検察が不起訴とした案件を国民の声に押されて強制起訴する役目を担う指定弁護士の活躍を描く。耳慣れない弁護士ながらタイムリーな作品テーマは、新たなリーガルドラマとして注目されそう。主演の北川景子が弁護士役に初挑戦した舞台裏とは―。
ガチンコ女優・北川景子
“真実を明らかにする”と使命感を持った弁護士の本格リーガルドラマ。『相棒』や『科捜研の女』などを手がける櫻井武晴が脚本を担当した。
主演の北川景子は、弁護士役初挑戦。役作りのため、実際の裁判映像や裁判をテーマにした作品を見たり、指定弁護士の資料が少ないこともあって監修の弁護士にレクチャーを受けるなどして取り組んだ。
「北川さんとは過去に2度ご一緒していますが、体当たりで演技する方です。ガチンコ女優というか、小手先の技術や自分をきれいに見せようという考えは一切なく、ウソのないお芝居が魅力です」
こう語るのは、竹園元プロデューサー兼監督。
北川演じる一ツ木唯の“バディ”となる検事の橘慎二役は、北川と初共演の北村一輝が演じる。
「演技のふり幅が広い北村さんは、櫻井作品とも相性がよく、今作でも深みのある演技を見せてくださいました」(竹園P、以下同)
唯の夫役は、北川と初共演のえなりかずき。
「北川さんは『渡る世間は鬼ばかり』の大ファンで、えなりさんが夫役とお伝えしたら大喜び。テンションが上がったそうです(笑)」
見ごたえ抜群の骨太作品!
“指定弁護士”は耳慣れないが、これは職業名ではない。
検察が不起訴にした容疑者を市民による“検察審査会”が2回続けて“起訴すべき”と判断した際、検察官役として指定される弁護士のことを指す。
検察が“白”と判断した事件を“黒”と主張するため、指定弁護士は非常に不利で、負ける可能性が高い。そのため、経歴に傷がつくのを恐れて敬遠する弁護士も多い。
そんな指定弁護士を引き受けた唯が対峙するのは、京都選出の衆議院議員(石橋蓮司)。
国有地の不当な払い下げ疑惑を明らかにしようと奮闘するが、カギを握る議員秘書は自殺。
捜査は難航するが、唯はあきらめない。真実を明らかにするため全力で突き進んでいく。
「贈収賄事件を扱い法律の専門用語も多く登場しますが、(出演する)演技巧者の方々によってわかりやすく、見ごたえのある骨太なエンターテイメント作品になっています。
そりの合わなかった唯と橘が徐々にバディになっていく過程や人間ドラマの心情描写も丁寧に描いています。
ひとりの女性の成長物語としても、お楽しみいただけると思います」
酷暑の京都で撮影
撮影は今夏に酷暑の京都で行われた。
「衣装は通気性のよさなどを考慮したとはいえ、キャストの方々は、非常に暑かったと思います。
唯はいつもスーツをビシッと着込んでいるので、北川さんは大変だったと思いますが、顔に汗をかいているのを見たことはないですね。
常に氷のうを首や頭に当てて冷やし暑さ対策はしていました」
難解な法律用語もNGなし
“セリフ覚えは早い”という北川は、難解な法律用語も間違えることがなかったという。
「セリフを言い間違えたNGというのはありません。
クライマックスの法廷シーンは10分にも及ぶ長いものですが、かなり早い段階からセリフを完全に頭に入れていたようです。
迫力満点のシーンになり、撮り終えた瞬間は“やりきった”というとてもスッキリした顔をされていました。きっとセリフを早く吐き出したかったのでしょう(笑)」
ふつうかな? おネエかな?
松重豊が演じる唯の行きつけのバーのマスター・筧田にも注目。
「櫻井さんから筧田についてのみリクエストがあったんです。“ふつうかな? おネエかな?”くらいの感じの演出を、と(笑)。松重さんは楽しみながら絶妙の筧田を演じてくれました」
指定弁護士の唯は、最後は“黒”の真実を明らかにできるのか? 余韻の残る、気持ちのいい結末は必見です!
唯&隆司の夫婦にも変化が
唯と橘のバディが見どころだけど、すれ違い続きの唯&隆司の一ツ木夫婦の関係の行方も注目ポイント。
「指定弁護士を経験することで唯は法律家として、人間としても成長していきます。
私生活でも、まるでタイプの違う隆司との関係にも変化が起きますので、見届けてください」(竹園P)