天才華道家のヒロインと平凡な自転車店店主との格差ラブストーリーはゴールイン目前で破局し、新たな展開に突入。第2章を迎えたドラマ後半の見どころと、気になる結末をプロデューサーに直撃!
苦労知らずの令嬢にあらず
気高く咲く孤高の花
石原さとみが天才華道家に扮し、民放連ドラ初出演の峯田和伸が演じる平凡で取り柄のない男との格差恋愛が新たな展開を迎えている。脚本は『101回目のプロポーズ』『高校教師』などを手がけた野島伸司のオリジナル。
「野島さんには、1話完結、コメディーなどの制約にとらわれず“書きたいものを書いてください”とお願いしました。それがいちばん面白いと考えたからです。結果、気楽に見られるドラマが多い昨今にありながら、一瞬でも見逃せないほど複雑なものに(笑)。登場人物のこまやかな心のありようを丁寧に描いています」
と、松原浩プロデューサー。リアルタイムだけでなく、録画や動画などで繰り返し視聴されていて、反響を実感しているという。
「撮影現場でも何度も見たくなるような作品を作っているという手ごたえがあり、非常にモチベーションが高くなっています」(松原P、以下同)
華道の名門に生まれ、容姿端麗、才能にも恵まれた月島もも(石原)は結婚式当日、婚約者(三浦貴大)の二股が発覚して破談。傷心のももは平凡な自転車店店主の直人(峯田)と恋に落ち、結婚を決める。しかし、父(小日向文世)から自分の命を犠牲にしても、ももを家元にしたいと願った亡き母の思いを聞き、心揺れる。そして、ある決意から直人との結婚式の最中、元婚約者と逃亡─。
「序盤は、タイトルから苦労知らずのお嬢様を想像され、ももの言動やキャラクターに戸惑われた方が多かったようです。でも、実際の高嶺の花は高い山の崖にたった一輪で咲いています。ほかの花に囲まれているわけでも、日がよくあたるわけでもない。栄養状態だってよくないでしょう。厳しい環境で寂しく、しかし、気高く咲く花。本作のももは、まさにそんな女性です。天才で芸術家肌のお嬢様だったらこういう女性になるのでは? というヒロインを石原さんも納得して演じてくれています」
相手役の直人にもこだわった。
「不細工な男がガッツでヒロインを落とす構図ではなく、頭がいいのか悪いのか、醜いのか可愛いのかわからないような哲学者めいた男性をイメージして、峯田さんにオファーしました。キャスティングは、全員100点です」
野島脚本一字一句変えず
新たな相手との恋は?
撮影は終盤にさしかかり佳境に入っている。
「猛暑のなか、石原さんがアイスクリームを差し入れしてくれました。しかも10種類くらいあるものを石原さん自ら全スタッフにどれがいいか聞きながら配ってくださったんです」
堂に入った座長ぶりの石原を中心に、峯田ら共演者は仲がよく、和やかなムードという。ももの着物やお出かけ着など華麗なファッションととともに、石原の芝居は見どころ。
「家元と話すとき、直人や商店街の仲間と話すとき、どちらもセリフまわしはほぼ同じですが、ももの空気感はまるで異なります。これはひとえに石原さんの演技力によるものです。セリフが言いにくいからなどの理由で、撮影現場で脚本が変わることもありますが、本作は野島脚本を一字一句変えることなく撮影しています。アドリブに見えるようなシーン、笑いだすタイミングなども基本的に脚本に従っています」
第7話(8月22日放送)以降は、直人との結婚を破棄したももが、妹(芳根京子)との家元争いを繰り広げることに。そんなももの前に有名華道家の男性が現れる。一方、直人にも新たに女性(香里奈)との出会いが。ももと直人の恋は本当に終わったのか?
「ももと直人のシーンは序盤よりも減りますが、代わりにふたりのシーンは非常に重要で濃厚なものになります。お仕事ドラマのようにヒロインの失敗や成長に共感することはないかもしれません。しかし、人としての感情や本質などは永遠に心に残るものになるように描いていますので、ご期待ください」
生け花シーン、石原の手さばきに注目!
ドラマ後半では、女性の幸せを求めていたももが、華道家の道を究めることを決め生け花シーンが増え、見どころになっていく。
「石原さんはクランクイン前に10数時間、華道のレッスンに臨みました。“マイ鋏”を購入して、ご自宅でも練習三昧。“花は好きだし、生けるのも楽しい”と言っていました」(松原P)
<作品情報>
『高嶺の花』
日本テレビ系 水曜夜10時〜