大泉洋と宮崎あおいが兄妹役で初共演するホームドラマ『あにいもうと』。兄・伊之助役を大泉、妹の桃子(愛称もんち)役を宮崎がそれぞれ演じる。
原作は1934年に発表した室生犀星の同名小説。脚本は『男はつらいよ』の山田洋次監督が担当する。
大泉「今回のオファーは“ヤバいな”(笑)」
「1972年に山田さん脚本、渥美清さんと倍賞千恵子さんでテレビドラマ化した私にとって思い入れのある作品です」
と語るのは、『渡る世間は鬼ばかり』の石井ふく子プロデューサー。
「誰に兄と妹を演じてもらうべきか山田さんとも相談し、今までお仕事をしたことのない方がよいのでは? と、大泉さんと宮崎さんにお願いをしました。今回おふたりに出会えたことは、私の財産です。なぜ今までオファーしなかったのか後悔するほどです」
山田監督は、「ふたりだったら、必ずやそこにキャラクターがいるように演じてくれるんじゃないかと安心しました。これ以上言うことがないくらいぴったりの配役」と太鼓判を押す。
人生初のモノマネが『男はつらいよ』の寅さんだったという大泉は、今回のオファーに感激。
「“すごくうれしい”と同時に内心、“ヤバいな” と(笑)。山田さんの現場は、“非常に怖い”と聞いていたので、あわよくば山田さんが撮影現場に来ないといいなと思っていたのですが結果、お越しになられました(笑)。
本読み(撮影前の台本の読み合わせ)は、とんでもない緊張感で汗だく。でも、その場で演出してくれるんですよ。興奮しましたね。経験したことのない、なんて充実した本読みなんだろうって。
妹役は宮崎さんと聞いて感激しました。(桃子に)宮崎さんの持っている優しさや可愛らしさが出ていて、改めて素晴らしい女優さんだなと思いました」
民放ドラマは6年ぶりの出演となる宮崎は、
「初めて台本を読ませていただいたとき、もんちという女性が大好きになりました。そして、もんちを演じられることにワクワクしました」
宮崎は、トラック運転手の桃子を演じるにあたり大型自動車免許を取得した。
「大型トラックの運転席に座ったこともないですし、あの高さを知っているもんちは、どんな人物なのか知りたくて。撮影に入る1か月くらい前から教習所へ通ったのですが、もんちという女性が私の中で動き始める大切な時間でした。
もんちはとても行動的な印象だったので、髪を切りたいと相談しました。話し合いながら、ひとりの女性を作っていけたという感覚があり、準備も含めて楽しい時間でした」
大泉は、伊之助が大工のため木を削ったりトンカチをふるう大工仕事の習得に打ち込んだそう。
宮崎の絶妙なアドリブが炸裂
大泉と宮崎は、初共演ながら息の合った演技で、兄妹ゲンカや言い争いは、見どころのひとつ。
「伊之助ともんちのケンカで、僕が箸を投げつけるシーンがあったのですが、あおいちゃんがアドリブで箸を投げ返してきて、それが結構な速さでしたね(笑)」(大泉)
物語の舞台は東京下町。工務店を営む赤座家の長男・伊之助は、父で棟梁の忍(笹野高史)のもとで大工職人として働いている。妹で長女の桃子は、大型トラックの運転手。体力仕事をしている伊之助、桃子はともに気性が荒く、家の中はいつも血気盛んだ。
ある日、桃子は恋人との間の子を流産したことを家族に打ち明ける。しかし、相手の男については一切語らない桃子に、伊之助が激怒。思わず殴ってしまう。伊之助に反発した桃子は翌日、家を出ていってしまう。
それから半年後。伊之助が計画した忍の古希のお祝いが開かれる。お祝いは表向きの理由で、実は桃子を帰宅させるのが目的のよう。それを妹の佐知(瀧本美織)から聞いた桃子は、帰宅することに。
ところが、家族が桃子の帰りを待っていると、桃子の恋人だった小畑(太賀)が訪ねて来て……。
昭和のホームドラマのようなドタバタ感、長ゼリフでのやりとりなど昔懐かしいドラマの雰囲気が流れているが、現代人の心に刺さる言葉も多くちりばめられている。大泉は、
「真正面から家族に向き合うお話です。コミカルなシーンがふんだんに盛り込まれているので、ゲラゲラ笑いながら、気づいたら涙が出ているような、ずっと抱きしめて過ごしたい愛おしいドラマです」
宮崎も、
「この兄妹はすごく似ていて、似ているからこそぶつかりケンカをしてしまう。大好きだからこそ許せないところがたくさんあるのだなと強く感じました。
大きな愛にあふれたひとつの家族の物語です。家族のあり方を考えるきっかけにもなる作品だと思います」
〈番組情報〉
ドラマ特別企画『あにいもうと』
TBS系 6月25日(月)夜8時~