デビューから9年。韓国ドラマ、特にロマンティック・コメディ作品には欠かせない存在となったヨン・ウジン。本国では“ラブコメのプロ”と呼ばれる彼の魅力がふんだんに発揮されているのがドラマ『内省的なボス』。彼が演じるのは、広告業界のトップに輝くブレイン広告の最高経営責任者でありながら、一日中部屋に引きこもり正体を現さないウン・ファンギ。ファンギのもとに、彼とは真逆で超社交的な女性新入社員チェ・ロウン(パク・ヘス)が現れる。ロウンには、ある目的があって……。

ヨン・ウジン 撮影/佐藤靖彦 ※アザーカットは写真ページにあります

──仕事では誰にも負けない才能を発揮するものの、人とコミュニケーションをとることに関しては消極的なファンギの魅力を教えてください。

「最初、ファンギは融通のきかないとても難しい人だと思いました。でも、ストーリーが進んでいくうちに彼の内面にある長所が見えてきます。演じていて思ったのが、もしかしたら内向きの人のほうが、日ごろから感情を表現できる人よりも相手を思う気持ちが強いのかもしれない、周囲の人を包み込む包容力があるのかもしれないということ。そんなファンギの内面が見えてくると、彼を愛さずにはいられなくなると思います」

──ウジンさんご自身にも内向的な部分がありますか?

「みなさん、多かれ少なかれそういった部分を持っていますよね。演技をすることで少しずつ変わってきたのですが、僕自身も学生のころは人見知りで内向的な性格だったんです。なので、ファンギを演じるときに当時の自分を思い浮かべました。どうやって友達とコミュニケーションをとっていたかな? とか、家族とはどんなふうに過ごしていたかな? と」

──どんな学生でしたか?

「いまでもよく会う友人が10人ほどいます。みんな高校からの仲。あのころは、彼らとつねに一緒にいました。ほかの友人を作るのが難しいくらい(笑)。それに、ひとりでいるのも好きだったんです。授業が終わって、みんなが学校で自習をしているときも、僕は自宅に帰って、自分の部屋で勉強していました。ほかにも、ひとりで映画を見に行ったりもしましたね。それは、父の影響でもあって、絵を描くのが好きな父は、家族をよく山や海に連れて行ってくれたんです。行った先で父が絵を描いているとき、僕はひとりで海や山を見ていました

──演技をするようになって性格が変わったとおっしゃっていましたが、いまは?

「仕事を通して、人とコミュニケーションをとることがいかに大切かを学びました。以前よりも人の話をよく聞き、相手の生活を理解しようと努力するようになったんです。そうすることで、前より内向的ではなくなったと思います。そんなふうに自分自身が変わっていくことも、演技をする楽しみなのかもしれませんね。最近は、自分から話すよりも、相手の話を聞くのが楽しくて。それが、悩み相談でも(笑)」

──よく、相談を受けるんですか?

「ええ、僕の周りには話をしてくれる人が多いんです。それと、僕がかなり現実的なアドバイスをするようで、連絡をくれるみたいです」

自分を大切に思い、愛するきっかけになってほしい

──先ほど「内面を知れば愛さずにはいられない」と言われたファンギですが、彼の魅力を引き出していくのがヒロインのロウン。エネルギッシュな彼女のような女性をどう思いますか?

「女性に限らず男性もそうですが、ロウンのような明るい人が好きです。どちらかというと僕は落ち着いている性格なので、明るい人を見ると気分がよくなりますね。それに、社交的な方って自分に自信がある人が多いので、より魅力的に感じます。そばにいると、自分自身も輝くような感じがするので明るい人に惹(ひ)かれるんだと思います

相手役はパク・ヘス(『内省的なボス』より)(C)STUDIO DRAGON CORPORATION

──ロウンに好意を抱くファンギですが、なかなか行動に移せません。ウジンさんはどうですか?

「僕もどちらかというと、先に告白したり、感情を見せたりできない気がします。自分の恋愛感情に素直になるって、簡単なことじゃないですよね。理想は、友人といるようなリラックスできる関係。だから、ある女性との距離がすごく近くなって、友人のような関係になれるなと感じると、急に心の扉がパッと開くと思います。演技をするというのは、自分自身を徹底的に隠して、キャラクターだけを見せていくこと。役を表現するために自分を消す作業をしていくことで、自分の感情を受け入れることに慣れてきた気がしますね

──“ラブコメのプロ”と呼ばれているのは、ウジンさんのそういった姿勢があるからですね。

「(テレながら)そう言われるとすごく恥ずかしいです。僕にとって“ラブコメ”はとても難しいジャンル。いままで、さまざまなロマンティック・コメディ作品を見てきましたが、俳優さんの演技をみては“どうしたら、あんな上手な演技ができるんだろう”と感嘆しています。僕には、ラブコメが合わないんじゃないかとも思うこともあるんです。そんなときに、称賛の言葉をいただくこともあって。そのたびにもっともっと頑張って、深みを出していかないといけないなと思います。今回の『内省的なボス』での僕の演技に触れることで、改めて自分自身を内省し、自分を大切に思い、愛するきっかけになってほしいと思っています

〈PROFILE〉
1984年7月5日生まれ。25歳のときに映画『ただの友達?』(09年)で俳優デビュー。その後、ドラマ『烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち』(11年)で注目を集め、『普通の恋愛』(12年)でKBS演技大賞の演技賞を獲得。『恋愛じゃなくて結婚』(14年)、『離婚弁護士は恋愛中』(15年)と続けてラブコメ作品に出演し、17年にはラブコメ『内省的なボス』、王宮ロマンス『七日の王妃』、法廷ドラマ『イ判サ判(原題)』に出演と人気ぶりを証明。日本公式サイト:http://woojin.jp/

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〈作品情報〉
『内省的なボス』
超内気なボスと超社交的な新入社員が繰り広げるオフィスラブコメディ! 
DVD-BOX1、2発売中(各15,000円+税)
詳細はオフィシャルサイトで。http://naisei-boss.jp/
(c)STUDIO DRAGON CORPORATION