事故で車イス生活となっていた、高校時代の初恋の先輩である建築士の樹と偶然再会し、再び恋するインテリアコーディネーターのつぐみ。“好き”だけでは越えられない壁にぶつかりながら、互いへの思いを深めていくふたりの姿を描いた映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』。
人気漫画『パーフェクトワールド』を映像化した今作を「ド直球の王道ラブストーリー」と語る岩田剛典(29)が、主人公の樹を演じている。
「障がいのある役柄は初めて。樹のモチーフになった阿部さんに撮影に入る前にお会いできました。そのあと、現場にも来てくださったので、そのたびにコミュニケーションをとらせていただいて。どんなことに不便を感じるのかとか、生活の実態を具体的に教えていただきました。あとは、撮影以外でも車イスに座る生活を体験することで、少しずつ樹という役柄に入っていったように思います」
合併症で命を失うリスクもある自分が、パートナーとなる女性との未来を考えてはいけない――、そう考える彼を変えていくのが、杉咲花演じるヒロインのつぐみだ。
「つぐみのいちばんの魅力は、まっすぐにひとりの人を思い続けるところ。事故の後、障がい者という目で見られている自分に対して、久々に出会った彼女は事故の前を知っていて、当時と同じ接し方、同じ目線で話してくれる。生きる希望というか、新たな日々の活力をくれるつぐみは、救世主のような存在だと思う。そういうつぐみに自然と惹かれていった樹に共感ができました」
つぐみを傷つけたくないという思いから、彼女を遠ざけようとする樹。もし、同じような立場だったら?
「自分なら、はっきり言わないかもしれない。そうすることで、選択肢の幅が狭くなっていくことがわかっているから。必要以上に伝えなくてもいいことは自分の中にとどめているタイプです。恋愛に関しては、相手の行動を待つ樹とは違って、自分から先に動きます。好意を知ってから、なんとなく好きになっていくってことはないかな……」
今作では、「これが最後(笑)」と語るブレザーを着た高校生役にも挑戦!! 図書館でつぐみに名前を聞く場面でのキラッキラの笑顔にキュンとさせられるはず。
「男子校だったので、あんなシチュエーションになることがなかったです。いいですよね~。当時は、図書館に行くこともなかったな。読書よりも、身体を動かしているほうだったので。経験できなかったことを、時を越えて体験できてラッキーでした(笑)」
そう笑顔を見せる岩ちゃん、俳優としての弱点を“瞬発力のなさ”だと言う。
「いちいち考えちゃうんです。それが長所であり、欠点。監督からのリクエストだとしても、納得してから演じないと自分で責任が持てないじゃないですか。(世の中に)出たものしか評価されない世界なので、仕事に関しては完璧主義者だと思います。それ以外は、適当な部分ばかりなんですけど(笑)」
では、これがあったら、さらに“パーフェクト”な岩田剛典に近づけるのにと思うものを聞くと、
「笑いのセンスですね(笑)。登場した瞬間に、その場を和ませることができる人っていますよね。そういう笑いのセンス。どっちかと言えば、僕は会話の中で面白いことを言うタイプなので。以前、ドラマ『崖っぷちホテル!』で共演させていただいた(お笑いコンビ・野性爆弾の)くっきーさんって、ずっとふざけているというか、周囲を笑顔にしていて、ああいうことができたらいいなと思います。
できたらできたで、(笑いを)求められてちょっと疲れるかもしれないけど(笑)。EXILEのメンバーでたとえると、(関口)メンディーとか。いるだけで、みんなが一気に明るくなる。そういうのが欲しい。僕には、求められていないかもしれませんけど(笑)」
共演した杉咲花ちゃんのこと
「撮影に入る前に花ちゃんが出ている映画『湯を沸かすほどの熱い愛』を見て、若いのにすごい女優さんだなと思いました。共演が楽しみな一方で、気を引き締めないといけないとも。実際に会ったらものすごくシャイな子で、意識して自分から話しかけるようにしました。花ちゃん、「カッコいい」とかほめてくれることしかしないんですよ(笑)。気配りのできるいい子です」
劇中、付き合った記念でネックレスを贈る樹。岩ちゃんなら?
「彼女の好みがわかれば洋服とか、カバンとかポーチとか小物をプレゼントします。アクセサリーとかって、必ずそれを身につけていなくちゃいけないって相手を縛っちゃうことがあるかもしれないので」
<出演情報>
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』
10月5日(金)全国ロードショー