“人は見た目が9割”とは、よく言われる言葉ですが、本当にそうなのでしょうか? 婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした男女の婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆく連載。今回は、『お見合いに、外見は関係あるのか?』です。

写真はイメージです

お見合いって、やっぱり顔が命ですか!?

 お見合いのお相手選びをする時に、男性はまず女性の“顔写真”を見る。次に“年齢”をチェック。女性の場合は、“顔写真”“年齢”そして、“年収”の順。

 それがクリアになると、住んでいる場所、職種、家族構成などを細かく加味していきますが、男女ともに、真っ先に見るのが“顔写真”です。

 なので、“お見合い写真は、120%、いや200%の出来で撮る!”というのは婚活において暗黙の了解事項です。お写真の修正も当たり前ですから、お見合い経験がある方たちは、“写真の通りの人が現れる”とは、誰も思っていません。

 先日、お見合いを終えたある男性会員が言っていました。

「いや、今日の女性は向こうから声をかけられるまで、全くわからなかったですよ。写真の原型をとどめていなかった(笑い)」

 また、あるお仲人さんは、こんなことを言っていました。

「お写真の男性は、髪の毛がフサフサだったの。でも、現れた男性は、頭皮が透けて見えるくらいの寂しい感じ。お相手の仲人さんにそのことをあとで言ったら、『お写真を撮った時には、髪の毛があったんですよ』って言い張るのよ。あんなに急激に寂しくなるわけないじゃない!!」

 さて、こんなふうに見た目のギャップがあったから、お見合い後に交際につながらないかと言うと、これがそうでもないのです。見た目のギャップを凌駕(りょうが)できる他の魅力をその方が持って入れば、交際になるんですね。

 確かにとっかかりは、見た目なんです。でも、真剣に婚活している人たちは、アイドルの追っかけをしているわけではない。生涯を共にする伴侶を探しているので、最終的には見た目よりも“お人柄”で、相手を選ぶのですよ。

92キロの巨漢なのに、お見合い通過率100%

 会員の佐野圭佑さん(25歳、仮名)が、初めて入会面談にやってきた時には、あまりの巨漢にびっくりしてしまいました。尋ねたところ、174センチ、92キロとのことでした。

 お腹の肉がベルトに乗っている。決してハンサムではない。“これは、苦戦するかもしれない”と思ったけれど、話をしてみるとトーク力があって、よく笑う。こちらもついつい笑顔になって、楽しい気持ちになっていました。

「圭佑さん、お見合いの時にはスーツのジャケットのボタンは外したらダメよ。そのお腹は女性に見せない方がいいわ」

「了解しましたっ! このハラ、なんとかジャケットで隠し通します!!」

 おどけながら作った笑顔には、とても愛嬌(あいきょう)がありました。

 仲人の経験則から、彼は実際にお見合いができるところまでいけば、女性から“交際希望”を出してもらえる、と面談後に確信したのです。

 そこで、お写真は写真スタジオで細く見えるように正面ではなく斜めから撮影しました。フェイスラインもじゃっかん細く修正。

 登録すると、21歳から32歳まで、10人の女性からお見合いのお申し込みがきたので、それら全てを受諾して10人とお見合いしました。

 すると、全ての女性から“交際希望”が来たのです。

 結婚相談所の場合、お見合い結果は全て仲人が仲介するのですが、“交際希望”が来た時のお相手仲人さんから添えられているコメントには、決まってこう書かれていました。

「とても楽しい時間を過ごさせていただいたようです。こちらは“交際希望”でございます」

 あまりにも通過率が良かったので、仲良くさせていただいているお仲人さんの会員さんとのお見合いの時に、一度、私が同席したことがあります。

 お見合いがスタートしてから、女性は彼の話に笑いっぱなしでした。

 まずは太っていることを自虐ネタにする。しかし、そこには悲壮感や卑下したところはなく、カラッとした明るい笑いに変える。女性の話は笑顔で聞いてまずは共感する。隙間にうまく質問を挟み込んでいく。その会話力は見事でした。

 イケメンには、確かに無条件で目がいきます。最初は見た目かもしれません。ですが、話をしていて、会話が続かなかったり、自分の事ばかり話したり、自慢話が多かったり、上から目線の“俺サマ会話”だったりしたら、どうでしょうか?

 出川哲朗さんやホンジャマカの石塚英彦のように、ゆるキャラのような見た目、そしてトークが抜群に面白かったら、いくらでも女性にモテるのですよ。

写真よりも1.5倍は、太っている女性

 休会していた石川清美さん(仮名、33歳)から、「お見合い活動を再開したい」という連絡がありました。

「この半年間で、トレーニングジムのダイエットプログラムをやって、20キロ痩せたんです。お見合い写真も撮り直しをしました」

 そういって事務所にやって来た清美さんは、昨年お会いしていた女性とは別人でした。もともと顔立ちは整った方だったので、美しさに磨きがかかっていました。

 有名トレーニングジムのCMで、芸能人の方たちがビフォー、アフターを公開しますが、それくらい違っていました。

 そこで、登録写真をダイエット後の美しいお写真に変えました。

 ところが、お見合いを再開して3か月もしないうちに、どんどんリバウンドしていき、痩せていた時のお写真とは別人、どちらかというと元の体型に近づきつつあったのです。

「お写真を撮り直しましょうか」と提案してみたのだけれど、「また痩せるので、このお写真でお願いします」と言ってききません。

 これじゃあ男性から、「詐欺じゃないですか」とクレームがくるかもしれないと心配していたのですが、「写真とは違う」と言われたことは一度もありませんでした。

 それどこころか、清美さんがお見合いをした男性からは、8割方の確率で“交際希望”が来ていました。

 一度、彼女を婚活パーティに連れて行った時に、彼女がどんなふうに男性とコミュニケーションをとっているのか、遠くから見ていたことがありました。

 すると彼女は、どんな男性にもやや身を乗り出し気味にして、笑顔で話をしていました。身を乗り出し気味に会話をすると、相手に、“私は、あなたに興味がありますよ”という感覚を与えることができるのです。

 さらに、会話に共感する相づちも見事でした。

「え、そうなんですか〜、さすがです」

「それ、知らなかった」

「わ〜、すごいですね」

 男性の気持ちをつかむ「さしすせそ」を、うまく取り入れていたのです。

ご存知ですか? 男性の気持ちを掴む「さしすせそ」

「さ」さすがです。
「し」知らなかったぁ〜。信じられな〜い。
「す」すご〜い。素敵! 素晴らしいですねぇ〜。
「せ」センスいい〜〜。
「そ」そうなんですね。そんなの初めて! 尊敬しちゃう。

 ベタですが、この相づちのテクは、モテ本などでは有名。会話に織り交ぜると、男性は、“この女性は自分を気に入っているんだな”と思ってしまうのです。

 余談ですが、ホステスさんやキャバ嬢が、お客さんとの会話に困らないように、会話のネタ帳にしているのが、「たちつてとなかにはいれ」だそうです。

「た」食べ物。「ち」地域。「つ」通勤。「て」天気。「と」富。「な」名前。「か」身体。「に」ニュース。「は」流行り。「い」異性。「れ」レジャー。

 相手の心をつかむのに一番大切なのは、コミ力、会話力。

「女って、しょせん男を顔で選ぶよな〜」と言う男性、「結局、美人って得よね」と言う女性、そのセリフを言ってしまうマインドが、ご自身をモテなくさせているのですよ。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/