古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第55回は鮫肌文殊が担当します。

サンドウィッチマン 様

 今回、私が表彰したいのは、現在、好感度芸人ナンバーワンの座をほしいままにしている東北が生んだ天才コンビ、サンドウィッチマンである。

サンドウィッチマンの伊達みきお(写真左)、富澤たけし(写真右)

 おそらく今、企画書に一番名前の挙がる彼ら。今年の秋以降のゴールデンタイム枠を目指すトライアル特番での起用率も凄(すご)い。「彼らなら何とかしてくれる」とテレビマンからの信頼が厚い証拠だ。

 業界でも彼らのことを悪く言う人を聞いたことがない。伊達さんのメガネの奥の優しい瞳。個人的にサンドウィッチマンの本質はあの瞳だと思う。どんな番組でも対象へのスタンスがとてもあったかいのだ。

 最近、NHKで放送された『病院ラジオ』という番組。オンエア直後から各所で「あれ、見た?」と話題の感動プログラム。

 サンドの二人が病院へ出向いて院内で手作りの簡易ラジオ局を開設。患者やその家族の普段なかなか言えない本当の気持ちをリクエスト曲にのっけて送る形式のドキュメンタリー。ラジオブースに座った二人が、患者さんの本音トークを次々に引き出していく。これも絶対に人のことを目先の笑いで貶(おとし)めないサンドウィッチマンだったからこそできたこと。他の芸人では考えられない奇跡のような内容だった。

 そんな大変評判の高い二人といつか仕事がしたいと思っていたら、この夏、某特番のMCとしてお迎えし、やっとこさ実現した。

 しかーし! そこには予想外のトラブルが待ち受けていたのである。

 テレビマンなら誰もが知っている歴史ある某老舗スタジオで収録していたのだが、トークがいまいち跳ねない。なぜだ?

「暑い……」

 収録の合間に富澤さんが呟いた。気がつけばスタジオの温度がどんどん上昇していた。調べてみたら、連日の猛暑でオーバーヒートした空調が収録開始直後にぶっ壊れて、スタジオ内なのに外気温と同じ灼熱(しゃくねつ)地獄状態になっていたのだ。スーツ姿の伊達さんの背中が汗びっしょり。サンドの二人だけでなく出演者の皆さんも全員、フラフラ。そりゃそうだ。今年の殺人的暑さの最中、外で収録していたのと同じなんだから。

 まさかこんな形で、今夏の異常気象に番組を邪魔されるとは思ってもみなかった。チキショー!

 よってサンドの二人には「スタジオのクーラーが壊れてクソ暑い中、収録を頑張ってくれて本当にありがとう」賞を差し上げて表彰したい。

 収録終わりで、この特番のリベンジを誓った。サンドウィッチマンの二人、その時が来たらまたお声がけしますので、よろしくお願いします。


<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。

■近況
 鮫肌文殊率いる関西伝説のカルトパンクバンド捕虜収容所へのライヴ依頼、募集中! この原稿がアップされる頃には、年に1回やっている沖縄のお笑いコンテストの審査員仕事&宜野湾のバー「南国の夜」でのDJイベントを終えている予定。