「7月19日、カザフスタンのフィギュアスケーターで'14年ソチ五輪の銅メダリストであるデニス・テン選手が、暴漢に襲われて亡くなりました。日本でも午後9時半を過ぎたころから報じられ始めましたね」(スポーツ紙記者)
地元の新聞社によると、テン選手は友人と食事を楽しんだ直後、自分の車のサイドミラーを盗もうとしている不審者を発見。止めに入ってもみ合いになり、右の太ももを切りつけられて、3リットル近くも出血していたという。
「病院での処置もむなしく帰らぬ人となってしまいました。報道を受けて、荒川静香さんや安藤美姫さん、浅田真央さんや高橋大輔さんらが相次いでSNSでコメントを発表しました」(同・スポーツ紙記者)
日本人選手のみならず、海外の選手やコーチ、振付師など、多くのスケート関係者がSNSや公式サイトなどでコメントを発表。彼の急死が、フィギュア界に与えた衝撃の大きさをうかがわせた
「フィギュアスケートは個人や2人組での勝負というイメージがありますが、競技以外でもアイスショーでの競演や、海外のコーチや振付師に師事するなど、国を超えて選手同士のつながりがあるんです」(スケート連盟関係者)
多くの選手がコメントを発表するなか、羽生結弦も所属するカナダのクリケット・クラブからコメントを発信。
「ブライアン・オーサーコーチのインスタグラムを通じて発表されましたが、ロシアのメドベージェワ選手、アメリカのジェイソン・ブラウン選手ほか、同門の選手との連名でした。ほかの選手は自らのSNSなどで個人のコメントも発表しています」(同・スケート連盟関係者)
羽生のコメントを待ちわびていたファンは安心したかもしれないが、個人で出さないことには理由があった。
「以前から注目されることが多かった羽生選手ですが、五輪2連覇を果たし、国民栄誉賞を受賞するなどますます注目の的に。“発言することで記事が書かれるし、本当もウソも、すべてがニュースになってしまう”と取材や記事に対してナーバスになっているようです」(同・スケート連盟関係者)
今回の報道では、羽生がより発言しにくい状況に。
「テン選手の殺害を報じた媒体が、羽生選手と彼が過去に確執があったという内容も記事にしたんです。
たしかに、'16年の世界選手権の公式練習で、羽生選手の番になっても、テン選手はリンク中央でスピンをし続け、衝突しかけたんです。羽生選手が声を荒らげる場面もありました」(スポーツライター)
しかし、この試合が終わる前に2人は和解し、仲睦まじい姿を見かけることも。
「蒸し返されたエピソードに、“なんで今書くの?”とファンは怒り心頭。憤りもわかりますが、今は突然の訃報に悲しんでいるときです。報道とファンのせめぎあいによって、羽生選手もさらに発言しにくくなっていると思いますよ」(前出・スケート連盟関係者)
今はただ、故人の冥福を祈るばかり─。