私たちの日々の生活、特にワークスペースにおいて欠かせないもののひとつに、「文具」があります。どのような職場・職種においても、必ずと言っていいほど共通して存在するもの、それが、文具です。
電子機器の発展がめざましい近ごろ、現代人の関心はアナログな文具よりも、パソコンやスマートフォンなどに向きがちかもしれません。ですが、実は文具もひっそりと、しかし確実に、進化を遂げています。より便利かつ機能的になり、ファッション性も持ち合わせるようになりました。
ですから、文具をうまく使いこなすことで、作業のスピードアップやミスの軽減はもちろんのこと、仕事へのモチベーションを高めることにもつながります。今イチオシのビジネス向き文具を集めた自著『仕事を効率化する ビジネス文具』(ポプラ社)の中でも、厳選した文具とその理想的な活用法を紹介しています。
ふせんを使いこなして日々を豊かに!
今回は、ビジネスパーソンたちにとって、もっとも身近な文具であろう「ふせん」に焦点をあて、仕事および日々の生活を豊かにするための使い道とともに、その魅力をお伝えしたいと思います。本書では紹介できなかったふせんを中心に、働く女性向けのふせんを取り上げました。
どんな職場にも、ともすると、どのご家庭にもあるアイテムがふせんです。普段から何気なく使っている方も多いことでしょう。
実際、ふせんほどマルチに活用できる文具は、あまりありません。パッとはがして貼るだけで、しおり(インデックス)になりますし、大きければメモ用紙としても使えます。コンパクトなふせんは、一言メッセージを伝えたいときなどにも重宝するでしょう。ふせんを使いこなすことができれば、仕事も日常的な作業も、ぐっと効率化します。
『クリップふせん』でレシート管理も楽々
台湾の文房具ブランド「miccudo(ミクド)」の『クリップふせん』は、本体の真ん中あたりに切れ目が入っており、書類やカードの四隅を押さえられる形状のふせんです。
このふせんを手持ちのノート、手帳などに貼っておけば、受け取った名刺や領収書を、糊を使わずにクリップすることができます。なくしたり、保管場所がバラバラになったりしがちなレシート類も、その場で決まった場所に挟んでおけば安心でしょう。見た目がポップでかわいいのもポイントです。
ご紹介したもの以外の形もありますから、好みで選んでみてください。
ふせんが“折れないしおり”として大活躍!
ふせんの素材には大きく分けて2つ、紙とフィルムがあります。もっともポピュラーな紙製のふせんはどんなペンでも書きやすく、かつ、値段も安いので、ちょっとしたメモや一言メッセージには最適です。しかし、柔らかくて傷みやすいため、長期間使うしおり(インデックス)には適していません。
そこでおすすめなのが、もうひとつの素材・フィルムです。性質上、インクをはじいてしまうので水性ペンなどでは書き込めませんが、紙よりも強度があり、破れにくいので、書類をスッキリ整理したり、よく持ち歩く本に挟んだりするためのインデックスに向いています。
フィルムふせんの中でもイチオシなのが、『ポスト・イット(R) ジョーブ 超丈夫なインデックス』(3M)。特徴は、フィルムふせんの中でも特に厚みがあることです。
以前、書店での店頭サンプル用の書籍にこのふせんを貼っていたところ、お客様がその厚みに驚き、「どこの商品ですか?」と問い合わせてくれたほどです。
頑丈なので、ふせんの先が本やファイルの外に出ていても折れにくいです。1枚ずつ取り出せますし、色が切り替わる部分が直線になっているので、狙ったページにまっすぐ貼れるのも魅力ですね。
「ロールふせん」で賢くTODO管理を
『ロールふせん』をご存知でしょうか。セロハンテープのようにロール状になっているふせんで、やはりテープのように引き出して使います。タテ・ヨコの大きさが決まっている通常のふせんと違い、好みの長さに切れるのが強みです。
『リーガル スティッキーロールメモ バーチカル』(伊東屋)も、ロールふせんの一種です。海外でよく使われている、雑記用メモ用紙『リーガルパッド』の特徴的な紙を、ロール状のふせんにしてあります。
セロハンテープ同様、本体に装着されているカッターで、お好きな幅に切って使ってください。ふせんなので、通常のメモとは違い、繰り返し貼ったりはがしたりできます。特にこの製品は、裏面すべてに糊がついていて粘度が落ちにくいため、剥がれてしまう心配をせずに使えます。
おすすめの活用法としては、TODOリストを作ったり、細く切って伝言メモにするといいでしょう。縦・横の罫線に囲まれたスペースは、チェックボックスにもなります。仕事に家事、育児と忙しい働くママも、タスク一覧を書き出しておけばヌケ・モレを防げそうですね。
もし、それほど幅を必要としない場合には、『テープノフセン』(YAMATO)を利用してみてください。書類やファイルのタイトル付けにちょうどいいサイズ(幅15ミリ)で、手のひらサイズなので携帯にも便利です。「ブラックペッパー」「バジル」などと、調味料の容器へのラベリングにも役立ちそう。
半透明の“書けるふせん”を使いこなす
粘着カーペットクリーナー『コロコロ(R)』で有名なニトムズに、「スタロジー」という文房具のブランドがあります。お洒落でユニークな文房具を多く送り出しているのですが、そのスタロジーがふせんを作ると、やっぱりとても個性的なものになりました。
それが、この『半透明ふせん グリッド』です。名前のとおり、半透明のフィルムでできているので、ふせんの下が透け、かつ筆記のガイドになるグリッドがあるのが大きな特徴です。
また、鉛筆でも書き込める筆記性も持ち合わせていますから、ふせんの下に写る文字についてのコメントを書き込むなど、色つきふせんでは難しい使い方ができます。粘着面が全体の4分の3くらいと広いので、上品なインデックスとしても活用できますね。おしゃれに使いこなして、同僚に差をつけてみては?
以上、今回は4つの“イチオシふせん”をご紹介しました。ふせんはとにかく、朝から晩まで、至るところで出番があります。ですから、ふせんを味方にできると、仕事は一気に効率化し、生活の質も向上するはず。ぜひ、お気に入りのふせんを見つけてみてください。
《PROFILE》
菅未里 ◎かん・みさと。文具ソムリエール。大学卒業後、文房具好きが高じて就職した雑貨店で文房具コーナーを担当。文房具への知見を深めたのち、文房具を紹介・プロデュースする「文具ソムリエール」として独立。ユーザーの要望に応じた文房具を多くのメディアで紹介しつつ、講演や文房具メーカーへのコンサルティング等を行う。
カレンダーと手帳を一体化した「カレンダー手帳」(カール事務器)をはじめ、プロデュースした文房具は、数量限定品を除くすべての監修作が増産している。また、日本最大の文房具の展示会である「国際文具・紙製品展(ISOT)」で毎年PR委員を務めるなど、文房具に関するあらゆる方面で活躍中。 【HP https://misatokan.jp/】