「亡くなる1年前、京都大学に“近い将来ノーベル賞間違いなし”と言われている免疫学の教授がいるということで、主治医を通してがん細胞を送り、特別な抗がん剤を作ってくれないかお願いをしていたそうです」(歌舞伎関係者)
昨年6月22日に亡くなった小林麻央さん。乳がんは肺、大腸や小腸に転移し、彼女の夫である市川海老蔵や親族は、あらゆる治療法探しに奔走した。すがった先の1人が、今回2年ぶり26人目の日本人としてノーベル賞の受賞が決まった京都大学の本庶佑特別教授だったという。
「ただ、薬の開発には時間と莫大なお金がかかりますので、麻央さんは具体的な治療につながらなかったのかもしれません」(同・歌舞伎関係者)
『オプジーボ』でみるみる回復
12月10日にノーベル医学・生理学賞を受賞する本庶教授の成果は、がん免疫治療薬『オプジーボ』に結実し、多くの命を救っている。元首相の森喜朗氏もその1人だ。
「政界引退後に肺がんを患い、手術を受けても病状が回復しなかった。'16年には髪の毛が抜け、酸素ボンベなしでは移動が困難な状態に。奥さんは主治医から“もって今年いっぱい”と余命宣告を受けていたそうです」(政治部記者)
『オプジーボ』で治療したところ、みるみる体調が回復。
「あまりに元気になりすぎて、昨年出版した著書のタイトルを当初の『遺言』ではなく、『遺書』に変更したと本人が話しています」(同・記者)
『NPO法人21世紀構想研究会』の理事長で、科学ジャーナリストの馬場錬成さんは、
「免疫療法は、効く場合と効かない場合があります。がんはさまざまな種類があり、詳しく分類すればおおよそ数百種類になると言われています。また、人間の体質によっても効果のある治療薬は異なります。患者と主治医が相談し、信頼関係を築き、がんと向き合い、ピタリと合う薬を探すことが理想的です」
とはいえ、がん患者には希望の光に映る薬。
現在、がん闘病中の女優、古村比呂は自身のブログで《ノーベル医学賞・生理学賞を受賞された本庶佑氏おめでとうございます。がん患者にとって希望が持てます!! がんの三大治療法「手術療法」「化学療法」「放射線療法」に「免疫療法」が加わる時がとても待ち遠しい》
と、あらゆるがんに免疫療法が効く日が訪れることに期待を寄せている。
現在は、肺がんや胃がんなど、7種類のがんに使用することが承認されている『オプジーボ』。前出・馬場さんは、
「がん細胞は免疫機能を麻痺させます。その麻痺を防ぐ薬が『オプジーボ』です。簡単に説明すると、人間が持っている免疫力を正常の状態にして、がん細胞をやっつけようというものです。人間本来の状態に戻すという意味で、理想的な治療法だと思います」
10月3日付『東京新聞』で本庶教授は《がんは死なない病気になる日が、いずれ来ると思う。時間の問題でしょう》と語る。受賞の快挙が未来を明るく照らす。