「情報解禁前にママ友に“女優復帰することになったの”と伝えていたんです。でも、なかなか発表されなかったので、“復帰するって話は妄想なんでしょう?”って心配されていました(笑)」
放送中のドラマ『この世界の片隅に』(TBS系、日曜夜9時〜)で23年ぶりに女優復帰を果たした仙道敦子。’93年に俳優の緒形直人と結婚して以降は休業状態だった。
「去年の暮れに昔からの知り合いの方にオーディションを受けてみないか? と誘われたんです。結局、その作品のお話はなくなってしまったのですが、オーディションを受けたことで、やっぱりお芝居が好きなんだと実感して。
それで家族に相談したところ、“やってみたら”と背中を押されたので、事務所にご挨拶に行き話をしたら、“ぜひやりましょう”と言ってもらったんです。
そこからマネージャーがTBSに話をしに行ったところ、“実は『この世界の片隅に』の母親役を探しているところなんです”とトントン拍子にお話が進んでいって。映画版を見ていて、素敵な作品だなと思っていましたし、(土井裕泰)監督も昔からお世話になっている方だったので、引き受けさせていただきました」
長らく活動していなかったのも、明確な意図があったわけではないと笑う。
「私の中で優先しなくてはいけないことを優先していったら、こうなっていたという感じなんです。だから演技のお仕事は23年ぶりなんだと思うと、自分でもビックリですね」
ママ友からのたくさんの刺激
「子育ての中で知り合ったママ友からは、たくさん刺激を受けました。本当、徒歩圏内にこんな気の合う人たちが住んでいたことが奇跡だと思うぐらい。趣味に長けている友人が多く、すすめられてミシンを買ったらモノを作ることにすっかりハマってしまいましたね。初めて趣味らしい趣味ができました」
女優を休んでいた時期も、そんなママ友たちからすすめられた作品などはこまめにチェックしていたとか。
「チェックというか、普通に話題の作品には飛びついていました(笑)。女優としての視点ではなく、いち視聴者として楽しんでいましたね。なので今回、松坂桃李さんとお会いしたときも、いつもテレビで見ていたので、“本当に実在するんだ!”と感動しちゃいました(笑)」
23年ぶりの役づくりとは?
「ドラマが決まってからなるべく歩くように心がけたり、友人とソフトテニスをやったりして、体力づくりをしましたね。おかげで息切れしなくなりました。あとは舞台となる広島で、初めて原爆ドームを見学させていただきました。年齢を重ねて家族を持ち、抱えるものが増えた今、資料を見ると言葉が出なかったです……。
突然、家族などあるべきものを失うなんて、考えるだけでも恐怖。でも今回の作品では戦時中でも一生懸命生きる家族を描いているので、悲しみ以外の部分もきちんと表現できたらなと思っています」
昨年、長男の敦がドラマ『陸王』(TBS系)で俳優デビュー。親子共演の可能性について聞くと、照れながらこんな微笑ましいエピソードを。
「生放送ではないのに、間違えないかしら……と心配で、テレビの前で緊張しながら見ていました(笑)。だから親子共演なんて、しばらく考えられません。私自身がこうしてまた人前に出ているのもまだ不思議な感覚ですから。今後の活動? ……どうしたらいいんでしょうか(笑)。またお話をいただけたら、そのときに考えようと思います」
普段はどんな生活をしていますか?
「子どもの通う学校では役員を担当したこともありますし、普通の主婦の方と変わらない生活だと思います。以前、スーパーで買い物をしていたら、“スーパーとか利用するんですね”とママ友に驚かれたんですけど、スーパーに行かないとごはん作れないですよね(笑)」