『3年B組金八先生』やNHK大河ドラマ『徳川家康』、『翔ぶが如く』などの有名作品を手がけた脚本家・小山内美江子氏。御年88歳でありながらも第一線で活躍し、国際的なボランティアにも励むなど活動的な彼女に、“終活”にまつわるエピソードを伺ってみた。
「流行っているみたいね。でも、終活のやり方や考え方もいろいろ。だから、その人のしたいように好きにしたらいいと思うの。終活なんかすることありませんよっていうわけじゃないけど。私は去年、住んでいた庭付きの家を売って、少し小さなマンションに引っ越して、自分の葬式代を確保したくらいかしらね」
そう話すのは、脚本家の小山内美江子(88)。『3年B組金八先生』(TBS系)やNHKの大河ドラマ『徳川家康』や『翔ぶが如く』などの人気作品を手がけてきた御年88歳、米寿の脚本家だ。
原稿は「全部あげたの」
「昨日、新聞に載っていた週刊誌の広告の文章で“自分を使い切って死にたい”ってあったの。まさに同じですね。こないだペースメーカーを入れ替えたんですけど、とてもいいの。お医者さんに“約7年もちます”って言われたんだけど、そのときはもういないと思うんだけど(笑)」
あまり終活といえることはやっていないという小山内だが、身の回りの物はすでにずいぶん整理していると話す。
「昔はいろんな書類とかを、“何かあったときに使えるかもしれない”って残していたんだけど、それも本当に必要なものだけ残して、たくさん処分しました。あとは今、コンピューターにいっぱい入るでしょ。そこに入れて」
『金八先生』も大河ドラマも、脚本はすべて手書きだった。膨大な量の手書き原稿も以前は部屋に保管されていた。
「シナリオ作家協会が、“シナリオは文化である”って、生原稿を残していこうとしたので、私の原稿も協会が喜んでたから、全部あげたの」
「毎日毎日が終活」
小山内は、'93年に、教育困難な国で学校を建設する活動を行う特定非営利活動法人『JHP・学校をつくる会』を設立、現在もカンボジアなどの海外への支援や日本国内の災害へのボランティアなどを行っている。
「団体ってお金がいるでしょ。前にパーティーを開いたときに売り物として『金八先生』の生原稿も出したの。第5シリーズは、わりかしみなさん見てくれたんだけど、10万円、20万円ってせり上がって、すごい値段になっちゃって(笑)。
だから『金八先生』の原稿も協会や団体を支援してくれている人のもとにいったりして手元にないの。これも終活といえば終活かしら」
団体には後継者もおり、「何も心配することはない」と話す小山内にとって、理想の“死”とは……。
「私は“終活をしましょう”と決めてかかる必要はないと思う。毎日毎日が終活で、最期の日に向かって歩いている。だから日々を全力でやって、自分を使い切って死にたいね。
今は、もう1回シナリオをやってみようと思ってます。注文があったので、どういう話にしようかって思って。楽しいのを書きたいね。そう言いつつ書けないで死んじゃう場合もあるでしょ。ここまできたらね、どういうふうになるかわかんないね(笑)」
《PROFILE》
おさない・みえこ ◎'30年1月8日生まれ。脚本家として『3年B組金八先生』シリーズ(TBS系)を手がける。『JHP・学校をつくる会』代表