2015年、夏のイベントにて。この年の総選挙では指原莉乃が1位に輝いた

 7月も終わり、2018年もいよいよ残りあと5か月。

 オリコンの6月末までの上半期音楽ランキングによると、シングルTOP10 は、以下のような楽曲が並ぶ。

誰もが歌える曲ではない

 1位 「Teacher Teacher」 AKB48
 2位 「シンクロニシティ」 乃木坂46
 3位 「ジャーバージャ」 AKB48
 4位 「ガラスを割れ!」 欅坂46
 5位 「シンデレラガール」 King & Prince
 6位 「Find The Answer」 嵐
 7位 「無意識の色」 SKE48
 8位 「Candy Pop」 TWICE
 9位 「Wake Me Up」 TWICE
 10位 「ワロタピーポー」 NMB48

「10曲のうち多くの人が、“あ、知ってる” と思えるのが、ドコモのCMで流れまくっている欅坂46の『ガラスを割れ!』と、King & Princeの平野紫耀主演ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)で、主題歌も担当した『シンデレラガール』のサビ部分といったところでしょうか。

 ランキングを見ればわかると思うのですが、今のところ小学生から中高年がわかるような、いわゆる“国民的ヒット”がないんです

 と、ある芸能記者は言う。

「AKB48だって、この季節、盆踊りの曲によく使われる『恋するフォーチュンクッキー』が2013年、朝ドラの主題歌だった『365日の紙飛行機』が2015年。それ以降の曲は、枚数こそミリオンを記録しますが、万人が“知ってる”、“聞いたことある” というレベルまで達していないのではないでしょうか。

 ジャニーズやLDH、他のアーティスト系も同じような状況です。“三浦大知がすごい” ”米津玄師が売れている” ということは知っていても、誰もがその曲を歌えるかといえば、そうではない。ちゃんと認識している人が少ないんです」(同・芸能記者)

 ちなみに2017年の年間ランキングでは、1位の『願いごとの持ち腐れ』から『#好きなんだ』『11月のアンクレット』『シュートサイン』と、4位までAKB48が独占。以下、5位~7位が乃木坂46、8位と9位が欅坂46、そして10位が嵐だった。

 前出の記者は言う。

昨年、最も多くの人が耳にした曲は、ブルゾンちえみwithBがネタで使用した、オースティン・マホーンの『ダーティ・ワーク』と、バブリーダンスで再ブレイクした、荻野目洋子の『ダンシングヒーロー』だと言われていましたからね(笑)。

 そういう意味では、DA PUMPの『U.S.A.』が、今のところ多くの層に浸透しはじめているかもしれません。とはいえ、YouTubeの再生回数は伸びていますが、CDのセールスはそれほど多いわけではないんです。決して、耳に残る歌が売れる、というわけではないんです」

お笑い芸人もしかり

 ブルゾンちえみの名前があがったところで、次は上半期のブレイク芸人に目を向けてみよう。昨年は、ブルゾンちえみはじめ、アキラ100%やにゃんこスターなど、新星が生まれているが、今年はどうなのか。

「ひょっこりはんが、どうにかウケてるかなといったところですが、CMや各バラエティにひっぱりだこというほどではないですよね。

 ちょっと変化球的な要素が強い野生爆弾のくっきー、女性コンビのガンバレルーヤ、親子漫才の完熟フレッシュあたりが活躍しています。でも、どの芸人も、社会現象が起こるほどの活躍には至っていないと思いますね」(同・芸能記者)

 たとえ一発屋だとしても、お笑い界でも大ブレイクは訪れていない状況だ。これについて、ある放送作家はこう分析する。

まずは、ネタ番組の減少ですね。理由は、視聴率が取れなくなったということですが、とにかくネタを見せる機会が減りました。

 続いては、中高生以下の若い世代の興味が、YouTubeやTik Tokなどのスマホ動画のほうに移ってしまっていることが考えられます」

 さらに今年は平昌五輪、サッカーW杯といった大きなスポーツイベントに加え、芸能に関するスキャンダルが多発したことも理由にあげた。

「今年の上半期も、芸能人の不倫騒動や離婚が相次ぎました。小泉今日子と豊原功補、小室哲哉に高橋由美子や秋元優里アナウンサーの不倫騒動は大きな話題になりました。また、元TOKIO・山口達也の強制わいせつ事件は、連日テレビで大きく報じらレました。ということで、芸人にまで興味がいかないんですよね。

 一発屋芸人やヒット曲は“ブーム”なんです。そのブームというのは、コミュニケーションによって起こるもの。だから、別のコミュニケーションツールや話題のほうが強ければ、負けてしまうんです」(放送作家)

 2018年も残り約5か月。「2018年は〇〇の年」という、ふさわしい新星の登場に期待したい。

<取材・文/渋谷恭太郎>