2018年も年末モードです。10月になり、芸能界、とりわけ音楽業界は年末に向け慌ただしくなります。
2つの大きな注目ポイントは、NHK『紅白歌合戦』に出場できるかどうかと、『日本レコード大賞』に絡めるかどうか、です。
ISSAも猛アピール
「今年の音楽業界最大のニュースは、DA PUMPの『U.S.A.』で間違いない。CDの売り上げは11万枚だが、ダウンロード数は50万を突破し、ミュージックビデオの再生回数は1億に迫る勢い。まさに再ブレークです」
と、音楽ライターが音楽業界一の事件だったと説明します。
1曲で、彼らは自分たちのステージのポジションを押し上げました。
先日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで単独ライブが行われましたが、5000枚のチケットは即完。今年、最初で最後の単独ライブでした。12月にベストアルバムを発売することを発表します。
リーダーのISSA(39)は「昔はCDの売れ行きで(ヒットかどうか)分かりましたが、今はそうじゃないので、(実感は)ないです」と戸惑いますが、メンバーのDAICHI(29)は、「魔法の曲。僕たちをいろんなところに連れて行ってくれる」と、本番前の会見で感謝していました。
さらに実現すれば、16年ぶりとなるNHK紅白歌合戦への出場にも色気たっぷりで、ISSAは「(12月)25日以降のスケジュールは開けています」とNHKサイドへの猛アピールも忘れません。
このライブで、ひそかに関係者の注目を集めたのは、会場1階の中央部分、2階の最前列に着席した関係者の面々でした。
「1階には所属事務所社長やレコード会社の幹部、ベテラン音楽記者がずらりと並び、2階にはレコード大賞の選考委員らが並んでいました。暮れの音楽業界に対するデモンストレーションです」
と、前出の音楽ライターは言います。
気になる音楽業界の動き
レコード会社関係者は「紅白は当確です。これだけ盛り上がり、一体感を持てる楽曲を、NHKが見逃せるはずがない」と余裕の構えです。
さて、問題はレコード大賞での取り扱いです。原曲が外国曲だけに、
「実は、実行委員会預かりで宙ぶらりんの状態になっています」
そう明かすのは業界関係者です。
通常、レコード大賞を取るためには金賞枠10曲に入らなければなりません。それを選考委員の先生方が選ぶのですが、今回は日本作曲家協会とTBS側に預けられています。
作曲家サイドは『日本』がレコード大賞に付く以上、日本の曲でなければならない、という立場で、TBSサイドは今年一番の話題曲ですから何とか入れたいという思惑とのことです。
幼稚園の運動会でも子どもたちが躍るほどの大ヒット。12月30日のレコード大賞の受賞式に、
「話題賞や企画賞など何らかの賞を出して出場してもらうことは既定路線ですが、もし金賞に入ることができれば、日本の音楽業界にとっては一大事件になりますよ」
と前出・業界関係者もほくそえみます。
音楽が売れない時代に、爆発的に話題になった『U.S.A.』。その取り扱いをめぐって、音楽業界がどんな動きを見せるのでしょうか。少しばかり心躍る年末になってきました。
<取材・文/間垣ジェーン美瑠>