オトナの土ドラ『限界団地』(フジテレビ系 土曜夜11時40分~)は、団地を舞台にした、オリジナル心理サスペンス。
佐野史郎が63歳にして連ドラ初主演&オトナの土ドラ最年長主演&孫を持つ初のおじいちゃん役に挑戦する。主演と知らずに台本を渡されたという佐野は、正式なオファーがあったときのことをこう語っている。
「本当にハトが豆鉄砲を食らったような顔をしていたと思うんです。この年になって連ドラの主演をやれるとは思っていませんでしたしね。
朝から晩まで撮影していて、主演というのは撮っても撮っても終わらないというのが正直な気持ちですが、いろんな事件が起きますし、(劇中で)ミシンを踏んだり、太極拳をしたりとお稽古(けいこ)事も多いので新鮮です」
団地“復活”のため画策する祖父を熱演
佐野は、主人公の寺内について、社会現象にもなった“マザコン夫・冬彦さんより10倍ヒドイ”という。
団地に引っ越してきた寺内は、火災で両親を亡くした孫の穂乃花(渡邊詩)の親代わり、老父(山谷初男)の介護に明け暮れるが、自身が幸せな幼少期を過ごし、かつて“夢のニュータウン”といわれた団地に夢を抱いていた。
ところが団地の住人は、やる気のない自治会長(山崎樹範)、ルールを守らない老人、あいさつしても無視する人たちばかり。
穂乃花のためにも、昔のような交流や活気のある団地にしようと、さまざまな提案をし、自らも積極的に行動するが、その直後に、なぜか事故死や火災などが起きて……。
“人殺し!”と寺内につきまとう女(朝加真由美)や寺内に不信感を募らせる隣人(迫田孝也)がいる一方で、寺内の懸命な姿に心を動かされた主婦の江理子(足立梨花)からは頼りにされる存在に──。
「古きよき団地に執着するあまり、行きすぎた行動も辞さない寺内の触手は、だんだんと江理子やほかの住人に忍び寄っていきます。寺内は何者なのか、本当の目的は? いちばん影響を受ける江理子はどうなるのか? みなさんの予想や期待の斜め上を行くような、怒濤(どとう)の展開を用意しています」
こう話すのは、東海テレビの遠山圭介プロデューサー。
「僕自身、団地に住んでいたこともあり、非常に思い入れの強い作品です。
主人公を老人にしたのは、団地と人間にはリンクしている部分があるという考えからです。誕生のころはもてはやされていた団地は、今では老朽化して取り壊すか、リノベーション(改修)するかしかない。
人間も若いころは期待されるけれど、定年を迎えると、そのまま老いていくか、第二の人生を謳歌(おうか)するか。この対比に加えて、団地内の人間関係も非常に興味深いものがあると思ったのです」(遠山P、以下同)
狂気に満ちたセリフ、実は心に刺さる!?
第3話(6月23日放送)では、夫の不倫に悩む江理子のために寺内が動く。そして、寺内が団地に越してきた理由も明らかになり、次なる悲劇が──。
「物語は殺伐(さつばつ)としていきますが、撮影現場では、穏やかな時間が流れています。(ロケ先の)団地の敷地内で、足立さんがぺんぺん草で遊んだり、佐野さんの顔面パックのオフショットなど、みんなでインスタ用の写真を撮り合ったりして、とても和やかです」
寺内が一心不乱に動かすレトロな足踏みミシンや、今後のキーアイテムになるアップルパイにも注目!
「佐野さんが狂気に満ちた迫真の演技で“団地は一団(みんな)の土地”などというシーンは、怖さが倍増しています。
でも実は、寺内が熱く語るセリフには、メッセージが隠されていて、心に刺さる言葉も多いんです。
みなさんもぜひ、寺内と対峙(たいじ)して“自分ならどうするだろう?”と考えたり、熱いメッセージを受け止めたりして、寺内に振り回されてください!」
昔懐かしい団地の風景を再現
今でも人が住んでいる団地だけど、ドラマの団地を見て懐かしいと感じている人も多いはず。
「寺内家の部屋に置かれているのは’70~’80年代の団地がにぎやかだったときの小道具にこだわりました。穂乃花の着替えを入れているタンスは、僕も懐かしいと感じるようなものなんですよ」(遠山P)
ノスタルジーを感じるようなディテールもお見逃しなく!