今のところ視聴率2桁台をキープしているフジテレビの月9ドラマ『SUITS/スーツ』。
今回のドラマの原作はアメリカ発の海外ドラマ。近年では日本でも海外ドラマの人気はすさまじく、「海外ドラマしか見ない」という人もいるくらいだ。
本家『SUITS』ファンの中には、日本版がどんな出来具合なのか、気になって見た人も多いだろう。織田裕二と鈴木保奈美の共演だけでなく、ドラマ自体に注目も集まった。
日本とアメリカ、予算の差
しかし、1話目の放送終了後からネットでは、
「アメリカ版と同じようにやっても無理がある。中島裕翔があんな安直な方法でニセ弁護士になれるの? ありえない」
「アメリカを意識してかオーバーアクションがちだし、日本人はクライアントの前でズボンのポケットに手を入れたまま話したりしないでしょ」
などと、ツッコミが噴出した。それを証明するかのように、2話目の視聴率は11・1%と下落。続く3話目も0.8ポイント落とした10.3%に。
「不安が的中しました」と語るのは、前出のテレビ誌ライター。
「アメリカのドラマは製作費も莫大で規模も日本とは比較になりません。社会背景も感覚もシステム異なります。簡単に真似することはできません。日本風にうまくアレンジしてオリジナリティを出していかないと、失敗する可能性は大きいんです」
坂口健太郎主演の『シグナル 長期未解決事件捜査班』(フジテレビ系)や山崎賢人主演の『グッド・ドクター』(フジテレビ系)など、今年だけでも韓国ドラマのリメイクを成功させているフジテレビだがーーー。
「今回アメリカの作品をリメイクにあたって選ばれたのが、“弁護士モノ”。人気作ですし、かかる制作費の観点からしても、このジャンルはリメイクしやすいと踏んだのでしょうか。
扱うテーマも日本の舞台にあわせてアレンジしているのですが、それがアダとなったのか……。日本の社会にありがちなトラブルで、スケールが小さく感じられるんですよ。NYを舞台にした原作と比べると、チープにみえてしまう」(テレビ局関係者)
確かに、第2話で扱った案件は「病院院長による看護師へのセクハラ・パワハラを示談で解決する」という、“ありがち”な設定だったが……。
「それに加えて主演の織田さん、中島さんのキャラクター設定が、原作と同じ“傲慢なやり手弁護士”と“天才的な記憶力を持つ部下”にも関わらず、2話では全くその設定が活かされていないんです。
正直、このストーリーでは、『SUITS』を原作にする意味もあまり感じられません。それにも関わらずセリフ回しだけアメリカ風なので、単に違和感だけが目立つという(笑)」(前出・テレビ局関係者)
実は、『SUITS』のリメイクは日本が初めてではない。お隣の韓国でも今年の4月から6月まで放送されていた。
主演は、韓国四天王の1人、チャン・ドンゴン。人気俳優の起用で、ヒットが期待されたのだが、残念ながら韓国での平均視聴率は8・9%(ニールセン調べ)に留まったようだ。
低迷した理由として、
「セットのスケールが小さすぎる。話のアレンジが何となく暗い。女性ファッションがアメリカ版と比べて地味などと、アメリカ版を見ている人たちからは不評でした」(前出・テレビ誌ライター)
なんだか日本版に向けられた指摘と似ているような気もするが。
秋の夜長、三者三様の『SUITS』を見比べてみるのも一興では。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。