「早く宿題を終わらせないさい!」お母さんたちは、毎日、家庭でそんな声を出していませんか? “自分から勉強する子”にさせるなんて、うちの子には無理! なんて思いがちですが、“勉強習慣”さえ身につければできるんです。
『東大首席・ハーバード大学卒NY州弁護士と母が教える合格習慣55』の著者である、山口真由さんに、正しい勉強習慣を身につける方法を教えてもらいました。
正しい勉強習慣を身につける
正しい生活習慣の中に勉強を組み込むことで、宿題などの勉強が当たり前になってきたらステップアップ。さりげない誘導によって、さらに上の学力を自発的に目指す勉強習慣を身につけさせましょう。
「他人事」ではなく「自分ごと」にする
「子どもは“~しなさい”と上から言われるとやりたがらない、やっても嫌々やるので身につかないのはご存じだと思います。ですから、ひと工夫して“~してみる?”と声かけしてみましょう。そのとき、決めるための指針と価値観を提示することが必要です。
私の場合、リンゴを食べたいときに、“むいてみる?”と母に聞かれました。
母いわく、“リンゴはむかないと食べられないから、自分でむくか、誰かにむいてもらうしかない。自分でむけるようにならなくてもいいと考えるなら、将来(リンゴが食べたければ)誰かにむいてもらわなきゃ食べられなくなる。その覚悟はある?”という趣旨の話をされました。
“やる”“やらない”を自分で決めると、どちらを選択してもそれが“他人事”ではなく“自分ごと”になります。
決めたあとは“自分で決めたんだから、やり抜きなさい”と逃げ道をふさいであげることができます」(山口さん)
中学受験をするかなど大きな決断をさせるためには、将来のビジョンをもたせたうえで自分で決めさせることが大切だと山口さんは言います。
「私が小学生だったころ、テレビドラマを見ていて“官僚になりたい”と言ったことがあります。すると父は、子どもの話だからとスルーせずに“官僚になるなら東大の文Iに行かないとな”とまじめに答えてくれました。そのとき将来の夢と道筋がつながったんです。
今の勉強が将来の何につながるのか、イメージできれば勉強に意味を見いだせるので自発的に頑張れるようになります」(山口さん)
一方、いい点をとったら何かご褒美をあげるという親の行動もやめるべき。
「勉強をする目的が親のため、欲しいもののためとなってしまい、これではいつまでも勉強が他人事のままです。努力を褒めてあげるだけでいいと思います」(山口さん)
子どもを上手にのせるのが親の役目
根拠がなくても、自信をもたせることはとても大切。
「頑張ればできると思えるメンタルの強さは人生を切り開くうえでも欠かせません。そんな自信を育むのは、親のポジティブワードです。
上手だね、得意だね、才能があるねとたくさん褒めましょう。できなかったことも、どうしてできないのと責めるのではなく、できたところまで褒める。それこそがくじけずに頑張ろうとする最強のメンタルにつながるのです」(山口さん)
また、親が子どもの学習に関心をもち、フィードバックすることが必要なのだそう。
「子どもが音読していたら、しっかり聞いて、“今のところは主人公の気持ちがよく出ていた”とか“そこはよくわからなかったからもう1度読んでみて”と親が関心を示すことで、子どものやる気はがぜん大きくなります。
大きな公園に行くなら昆虫図鑑を持参。虫を見つけたら一緒に学習の楽しさを親が楽しむことで伝えてください」(山口さん)
生活習慣や勉強習慣を正していくためには、ただ上からやらせるのではなく、親の姿勢を見せたり、子どものやる気を引き出す工夫が必要。まずは自分がどうのように子どもと接しているのかを見直してみましょう。
正しい生活習慣の中に勉強を組み込むことで、宿題などの勉強が当たり前になってきたらステップアップ。さりげない誘導によって、さらに上の学力を自発的に目指す勉強習慣を身につけさせましょう。
子ども版「7回読み」のやり方
適した教科は社会や国語、理科の生物や地学分野。
【1~3回目で内容の輪郭をつかむ】
・1回目…章のタイトル、項目ごとの見出しなどを読んでみて。文章の中で太くなっている文字があればそこが重要な場所。そこだけでいいので読んでいきましょう。全体像をつかみます。
・2、3回目…さらさらと3行飛ばしくらいで読んでみて。単語やキーワードを覚える感覚で。全体のアウトラインや構造がざっくり頭に入ってきます。まだ理解しようと思わなくていいから、とにかく、文字をながめてみて。
【4~5回目で輪郭線の内側に大まかな内容を描く】
・4回目…3回読んで下準備ができたはずだから、1行ずつ普通に読んでみて。頭の中で黙読して、音読しないのが望ましいけれど、最初は音読してもOK。よく出てくる単語や詳しく説明されている用語に注目してみて。ただし、理解しよう、覚えようとしなくていいから、立ち止まらないで。
・5回目…4回目と同じように読んでみて。意識できるのなら、キーワードとキーワードをつなげるように読んでみて。少し意味がわかってくるでしょう?
【6~7回目で輪郭線の内側を詳細にしていく】
・6回目…書かれていることを予測して読んで。どういうことが書かれているかもうわかっているはず。
「そう、このキーワードの意味はこうなんだ」「このキーワードとこのキーワードの関係はこうなんだ」など、答え合わせをする感覚で。
・7回目…可能なら、頭の中で要約しながら、その答え合わせとして読んでみて。まだ頭に入っていない部分があるなら、そこだけピックアップして読んでみて。これで完璧。
こうやって繰り返し読んでいくと、全体のストーリーを理解して、要約する力が身につきます。
山口真由さん 東大法学部を首席で卒業。大学3年時に司法試験に合格。卒業後は財務省に。退官後、弁護士として勤務。ハーバード・ロースクールに留学、修了しニューヨーク州弁護士資格を取得。現在はテレビのコメンテーターや執筆活動などを行っている。大学時代は塾講師や家庭教師も多く経験。近著に『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える合格習慣55』(学研プラス)