シングルマザーの再婚は、いっけん難しそうです。サイトに登録をしても申し込みがかかる数は、初婚女性やバツあり・子どもなしの女性に比べて圧倒的に少ない。ところが、お見合いできる数が少ないのに、結婚をスルリと決めていく人たちがいます。
婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした男女の婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆく連載。今回は、『シングルマザーで結婚を決めて行く人たちの動向』について考えたいと思います。
結婚に求めるものが初婚者とは違う
「先日無事、大野さんにプロポーズをしていただきました。今月末の成婚退会とさせてください」
5月に入会したシングルマザー、立野澪子さん(39歳、仮名)から、連絡が入りました。澪子さんには、4歳の女の子、ユウちゃん(仮名)がいます。
澪子さんが結婚を決めたお相手は、バツイチで別れた妻の方に高校生と大学生のお子さんがいる、大野良平さん(47歳、仮名)でした。
彼女は他のシングルマザーと同様、入会後にサイトに登録をしても、初婚女性やバツあり・子どもなしの女性に比べたら、お申し込みがかかる数が圧倒的に少なかった。
シングルマザーには、当然のことながら子どもがいる。これが再婚を阻む大きな要因となります。
初婚男性、バツあり・子どもなしの男性にしたら、いきなり父親になることに抵抗があるのでしょう。その責任が負えない。子どもがいればそれだけお金もかかる。自分の遺伝子を受け継いでいな子どもをずっと愛していけるかどうか自信がないというのもあります。
バツあり・子どもありの男性にしたら、自分の子どもに養育費を払っているのに、また子どもが増えて、これ以上の経済的負担を負えないという懐事情もあります。
しかし、そうしたことを飛び越えて、シングルマザーを受け入れようとする男性は、そもそも度量が大きいですし、経済的にも自信がある方なのでしょう。
澪子さんは、大野さんについてこんなことを言いました。
「大野さんは、2人のお子さんの養育費と学費は離婚の時に全てを払ってしまわれたようです。ユウと私のこれからの生活のことは、“何も心配しなくていい”とおっしゃってくださいました」
また、子育て経験があったので、初めてユウちゃんを会わせたときにもあっという間に心を掴んでしまったようです。
「2度目のデートで水族館に行ったら、ユウと同じ目線で魚やイルカショーを見てくださって、その姿に好感が持てました。
併設されていた遊園地では、メリーゴーランドやコーヒーカップなどに一緒に乗って、ものすごくアクティブでマメな方だと思いました。ユウもこの一日で大野さんが大好きになりました」
シンブルマザーは自分のことはさておき、お子さんと再婚相手の相性を第一に考える人がとても多い気がします。お子さんにどう接するかで、お相手のお人柄を見極め、結婚に進めるかを判断するのです。
ファッションがどうだった、連れて行かれたお店の選択がどうだった、奢ってくれたくれなかったという表面的なのことよりも、もっとお相手の人柄に焦点を当てるのです。
2人で力を合わせて、家庭を築く結婚
もうひとりのシングルマザー、上野ひとみさん(38歳、仮名)には、高一になる男の子、ショウくんがいます。
ひとみさんは、ショウくんが生まれる前に結婚を取りやめたので、戸籍上はずっと独身。ショウくんの父親である男性や実家の経済的サポートは一切受けずに、ショウくんをここまで育ててきた頑張り屋です。
そんなひとみさんが、今、再婚に向けて真剣交際に入っているのが、バツイチで別れた妻方に2人の女の子がいる山内健太郎さん(41歳、仮名)です。彼は、毎月、養育費として12万円を支払っています。
ひとみさんは言います。
「山内さんはしっかり収入がある方だけれど、毎月12万円の養育費を出しているので、そこは経済的にも大変だと思います。でも、養育費を払うというのは、男性として責任ある行動だし素晴らしいですよね。
私はこれまでひとりで頑張ってきたけれど、これからは2人で力を合わせて生活を築いていけたらいいなと思っています」
そして、やはり心配だったのが、ショウくんと山内さんとの関係でした。
「息子が大きかったので、山内さんとうまくやっていけるか心配でした。山内さんは“父親になる”という気構えではなく、“何でも話せる、相談に乗るような存在でいたい”とおっしゃってくださって、今はとても良い関係を築きつつあります」
このケースも、見た目よりはお人柄にフォーカスをして、お相手選びをしています。そして、経済的にも寄りかかったりせずに、一緒に家庭を築いていこうという心構えでいるのです。
結婚できない初婚者とシングルマザーの違い
30代、40代の初婚婚活者に多いのが、仕事も私生活も充実した20代を過ごし、今になって慌てて結婚相手を探している方たちです。
ことにアラフォー層は、婚活に苦戦しています。彼女たちには、大きく2つのグループに分けられます。
ひとつは、20代の頃に生活圏内で出会った男性たちといくつかの恋愛を経験したものの結婚には踏み切れず、30歳を超えてしまった人たち。
もうひとつのグループは、全く恋愛を経験することなく30歳を超えてしまった人たち。
前者の恋愛経験組は、恋愛における成功体験、失敗体験が頭にインプットされています。それを物差しにして結婚相手を見つけていくので、相手をジャッジする目がとても厳しい。
さらに、20代の頃、自分が“素敵だな”と思ったようなタイプは、すでに既婚者になっていることに気づいてはいるものの、どうしても見た目がそれなりに素敵で、コミュ力がある男性を探しています。自分が好きになれなければ、結婚はできないと思っているからです。
しかし、30代後半、40代の男性独身者は、真面目一徹でコミュ力がないタイプや気難しくて気が利かない堅物がとても多い。だからこそ、結婚をしないで残っているとも言えるのです。
後者の恋愛未経験組は、恋愛すること、結婚することは未知の世界。ドラマや映画や小説で得た知識で、それらを捉え想像しているので、頭でっかちになっています。
理想が膨らみすぎていて、人を好きになることをどこから始めたら良いのかもわからなくなっている。“恋愛とは何だろう”“結婚とは何だろう”と自問自答している女性もいます。
また歳を重ねていくとプライドが育ちますから、若い時よりも失敗を恐れるようになり、大胆な行動には出られないでいます。
そこにいくと、シングルマザーたちは、一度、結婚を経験したことによって、恋愛と結婚が違うものだとわかっていますし、なぜ結婚に失敗したのか、その原因も学んでいます。
夢や理想を追うよりも、地に足のついた婚活をするのです。
見た目が素敵な口説き上手の男性よりも、見た目は冴えなくても誠実で正直でやさしくて、大金持ちでなくてもいいから堅実に働く男性。そうした男性の方が、結婚生活がうまくいくことを知っているのです。
こうしたことから、初婚のアラフォー女性たちは、30回、40回とお見合いを繰り返しても結婚相手を見つけることができないのに、シングルマザーは、数回のお見合いで結婚相手を見つけていくのではないのか。
シングルマザーがスルリと結婚していく様子を見ていると、そんなことを感じてしまう仲人です。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/