればいいのです。そんなこともできないのでは、ファンにそっぽを向かれても仕方ないですよ」(スポーツ紙音楽記者)
”独立ドロドロ”で、皮肉にも「広瀬香美」の名前が久しぶりにメディアに取り上げられた、という皮肉。
とりあえずニュースとして食いついた芸能メディアですが、お互いに円満解決を望んでいるあたりが、すでに周囲の関心を集め続けることができる”ドロドロ劇”とは違っているようです。一応、注視はしていますが……。
<取材・文/間垣ジェーン美瑠>