婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした男女の婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆきます。今回は、『お見合いから結婚にたどり着けない人の行動パターン』です。
婚活に「仕事が忙しい」は禁句!
週末にお見合いをした良美さん(38歳、仮名)から、がっかりした声で連絡が入りました。
「昨晩、土井さん(仮名)からファーストコールがあったのですが、『今月は仕事が忙しいから、来月お会いしましょう。また連絡します』と、2分もしないうちに電話が終わりました。
会えないならせめてメールのやりとりで繋いだ方が良いかと思って、電話の後にこちらからショートメールでアドレスをお送りしたんですが、返信なし。“この男性もまたいつものパターンか”と思うと脱力します」
土井さんというのは、良美さんがお見合いをした42歳の会社員男性です。結婚相談所の場合、電話番号などの個人情報は、お見合い後にお互いが交際希望を出してからの交換となります。
そして、男性側がその日、もしくは翌日の21時に、女性にファーストコールをするというのが通例です。
そこで次に会う日を決めるのですが、お相手の土井さんは、「仕事が忙しいから来月に入って連絡をする」と言ってきたのです。来月まで、2週間あります。お見合いをしてから2週間後に再度、連絡を取り合い、そこから会う日を決めたら、初めてのデートがお見合いしてから3週間後になってしまいます。
私は、良美さんに言いました。
「お相手がアクションを起こすまで放っておいて、次のお見合いをしましょう。このパターンの男性は、お付き合いしても結婚までは進まないから」
土井さんのように次のデートをするのに、2週間、3週間と間隔をあけてしまう男性が、お見合い市場にはとても多い。間隔があけば、女性のテンションは下がってしまいます。そんな状態で3週間後に食事をしたとしても、交際は進展しません。
会えない理由に掲げる「仕事が忙しい」ですが、同じ社内の中で同じ仕事量をこなしていても、プライベートの時間をキチンと作っている男性はいくらでもいます。
そうした男性は、20代の頃から時間管理ができているので、どんなに仕事が忙しくても女性とデートをする時間を作り、早い時期に将来の伴侶を見つけて、20代や30代前半で結婚をしていくのです。
お見合いしても結婚できないのは、仕事が忙しいことを理由に、異性と会う時間を積極的に作らない人たちです。こうして何年も結婚相談所にいて、お見合いを繰り返しながら、独身のまま年を重ねていく人が多いのです。
結婚したいなら、マメレスが原則
メールやLINEが来たらいつ返信するのか? それは即レスが原則です。以前、「すぐに返事をしたら、がっついていると思われませんか?」と聞いてきた男性会員がいましたが、恋愛と結婚は違います。真剣に結婚相手を探したいと思っているのなら、下手な駆け引きなんて必要なし。
しかしながら、携帯を持ち込めない職場もあるでしょうし、勤務時間内には、なかなかメールも打てないでしょう。
ならば、昼休みや休憩時間にスマホをチェックして、メールやLINEが来ていたら、そこで短い文章でもいいから返信をする。どんなに時間があいても、その日に来たメールはその日に返信するのが鉄則。マメレスが婚活を成功させる鍵なのです。
以前、こんなことがありました。女性会員の敦子さん(仮名、35歳)が、40歳の男性、高橋さん(仮名)と、お見合い後、お付き合いに入りました。
「高橋さんとは、その後どう?」という途中経過を聞く私に、敦子さんは満面の笑みを浮かべながら言いました。
「もう3度ほどお会いしました。お話ししていても楽しい。この間は、たこ焼きを自分たちで焼いて食べるお店に行ったんですけど、高橋さんはムチャクチャ焼くのが上手でした。クルンとやると、まん丸になるんですよ。今度、上野動物園にシャンシャンを見に行こうという話になっています」
お見合いには、“食事3回の法則”というのがあります。
交際に入っても1度か2度食事をすると、そこで交際終了になってしまうケースがとても多い中、3回目のデートまでをトントンと進められると、その交際は、結婚に向かえる可能性が高くなるんです。この2人は、ひょっとしたらうまくいくかもしれない、と私は踏んでいました。
ところが、5度目のデートを前に、雲行きが怪しくなってきました。敦子さんが、不安そうな声で連絡をしてきました。
「先週末からメールがこないんです。今週の土曜日に会うことになっているので、場所と時間を決めたほうがよいのに、メールがこないんです」
敦子さんとその話をした翌日に、高橋さんの相談室から“交際終了”の連絡がきました。
お付き合いが始まってから、あんなにうまくいっていたのに、いったい何があったのか。解せなかった私は、高橋さんの相談室に電話をし、仲人さんに交際終了の理由を尋ねました。
仲人さんは、言いました。
「実は、39歳の女性からの申し込みがあったんですね。彼がそれを受けてお見合いをしたんです」
結婚相談所には、交際と真剣交際の区分があり、交際期間中は何人とお付き合いしてもいいし、新たなお見合いもしていい。
それを経て一人を選び、結婚に向けての真剣交際に入るのです。高橋さんとは、まだ真剣交際には入っていなかったので、新たなお見合いをしたとしても、それをこちらがとやかく言えません。
仲人さんは、続けました。
「相手はすごくマメな女性で、高橋がメールを送るとすぐに返事がくるし、とても明るくて楽しい女性なんだそうです。彼女と交際に入ってからは、夜、メールを4往復、5往復するようになったようで、高橋の気持ちがそっちに移ってしまったんです。本当に申し訳ありません」
それならば仕方がない。私は、“交際終了”が来たことを、敦子さんに伝えました。敦子さんは、沈んだ声で言いました。
「メールがこなくなったから、“ああ、交際終了になるのかな”と思っていました」
その日の敦子さんには、あえて交際終了の理由を伝えませんでしたが、日を改めた面談で話をしました。すると、敦子さんは、言いました。
「私は、高橋さんからメールをもらうと翌日、返信していました。鎌田さんからは、『メールは毎日してね』と言われていたけれど、高校生でもあるまいし、すぐにメールを返すのはどうなのかなって。
あと、彼からメールが来たら返すようにしていて、私からメールを入れたことがなかった。女性はやっぱり待ちに徹したほうがいいと思っていたので。1日に4往復も5往復もメールをする発想は、私にはなかったです」
結婚をしたいと思って婚活しているのは、自分一人ではないのです。“忙しい”を理由にして、連絡を取らなかったり、デートを先延ばしにしたりしたら、忙しくてもお相手のために時間を作っている人に負けてしまいます。
また、“男性を追いかけるなんて、はしたない。女性は待ちに徹したほうがいい”なんて時代錯誤なことを言っていたら、積極的に行動を起こし、お相手から“選んでもらえる努力”をしている女性に、好きな男性を持っていかれてしまいますよ。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/