「撮影初日から“終わりたくない”と思う豊かな現場でした」
都内の繁華街にあるミニシアターは9月上旬の夜、150あるすべての席が埋まっていた。この日は映画『きみの鳥はうたえる』の初日舞台挨拶が行われており、主演の柄本佑は冒頭のように観客に挨拶。共演者の染谷将太や石橋静河、三宅唱監督らも出席し、映画への思いを語った。
「今回の映画は3週間にわたり、北海道でオールロケ。撮影時、柄本さんの妻の安藤サクラさんが妊娠中でした。彼女も出産ギリギリまで仕事があったので、お互いに撮影で家をあけることが多かったんです。
でも休みはうまく時間を合わせて、地元のスーパーで買い物をしたりして夫婦の時間を大切にしていました。サクラさんは出産後はしばらく子育てに専念しようと思っていたみたいです」(芸能プロ関係者)
楽屋に戻ると
柄本はインターネットニュースの取材に対して、《16年くらいこの仕事やってきましたが、そのご褒美のような映画》と答えていた。それだけにこの日の舞台挨拶は終始、上機嫌だったが、どことなくソワソワしているような気も。その理由はイベント終了後に明らかになった。
楽屋に戻るとすぐに電話をかけ始める。相手は妻のサクラだ。
「仕事が終わった連絡をしようとしたら、娘さんがサクラさんの携帯で遊んでいたみたいで、出られなかったみたいでした。彼女が大阪に撮影で行ってしまう前は、舞台挨拶を見に来たこともあります」(映画配給会社関係者)
この日、舞台挨拶を終えた柄本にスタッフが「この後、打ち上げどう?」と誘っていたのだが、彼は迷いなく首を横に振る。
「実はこの日は、10月から始まる朝ドラ『まんぷく』(NHK)の撮影で、娘さんと一緒に5月から大阪に滞在していたサクラさんが、東京での仕事のために帰ってくる日でした。
柄本さんも1か月ほどカナダでハリウッド映画の撮影をしていて、日本に帰ってきたばかり。少しでも早く2人に会いたかったんでしょう。
楽屋ではうれしそうに“新幹線に間に合うかな〜”と、家族の到着を待ちわびていました。衣装のスーツもすぐ脱いで、帰る準備をしていましたね」(前出・映画配給会社関係者)
わずか5分ほどで、着替えをすませた柄本は、舞台挨拶を見に来たスタッフたちに笑顔で「ありがとうねー」と言葉をかけ見送ると、同じく妻が女優であり、小さな子どもがいる染谷のもとへ。
「今度、家族で会おうよ!」
と再会を誓って別れると、足取り軽く帰っていった。
豊かな撮影現場の後は、やっぱり温かな家庭が落ち着くみたい。