「去年の『G1 CLIMAX』では成績がふるわなかったこともあり、あまり話題にならなかったんです。でも、この役づくりのために髪を切ったら、ヤフーニュースに載ったんですよ(笑)」
“100年に1人の逸材”と呼ばれ、エースとして新日本プロレスを牽引してきた棚橋弘至が、映画『パパはわるものチャンピオン』で初主演! 原作は同名の大人気絵本。かつてエースとして活躍したものの、ケガからの長期離脱により、現在は悪役レスラーとして活動する主人公を演じる。
岐阜県出身の3大俳優
「小学校行事の読み聞かせで読んでいたので、原作は知っていました。でも、まさか自分にオファーが来るとは思わなくて、驚きましたね」
映画やドラマの出演経験はあったものの、今回は主演ということもあり、邦画を見て研究を重ねたとか。
「試合の移動時間などに、同じ岐阜県出身の綾野剛さんの作品を中心に邦画を見て勉強していました。個人的には綾野剛、伊藤英明、棚橋弘至が岐阜県出身の3大俳優だと思っているので(笑)」
プロレスも演技も、人を魅了するという点では共通点があるが、演技をしたことで、プロレスにも反映されたことがあったという。
「いいパフォーマンスをするために、瞬間的にテンションが上がるのはプロレスでも一緒。でも役者の方のオン・オフの切り替えは本当に早くて、勉強になりました」
メディアに出る本来の目的
演技は今後も続けたいそうだが、レスラーであることが大前提とも。
「40歳を過ぎて、こんなに一生懸命になれることがまだあったんだって感じるほど、楽しい現場でした。
でも俳優業やメディアのお仕事は、プロレスの楽しさを多くの方に知ってもらうためでもある。
プロレスラーとして活躍できているからこそ、こうして俳優にも挑戦させてもらえている。
以前、ケガで試合に出られない時期に、ファンに“試合も頑張ってください”と言われてしまって……。
その言葉で、自分は何のためにテレビに出ているんだろう? プロレスを知ってもらうという、本来の目的を忘れていたなって気づかされたんです。
だからまた同じようなことを言われないためにも、本業のほうもより一層、頑張っていきたいですね。あ、役者のオファーのほうもいつでもお待ちしています!(笑)」
棚橋のほかにも、オカダ・カズチカ、真壁刀義など人気レスラーが多数出演。中でも、悪役レスラーの相棒・ギンバエマスク役を演じた田口隆祐には注目してほしいと語る。
「木村佳乃さんから、“プロレスラーだと思わなかった。役者に向いているわよ”とお墨つきをもらったほど。主演で夫役の僕は最後まで、褒めてくれなかったのに……(溜息)」
選択するなら困難
悪役レスラーをやっていることをなかなか息子に伝えられず、葛藤するシーンも描かれているが、棚橋自身には当てはまらないそう。
「人生で選択する場面になった場合、より困難だと思うほうを選ぶようにしているので、悩んだりしたことはないですね。
困難なほうを選ぶ理由は、そっちのほうが達成したときの充実感があるから。充実感は、この作品でもキーワードになる部分だと思います」
プロレス以外での“チャンピオン”
最後に、プロレス以外での“チャンピオン”だと思う部分について質問すると、エースらしい答えを。
「運動ができて、勉強もできて、優しくて、明るくて……僕、悪いところがないんです(笑)。
デビュー当時、“太陽の天才児”というキャッチフレーズをつけていただいたんです。
輝く星はたくさんありますけど、すべては太陽を中心に回っているし、ひとつしかない。そんな存在でいられるよう、今後も頑張っていきたいですね」
岐阜県の好きなところ
朝ドラ『半分、青い。』の舞台になるなど、地元・岐阜県に注目が集まっていますが、好きなところは?
「飛騨高山や下呂温泉など有名な観光地もありますが、のんびりしたところが個人的には好きですね。川魚や水も美味しいですし。
朝ドラだけでなく、映画『君の名は。』『聲の形』と人気アニメの舞台にもなっているんですよ。
今回、朝ドラから声がかからなかったことだけが少し不満です(笑)」