事件を未然に防ぐ謎の探偵と莫大な遺産を相続することになり命を狙われる女子大生が、刺客との攻防を繰り広げるコメディー・ミステリーがクライマックスに突入。気になる結末に加えて猛暑での撮影現場での秘話、滝藤の野望とは―。
ミステリーなのに事件も殺人もなし
滝藤賢一と広瀬アリスがダブル主演する痛快コメディー・ミステリー。原作は井上真偽の同名小説。
滝藤は探偵の千曲川役、広瀬は千曲川が守る巨額遺産相続人の女子大生、一華役を好演。ツンデレ家政婦の橋田役の水野美紀、遺産争奪戦を繰り広げる大陀羅一族の“ラスボス”朱鳥役の片平なぎさらが共演。
「コメディーとミステリーのバランスがいいとの感想をいただいています。本作は、千曲川の“事件を未然に防ぐ”がポイントですが、事件が起こらない誰も死なないミステリーは“起承転結”の“起”の部分がなく、映像化にあたっていちばん悩みました」
と、制作する読売テレビの中山喬詞プロデューサー。
「キャラクターのインパクトも必要なのでキャスティングには顔にも画力のある方々にオファーし、快諾していただきました(笑)。千曲川や一華は原作とは違う雰囲気のキャラクターになっていますが登場人物全員を愛おしく感じていただけるようにこだわっています」(中山P、以下同)
千曲川は、5兆円もの莫大な遺産を相続することになった一華の身辺警護を橋田から依頼される。
一華の父のきょうだい、大陀羅一族は最初に一華を殺した者が遺産を総取りする争奪戦を展開。毎回、一華に魔の手が忍び寄るが、千曲川は些細な違和感やミスを見逃さず、最後は決めゼリフの“トリック返し”で犯人をおしおき。“やられる前にやり返す”のだ。
笑いやパロディーに加え、視聴後の心地よさも大切にしているという。
「偏屈な千曲川が秘めている正義感や、表には出さないけれど何があっても一華を守ろうとする心の内を感じ取っていただければ。滝藤さんの二枚目ぶりと三枚目の部分の緩急は、素晴らしいです」
ラスクの差し入れに水野がイラッ!?
連日、猛暑の中での撮影ではこんなエピソードが。
「滝藤さんは、冷たい飲み物をよく差し入れしてくださいますが、面白かったのは炎天下の屋外ロケのとき。“おいしいんだよ”と自信満々にラスクを差し入れしてくれたんです。たしかにおいしかったけど、身体中の水分をラスクに奪われ、口の中はパサパサ(笑)。水野さんが“なんでラスク?”とイラッとしたきつい口調でツッコみ、そういうことに笑える雰囲気なんです」
千曲川の登場シーンには、滝藤から提案された台本にはないアイデアが使われることも多いそう。
「滝藤さんには“踊るようにセリフを言ってください”とリクエストしています。軽やかな動きをするにはセリフをしっかり覚えておかなくてはならない。冗談半分で“セリフ多くない?”と言いつつ、専門用語の多い長ゼリフも完璧に頭に入れて現場に来られています。広瀬さんは、深夜の撮影でも明るく元気でムードメーカー。変顔や絶叫も厭わないコメディエンヌの才能だけでなく受けの芝居、相手のアドリブへの対応など瞬発力が見事です」
滝藤、広瀬、水野のアドリブ合戦が展開されることもしばしば。
「滝藤さんは事前に相談してくださるんですが、広瀬さんと水野さんは本番で仕掛けてくる感じでスタッフも大笑いです。滝藤さんはセリフの多さを嘆き、広瀬さんは出番が多いとため息をつき、そんな様子を水野さんがニヤニヤ笑いながら見ているのがいつもの光景(笑)」
クライマックスに向けて遺産相続をめぐる最終決戦や一華と城之内(佐藤寛太)の恋の行方も気になるが、この先、滝藤が期待していることがあるという。
「千曲川が一華と橋田に取り合いされる三角関係のラブストーリーで終わることだそうですが、“それはないです”と断言しておきました(笑)。でも本作に、すごく愛情を持って演じてくださっていて、続編を期待されています」
ドラマの結末同様、結論はいかに!?
個性的スタイルと偏屈で子どもっぽい一面もある千曲川はちょっと変人。
「衣装はプライベートでもおしゃれな滝藤さんのアイデアを取り入れています。
読唇術や射撃の腕を駆使して探偵の仕事は早いけど食べるのはすごく遅い。お化けが苦手。いつも金欠。行きつけのバーで皿洗いしても飲みたい酒好き。愛すべきキャラクターに加えて、知られざる過去が最終話までに徐々に明らかになっていきますので乞うご期待!」(中山P)
<作品情報>
『探偵が早すぎる』
日本テレビ系 木曜夜11時59分~