婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした男女の婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆきます。今回は「食生活や食事のマナーから見えてくるお人柄」です。
朝は玄米を炊き、ヨガをする男
その日、私は会員の真知子さん(35歳、仮名)とホテルのティーラウンジで、お見合い相手の松坂聡さん(42歳、仮名)が来るのを待っていました。
そこに現れたのは、俳優の玉木宏さん似のイケメン! 男性も40歳を越えると中年太りでお腹周りに贅肉がついている方が多い中、スラリとした長身でベルト周りもスッキリ。身上書のお写真よりずっと素敵な男性だったので、真知子さんの顔も華やぎました。
ところが、1時間のお見合いを終えて私に連絡をしてきた真知子さんのメールは、かなりトーンダウンしていました。
「ハンサムだったので最初は見とれてしまったんですが、話していくうちに、“あれっ?”と思うところがたくさん出てきました。
朝起きたらまずは玄米を炊くそうです。その間に30分ヨガをやる。食事は野菜が中心。ただ健康に気を使うのは悪いことではないし、1時間程度のお見合いではお人柄はわからないので、ひとまず交際希望を出してください」
すると、お相手男性からも交際希望が来ました。その後、2人は初めてのデートをしたようです。
初デートを終えた真知子さんから『交際終了』の連絡がきました。
「オーガニックイタリアンのお店を予約してくださっていて、2人でそこに行きました。松坂さんが飲んだのは、オーガニックワインを1杯だけ。あとはミネラルウォーターでした。だから、私もワインのおかわりは遠慮してしまった。
あと『好きなものを注文してください』と言われたから、生ハム、チーズ盛り合わせ、サラダをまずは頼んで、お料理が来たので、私が取り分けて松坂さんの前に置いたんですね。そうしたら『肉とチーズは食べないって、お見合いの時に言ったじゃないですか!』と強い口調で言われて、びっくりしました。
その日も野菜ばかり食べていました。この方はタンパク質をどうやって摂っているんだろうと不思議になりました。豆からですかね」
一緒に食事をしていて、全く楽しくなかったそうです。
「松坂さんと結婚したら、ソファでワイン飲みながらテレビを見てそのまま眠ってしまうなんて、自堕落な生活はできない。私は煩悩の塊ですから、彼のようなストイック方とは生活ができません」
また取り皿、フォーク、ナイフが汚れていないか、いちいちチェックをして、とても神経質な印象を受けたというのです。
食生活は一緒に暮らしていく上で大きなウエイトを占めますから、好き嫌いなく何でも食べて、おいしいお酒を飲むことが好きな真知子さんには、結婚がイメージできないお相手だったようです。
蟹チャーハンを一心不乱に食べる男
こんな例もありました。
上野明香さん(32歳、仮名)は、西谷守さん(37歳、仮名)とお見合い後、交際に入り、初めてのデートで中華を食べに行きました。それぞれにメニューが手渡され、それを見ていた西谷さんが言いました。
「好きなものを頼んでください」
そこで、明香さんは、空芯菜炒め、水餃子、棒棒鶏、エビチリと2人で取り分けられるものを数品頼みました。すると、西谷さんが言いました。
「あと、蟹チャーハンをください」
ご飯ものはチャーハンがあるから、麺類はお腹の具合を見ながら頼むか頼まないか決めようと、明香さんは思いました。
料理が運ばれてきたので、明香さんがそれそれの料理を小皿に取り分けて、西谷さんの前に置きました。西谷さんはビールを飲みながら、そのお料理を美味しそうに頬張っていたそうです。
ところが、蟹チャーハンが運ばれてきた時のことでした。明香さんは、私に言いました。
「彼の行動にもう目がテンになりましたよ。西谷さん、蟹チャーハンを自分の前に引き寄せて、レンゲを使って黙々と食べ出したんです。あっという間に、米一粒残さずにひとりでたいらげてしまいました。もうびっくりですよ」
食事を一緒にすると、お相手の人間性が垣間見られます。
「目の前に私が座っているのに『食べますか?』の一言もなく、黙々と一人で蟹チャーハンを食べている姿を見て、この方と結婚したら、きっと何でも自分が好きなことを優先して、家族のことなんて考えないんだろうなと思ってしまいました。しかも、会計がきれいに割り勘だったんですよ。私は蟹チャーハンを食べていないのに」
男性は、よほど蟹チャーハンが食べたかったのかもしれませんが、会社の同僚とランチに来ているわけではないのです。
デートの席ですし、明香さんは他のお料理を取り分けたのですから、チャーハンもシェアしたほうがよい。一人で一心不乱に食べる姿に女性がドン引きするのは、当然のことでしょう。
確かにこの男性が家庭生活に入ったら、家族よりも自分を優先させてしまうような気がします。
フレンチレストランで頬づえをつく女
さて、では、男性たちはどんなふうに女性を見ているのでしょうか。男性会員の木戸裕也さん(41歳、仮名)が、佐野君代さん(34歳、仮名)と交際に入り、3回目のデートをした時のことでした。
「デートの2日前が彼女の誕生日でした。まだ出会って間もなかったし、交際が続くかどうかわからなかったので、あえて誕生日の日をずらして食事に誘いました。
フレンチのコースを予約したんですが、彼女、料理が運ばれてくる間、肘をついて待っているんですよ。最後に来たコーヒーは、頬づえをついて飲んでいました。どんなに綺麗な女性でも、食事のマナーがなってないと、幻滅ですよね」
その日、デパ地下で買った有名店のチョコレートをプレゼントに持っていったのですが、家で頬づえ付きならチョコを食べている姿を想像してしまったと言います。
この交際は、裕也さんの方から“交際終了”を出しました。
頬づえをつく人は意外と多いですよね。会社でも頬つえをつきながら考え事をしたり、パソコンのマウスを動かしたりする人を見かけませんか?
ただ食事の時に頬づえをつくと、それを“品のない行動”と捉える人が多いので、デートや食事の席では気をつけたほうがよさそうです。
また、魚の骨、果物の種など、一度、口に入れてからそれだけを出す時も、その仕草いかんによって、男性が女性に幻滅してしまうことがありますから、注意したいところ。箸の持ち方、フォークとナイフの使い方が正しくなかったり、クチャクチャと音を立てて食べたりする(クチャラーと言うのだそう)のも気をつけたいポイントですね。
有名芸能人が食事をする番組でも、食べ方のマナーが悪いとSNSなどにすぐに書き込みをされます。食事をする姿からその人が評価されたり、育ってきたバックグラウンドが透けて見えてしまったりするのは、やはり否めないことなのかもしれません。
婚活中の女性は、食事のマナーには気をつけてくださいね。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/