岡田真澄さん

 芸能界で売れていくためには、物語が有利に働きます。

 木村拓哉と工藤静香の次女のKoki,がモデルとしてデビューし、いきなりスタークラスの注目を集めたのは、スターの子どもという物語があったからこそ。

 先日行われた『2019ミス・インターナショナル』の日本代表選出大会でも、“物語”を持つ女性が、グランプリに輝きました。

 東京都出身の青山学院大2年の岡田朋峰(ともみ)さん(20)。

父が幼い娘に教えたこと

 当初、現場にいた報道陣は、その情報を知りませんでした。騒ぎ出したのは、グランプリが発表された後から。彼女の父親が、2006年に亡くなった二枚目俳優、岡田真澄さんだと分かったからです。

『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)の『仮面ノリダー』に登場したファンファン大佐、として記憶している人は多いと思います。

 真澄さんが1995年に再再婚した26歳年下の妻との間に生まれた長女が、朋峰さんです。当時、真澄さん63歳。世間の高齢パパに夢と希望を与えたとして大いに注目され、真澄さんは名言「愛はバイアグラを超えた」を残しました。

 真澄さんは70歳のとき、食道がんで他界しました。朋峰さんと過ごせた月日は、わずか7年でした。

 ベテラン芸能記者は、

「岡田真澄さんはそんなに財産をため込んでいませんでした。二枚目としてのパブリックイメージを保つためにお金を使うことが多く、以前の家族は苦労をしていた、という話を聞いたことがあります。簡単にいえば、超、見栄っ張りだったということです」

 と明かします。

 ところが朋峰さんには、そんな苦労のにおいはまるでありません。

  受賞のスピーチでは「父は、どんなときもエレガントで気品の忘れない女性でいるようにと教えてくれました」

 としみじみ語りました。

 7歳の娘に、エレガントと気品を本当に教えられるのでしょうか。そんな突っ込みも、7年間しか父と過ごせなかったという二枚目俳優の娘、という“物語”の前には、かき消されてしまいます。

「うれしいです。父はよく頑張ったねと褒めてくれていると思います」

 という喜びの言葉にも、外野が異論をはさむことはできません。芸能の取材現場では「亡くなった◯◯さんはなんと言っているかと思いますか」「◯◯だと言っていると思います」という、“空想問答”が繰り広げられますが、そのやりとりにどんな意味があるのか、私はいつも不思議でなりません。

 朋峰さんは将来、アナウンサーかキャスターになりたい、と、受賞会見で明かしていました。

 関係者によると、朋峰さんは現在、『報道ステーション』(テレビ朝日系)でアルバイトをしているようです。テレビ業界では“C班”と呼ばれるアルバイトがあります。

 番組内で新聞を配ったり、雑用をするアルバイトをそう区分けしますが、朋峰さんは、そこで汗を流しているようです。

 美人かどうか、それぞれの国には、それぞれの基準があります。グローバルな時代ですが、グローバルスタンダードがないのが美の世界。見かけ、内面、品位、スピーチなど多方面から判断されるミス=美女の世界です。

 日本では、女性だからという理由だけで、本来、合格するはずだった大学の医学部をはじかれている、という醜い現実がニュースになっています。数値化できる世界でも、日本女性はそのような扱いを受けてきているのです。

 美の世界では、数値化できないだけに、どんなクレームも成立しません。その中で順位付けされる世界に、朋峰さんは踏み出しました。

 世界大会は来年の秋です。

<取材・文/間垣ジェーン美瑠>