7月にデビュー15周年を迎えたユニット・スキマスイッチが、ラブソングを集めた初のセレクションアルバム『スキマノハナタバ ~Love Song Selection~』を発売する。大橋卓弥(40)と常田真太郎(40)のふたりに話を聞いた。
常田「3月にリリースしたアルバム『新空間アルゴリズム』に収録している『未来花(ミライカ)』(ピアノとボーカルのみ)の別バージョン(ベース、ドラム、ストリングスを加えた)として、ふたりが敬愛するビートルズがレコーディングしていたロンドンのアビー・ロード・スタジオでレコーディングし、ふたりとも納得のいく仕上がりになったので、ぜひCDで展開したいと。そんな折に15周年を迎えるので“記念日”をテーマにしたセレクションアルバムを作ろうということになりまして。記念日に贈りたい、聴きたい曲をCDにしたい気持ちからスタートしました」
大橋「音楽を花束のように贈り物にしてもらえたらすごくうれしい。僕らの曲には“すごく幸せ”っていう作品があまりないんです。ただ、僕らが書いた詩を、こんな解釈もしてくれるのかと気づかされることがあって。例えば『奏(かなで)』は別れを告げる歌詞ですが、門出の歌として結婚式で流していただく機会がある。聴いてくださる人が、それぞれの解釈で思い出を作ってくださるといいなと思います」
収録曲には、前出の『未来花(ミライカ)for Anniversary』や彼らの代表曲『奏(かなで)』、今夏大きな話題を集めたテレビ朝日土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ』の主題歌『Revival』も。
大橋「ドラマのために書き下ろしたものではないんです。作り終わった曲を聴いたスタッフの方が“ドラマにぴったり合うから”と使っていただけることになって」
常田「大事にしていただきましたね。曲の使い方も含めて」
大橋「僕らの周りもみんなドラマを見ていましたし、僕らも久々に毎週放送を楽しみにして。カメオ出演もさせていただきました」
自分をドラマのキャラクターに置き換えて見たことも?
大橋「それはなかったです(笑)。いまの彼の気持ち、わかるなと思うときはありましたけど」
常田「女性はするんですかね? 男子は、あまり置き換えないですよ」
大橋「主人公に対して“なんでこんな行動しちゃうんだよ”っていうのはあるよね」
常田「それは、ある(笑)」
移動の新幹線も隣の席に座る
今回のアルバム収録曲を含め、デビュー当時からスキマスイッチとして発表した曲すべての作詞・作曲をふたりで行っている。
常田「当たり前ですが、最初からふたりの向いている方向が別々のときもあります。時間をかけて何度も話し合いをしながらひとつの作品にしていく。100曲以上制作してきましたが幸せなことに、発表しなければよかったと後悔した曲はないですね」
意見が合わず、少し冷却期間を置こうという話になったことがあるかを聞くと、
常田「怒って口をきかないってことはないです。話す内容がなくて、しゃべらないことはありますけど(笑)」
大橋「最近は少なくなってきましたが、僕ら移動の新幹線も隣の席に座りますし」
常田「飛行機で隣っていうのもありますよ」
大橋「隣がいいとは思いませんけど、隣でもいい(笑)」
常田「どっちでもいい(笑)」
いつも隣にいる、それが当たり前となったふたりは、この15年の活動で解散を考えたことはないと語る。しかし、大橋がグループよりもソロ活動を積極的に行っていた年がある。それは、ちょうど10年前。
大橋「いま考えればソロ活動をしたことで、ここまでスキマスイッチが続けられたのかもしれないとも思います。デビューから5周年を迎えるまで、とにかくバタバタと走り続けていて、ソロ活動をしたことで、悲鳴をあげていた身体を休ませることができたんです。ただ、当時のインタビューでも、スキマスイッチという母体があるからソロ活動ができると、よく言っていました。解散しないと直接的には言わなかったけれど、感じてほしいというのはあったと思います」
常田「こんなに早いタイミングでソロ活動かというのはありました。ただ、長く続いている2人組の先輩は、ほとんどソロ活動をしているんです。いま振り返って、やらなければよかったと思うことはない。この先の未来も、そういたいですよね。挑戦を続け、いい意味でみなさんを裏切っていきたい」
大橋「この先も、音楽を好きでいたい。音楽が好きで一生懸命、努力する。成長しようとする心は変わらず持っていたいですね」
母の遺言「花束を贈ることができる人になりなさい」
今回のアルバムは、スキマスイッチの15年の奇跡を束ねたような作品。アルバムタイトルにもある“ハナタバ”を最近贈ったことがあるかを聞くと、
常田「はい、ちょこちょこ。友達に子どもが生まれたら花束をプレゼントしますし。母親が生きていたら、いまも贈っていると思いますし。植物がすごく好きな母だったんです。遺言に“花束を贈ることができる人になりなさい”ってあったくらい」
大橋「花束を贈ったのは、去年の母の日ですね。今年は、忘れちゃって(苦笑)」
常田「そういえば、このあいだの(5月の大橋の)誕生日のときにプレゼントしたな。福岡のステージで。自分で花屋に行って選んで」
大橋「そうだ、もらったね(笑)」
ともに今年40歳!
大橋「40歳って想像がつかなかったんです。20代から30代になったときは、想像できたんですが。(人生の)折り返し地点なのかなって感じはしますね。最近、ちょっと死を意識するようになったりして。あと何回、これができるのかなとか、これはやっておきたいなと思うようになりました。例えば、富士山に登ったり、フルマラソンに挑戦してみたほうがいいのかなとか。あと、何曲書けるんだろうとかって、考えるようになりましたね」
常田「僕は、そこまでないですね。20歳とか、30歳のほうが意識する気持ちが大きかったかもしれません。周りから言われるので。40代は、これができなくなったよりも、これができるようになるんじゃないかなっていう、そっちの期待が大きいです。40代は40代の、50代は50代の、60代は60代のできることがあると思うので」
『SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA~Reversible~ Presented by The PREMIUM MALT'S』