結婚に真剣な人たちのための場、お見合い。ところが最近では、違う目的に変わってきているという。
婚活アプリの手軽さに潜む危険
「仲人さんから紹介されて男女が出会い結婚へ、という昔ながらのものだけではなく、“出会い”の手段になってきています」
そう指摘するのは、結婚相談所『最短結婚ナビ』の代表で、自らも仲人として活動する鎌田れいさん。
お見合いで良縁を望みつつ、さらなる出会いを求めて『婚活アプリ』を活用する人も増えている。ただし、出会えるのは独身だけとは限らない。
「婚活アプリは、結婚を目的とした出会いを提供するものなのですが、意外と既婚者が登録していて……。真剣に婚活している人が結婚詐欺にあってしまったケースもあるんです」
最大手のものでは、600万人もの登録者がいるという婚活アプリ。
「月額3000円くらいで会員同士が会いたい放題。SNSや大手ポータルサイトが運営しているものは、独身証明書や収入証明書の提出が任意なので、提出しなかったり、ウソの情報で登録している人も多く、チェックが穴だらけなんです。
アプリで出会って幸せな結婚をされている方もいらっしゃるので、すべてが悪いとは言えませんが」
鎌田さんの運営する相談所には、アプリで痛い目を見たあとに登録する人や、お見合いと並行して利用する人もいるという。
「会員は女性は30代前半から、男性は30代後半から40代が中心。70代でも登録している方はいます。また、女性の20代はすぐに決まってしまいます」
会員が結婚を望むいちばんの理由は、男女で共通しているそう。
「みなさん、子どもが欲しいということです。特に女性は妊娠できる年齢に制限があるので、35歳を過ぎると、焦って駆け込んでくる人が多いです」
男女とも結婚への思いは同じだが、お互いの理想とする年齢の隔たりが最大のネックに。
「40代、50代の男性は、子どもを産める可能性が高い30代の女性を希望します。でも、その年代の女性は自分と同じか、年下の男性を希望します。結婚して父親になり、稼いでもらうなら、長く働ける若い男性のほうがいいですよね。
現状でいくら年収がよくても、女性は20歳も上の男性を選びません。それでも結婚してほしいという女性がいるなら、それはよほど男性に魅力があるか、お金目当てのどちらかです」
30〜40代まで“恋愛バージン”
また、結婚相談所を訪れる人たちの傾向で、鎌田さんから驚きの指摘が。
「男性も女性も、30代後半や40歳になるまで、お付き合いしたことがない人がすごく多くて……。仕事ひと筋に過ごしてきた、本当にまじめな方たちなのですが、恋愛の仕方を知らないんです」
先日、鎌田さんの相談所を経てゴールインした47歳の男性は、35歳のときに2つ上の女性と付き合ったのが“初めての恋愛”だったとか。
「でも、3か月しか続かなくて別れてしまったそうです。20人くらいとお見合いしたあと、37歳の女性と結婚されたのですが、彼女は男性とお付き合いしたことがなく、処女でした」
お見合いから婚活アプリまで、出会いのチャンスは広がっているようだが、
「婚活アプリは気軽なぶん、結婚への意識も低く、ただ“出会えるだけ”で終わる可能性も高い。結婚相談所は、仲人という見張り番がいるので、婚活アプリに比べたら高額ですが、成婚率は相談所がいちばん高いといわれています。
相談所では、お見合いして付き合い始めて、3か月で結婚の意思があるか確認。まだ決められないならそこで1度、交際を見直し結婚への意思確認をします。そうやって何人かとお付き合いしながら、パートナーを見つけるのです。基本的に自分とマッチする人がどこかにいます」
〈PROFILE〉
鎌田れいさん
結婚相談所『最短結婚ナビ』代表。週刊女性PRIMEや東洋経済オンラインなどで、婚活記事を連載する婚活ライターでもある。