人気ギャグ漫画家の故・赤塚不二夫さんの半生を描いたヒューマンドラマ。漫画の世界だけでなく、私生活もハチャメチャだったが、多くの人に愛された赤塚さんの魅力と名作や人気キャラクターの誕生秘話も登場。“天才”を演じた玉山鉄二の心境と撮影舞台裏とは―。
今年は、“ギャグ漫画の神様”といわれた故・赤塚不二夫さん没後10年。『天才バカボン』『おそ松くん』など人気漫画の生みの親の赤塚さんの生きざまや家族のあり方を描いたヒューマンドラマが登場する。
原作は、実娘の赤塚りえ子さんが発表した同名エッセイ。
「養老孟司さん、谷川俊太郎さん、相田みつをさんほか多くの文化人も愛読する赤塚作品は、単にギャグ漫画ではなく秀逸な哲学書。やさしさ、温かさにも満ちています。忖度するのが風潮の昨今ですが“バカの天才”赤塚先生は、そんなものはおかまいなし。突き抜けて何かをやり遂げるけれど、そこには人へのやさしさや気遣いもあるんです。本作では赤塚先生のリアルなエピソード、精神のルーツまで描いています」
と、内藤愼介エグゼクティブ・プロデューサー。
主人公の不二夫を演じる玉山鉄二は、オファーを当初、断ろうと思ったそう。
「でも、調べていくうちに赤塚さんの博愛の精神に共感し、この役はやらなければいけないと思いました。
実在の人物を演じるとなると、常に責任感みたいなものはつきまといますが、“あの”赤塚さんです(笑)。あえて気負わず、とにかく倫理的・理性的なブレーキをはずして暴れ回るということに気をつけました」
芸人が演じてもおかしくないと思うような不二夫役を演技派、しかもイケメンの玉山にと考えたのには、わけがある。
「ハチャメチャでバカなことをやっていても、実は赤塚先生の生き方、ふと見せる表情は、すごく二枚目。そこも含めてモノマネではなく、演技で勝負していただきたかった。“僕じゃないのでは?”という玉山君にも、だからこそ演じてほしいと伝えました。世間の人が玉山君ではないのでは? と思っている不二夫役を振り切って演じてくれたら新たな玉山鉄二の魅力になるのでは? と。
撮影開始当初は“頭で考えたバカ”を探りながらでしたが、1週間くらいで突き抜けてきて、本人も心地よくなってきたようです」(内藤EP、以下同)
玉山は、赤塚さんの漫画制作プロダクションで、漫画を描く道具や制作工程などの指導を受けて、役作りに取り組み撮影に臨んだ。
玉山の意外な行動!?
“バカ”がほめ言葉に
物語の舞台は1973年、赤塚作品『ひみつのアッコちゃん』旋風が吹き荒れていたころ。遊ぶように漫画を描いていた不二夫はハチャメチャな生活が祟って、娘に嫌われ、妻からも離婚を突きつけられ─。
不二夫の最初の妻役の長谷川京子、2度目の妻役を比嘉愛未、ひとり娘役を森川葵らが演じ赤塚ファミリーを構成している。
「やさしい空気感の役者さんばかりで、撮影当初からファミリーの雰囲気を醸し出していました。セリフの応酬などテンションの高いシーンが多いので、森川さんはグッタリ疲れて帰宅するけれど、楽しかったと(笑)」
不二夫になりきった玉山が繰り出したアドリブのセリフを、長谷川や比嘉がツッコむ場面もあったそう。
「人と群れるよりは孤高の人の玉山君ですが、本作では本当のファミリーになっていたようで、撮影後にみんなをご飯に連れて行っていました。これにはマネージャーさんも意外だったようです」
『マッサン』で共演した住田萌乃(幼少期のりえ子役)や浅香航大(編集者役)とは阿吽の呼吸で必見。
「お子さんのいらっしゃる玉山さんや長谷川さんは、家族で楽しめる作品といっていました。ぜひ笑って、笑って、最後にホロリと泣いてください。笑いは人を幸せにするというのが赤塚先生の考えです。
“このバカ!”“俺はバカだから”“バカバカバカ~”と、こんなにバカを連呼するドラマはほかにないでしょう(笑)。でも、いいと思ったことは誰が何と言おうとやり通す不二夫にとって“バカ”は最高のほめ言葉。本作をご覧になった方が“バカ”を見下した言葉ではなく、ほめ言葉として使ってもらえるようになったらうれしいですね」
■人気キャラ登場&“バカボン音頭”
“これでいいのだ”はじめ赤塚語録がちりばめられているのも魅力だけど、『ひみつのアッコちゃん』『おそ松くん』などの人気キャラクターが劇中に飛び出してくるのも見逃せない。ウナギイヌなどの誕生秘話もお楽しみに♪ 最終回のエンディングには1回限りの“バカボン音頭”が流れるので、お聴き逃しなく!
<番組情報>
土曜ドラマ『バカボンのパパよりバカなパパ』
NHK総合 6月30日スタート 土曜夜8時15分~
(全5回/初回夜7時30分~拡大SP)