名だたる刀剣が刀剣男士と呼ばれる個性豊かな男性キャラクターとして登場し、歴史上の戦場を駆け巡りながら部隊を編成・育成していくPCブラウザ・スマホアプリゲーム『刀剣乱舞─ONLINE─』。全国に刀剣ブームを巻き起こしている大人気コンテンツの舞台版である舞台『刀剣乱舞』は、’16年の第1弾公演以来、人気を博している。
その最新作、舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰が現在、上演中だ。残す東京での公演を前にシリーズ1作目から三日月宗近役を演じ今作でも座長を務める鈴木拡樹さんが、舞台『刀剣乱舞』への思いや見どころなどを語ってくれた。
刀剣男士たちの歩み方を愛してもらいたい
「毎回、戦い続ける座組をテーマにやっていますが、今作は55公演という長い戦いなので、キャストみんなで協力して乗り切らないとやりきることができないと思って、稽古(けいこ)から取り組んできました。刀を題材にしている作品ですから殺陣(たて)もたくさん入ってくるので、体力的にも激しい消耗をするやりとりも多いですし、ケガのリスクとも戦いつつ身体のケアの仕方などをみんなで共有しながら、常に全員がお互いのことを意識しながらやっています」
「刀ステ」シリーズの集大成と言われている今作は、見どころも満載だ。
「集大成といっていいと思います。シリーズでやってきた意味がすごくある作品になったなと感じています。今回の6作目をやることによって、すべてのピースがそろうというか。抽象的な言い方ですけど。この作品は殺陣はもちろん注目してほしいのですが、僕は舞台『刀剣乱舞』ならではの本丸(※刀剣男士たちの本拠地となる施設を指す呼称)の刀剣男士たちみんなの歩み方を愛してもらいたいと思っているので、戦いのシーン以外でも、それぞれのキャラクターをつかんでほしいなと思いますね。ひとりひとりが濃くて愛すべきところもたくさん持っているので」
鈴木さん演じる三日月宗近も今作の物語の重要なカギを握る存在。
「三日月は今まで描いてきた作品のなかに、すごくたくさんの伏線を置いてきているんですね。それを回収し続けるのが今作だと思います。なので今まで見てきてくださった方には、“あのとき、なんか違和感あるなと思っていたけど、こういうことにつながるんだ”っていう、発見にしてもらいたいですし。今回初めて見る方にとっては、今作で気になった部分は実は前作に含まれていたりするので、DVDを見たくなるような作品になっているんじゃないかとも思います。もちろん、どちらでも楽しんでいただけると思いますよ(笑)」
役のいちばん近い理解者になれるように
2.5次元作品で数多くの人気キャラクターを演じてきた鈴木さんだが、三日月宗近とは鈴木さんにとってどんな存在なのか。
「つかみどころのない、なんか奥底が知れない存在です。いちばん最初に三日月の立ち姿のイラストを見たとき、笑っているのにその瞳の奥が読めない感じがして。あの絵の三日月を表現したかったっていうのが始まりかもしれないですね。この舞台版では、その印象がわりと反映されていると思います。
演じていて楽しいですけど、考えても考えてもたどり着けないところもあります。約千年も前に作られた刀でも存在しているので、歴史をたどったりそれだけ長く生きることを想像してみる作業はしますけど、僕が生きてきたのは33年なので、話のスケールがデカすぎて正確にはわからないですよね(笑)。役を作るうえで、そのいちばん近い理解者になれるようにするというのが僕のテーマではあるんですけど、三日月をすべて理解してあげられているのかっていうと、ちょっと難しいところではあります。でも、どこかやり方が不器用な三日月が好きです」
鈴木さんとの共通点は?
「三日月の立ち位置って、座長として頑張ろうって奮起しているときの自分にちょっと近いのかもしれないです。本当は得意じゃないくせにって思うところもありますけど、でもやらなきゃいけない瞬間もあったり。だからといって自分がやってきた行動を、たぶん周りは知らないこともたくさんあると思いますし。
まあ、それは僕が話すのがヘタだからなんですけどね(笑)」
地方公演など多忙な日々を癒す気分転換を聞くと、スイーツ好きの鈴木さんらしい答えが返ってきた。
「スイカが好きなので、“そろそろ出始める時季が来たか”って思うとちょっとテンションがあがりますね(笑)。休みの日に、おいしいスイカを食べに、フルーツパーラーでも行ってみようかなって思ったりしてます」
劇団☆新感線の『髑髏城の七人』での演技が高く評価されるなど、俳優としての幅をますます広げている鈴木さん。今後チャレンジしたいことは?
「明確にこれというものはないんですけど、昔から思っていることですが、さまざまな作品にかかわりたいですし、今までやったことのない劇団さんの作品にも出たいなと思っていますし、いろんなものを吸収していけたらと思いますね。今後、年をとっていくにつれて、2.5次元でも違うポジションでやっていくこともできると思うので、そのためにもいろんな世界を見なきゃいけないなと思いますし、表現であればとりあえず挑戦してみるべきだと感じてます」
最後に読者へのメッセージをお願いします。
「魅力的な作品になっていますので、この記事を見て舞台『刀剣乱舞』に興味を持った方にも、ぜひ見ていただきたいと思います」
美しい刀剣男士の姿は必見です。大千秋楽は全国146の映画館でライブビューイングも行われるので、リアルタイムで楽しんでみては。
■舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰
大人気「刀ステ」シリーズの集大成。三日月宗近(鈴木拡樹)をはじめ刀剣男士たちが歴史を守る戦いは激化の一途をたどっていた。終わりの見えぬ戦いに刀剣男士たちは徐々に疲弊を色濃くしていく。衝撃的な展開の感動作。
東京公演:7月19日~7月22日@日本青年館ホール/東京凱旋公演:7月25日~7月29日@天王洲 銀河劇場
【公式サイト】https://www.marv.jp/special/toukenranbu/
●ライブビューイング:7月29日(日)17時30分~開演。全国劇場146館にて。
【チケット購入に関するお問い合わせ】は(http://t.pia.jp/)まで。
<プロフィール>
すずき・ひろき◎1985年6月4日、大阪府出身。主な出演作品は、舞台『弱虫ペダル』シリーズ、劇団☆新感線『髑髏城の七人 Season月』-下弦の月など。今後は、舞台『No.9-不滅の旋律-』(東京公演:11月11日~12月2日@TBS赤坂ACTシアター/12月大阪公演、横浜公演/2019年1月久留米公演)出演。『映画刀剣乱舞』は2019年公開予定。
(c)舞台『刀剣乱舞』製作委員会
(取材・文/井ノ口裕子)