“塩軍団”の中尾明慶と瀬戸康史

 11月12日からの第6週より、舞台を泉大津に移し、長谷川博己演じる萬平の発案で塩作りに挑戦する、「塩作り編」に突入した、NHK連続テレビ小説『まんぷく』。

 疎開先から夫婦についてきた居候の神部(瀬戸康史)が、塩作りを手伝う「たちばな塩業」の従業員として集めてきた14人の若い男性軍団が、一部の視聴者に人気を集めている。

タイプ違いの14人

 ランニング姿で海辺に立ち、上半身裸で塩作りに精を出す14人の若き従業員たち。神部を含めた彼らを、NHKの番組公式ツイッターとインスタグラムで『塩軍団』と命名。番組側からも積極的に人気を盛りあげているようだ。

リーダー的存在の中尾明慶さんをはじめ、マッチョ系や素朴系、ちょっと草食系など、タイプ違いがそろっているのがいいですね。14人がズラっと登場し、自己紹介するシーンでは、誰が好みかなと、思わずそんな目線で見てしまいます。

 それは、新しい男性グループを見たときのような感覚に近いですね。身体を使っての塩作りという設定が、全体的にワイルドな空気になっていることも、魅力のひとつではないでしょうか」

 と、あるテレビ誌記者は言う。

中尾明慶が演じるケンカっ早い岡は、いうまでもなく、戦争のトラウマを引きずる無口な森本を演じる毎熊克哉の注目度は高いです。彼は『万引き家族』をはじめ、話題作に数多く出演する注目の俳優。

 さらに、永沼伊久也が演じるマッチョ系の赤津も、釣り上げた鯛を見事にさばけたことから、松坂慶子演じる鈴に気に入られ、萬平さんにも『今日から君は、お義母さんの部下だ』と命じられ、7週目中盤から『炊事係』として活躍するようになりました。

 そのルックスと、布巾を頭にかぶって鈴に命令されるがままに、ちょっとふてくされたような表情でちまちま作業するギャップが、新たな魅力をみせているようですね」(テレビ誌記者)

 6週目、7週目は塩軍団がメインとして活躍する展開で、NHK公式のSNSでも、連日オフショットや個別の動画や漫画などをアップするなど、軍団を猛プッシュ。

 “推しメン”ならぬ“お塩メン”という言い方で、好みの塩軍団メンバーを見つけることを推奨し、ドラマ終了後は、塩軍団に関するワードがSNSのトレンド入りするような状況が続いている。

「このまま塩軍団のドラマになってしまいそうな勢いですが(笑)、展開が非常に早いので、もう少ししたら退場してしまうだろうと、多くのファンは覚悟しているようですね」

 と、あるドラマ評論家は語る。

「ドラマ初期の戦前から戦中、疎開と、2か月以内にとても短いスパンで舞台や展開が変わり続けています。そのテンポの早さも、散漫にならず次々違う料理が出てくるように楽しめる作りになっています。

 そのため、泉大津での塩作りや、塩軍団が活躍するのもそれほど長い期間にはならないと思います」(同)

 とはいえ、もちろん塩軍団ばかりが魅力のドラマでない。

「ドラマそのものが、とてもしっかりとした作りになっていて、その信頼があるからこそ、塩軍団という彩りを添えるような存在を楽しむ余裕ができる。

 もちろん長谷川博己さんをはじめ、大谷亮平さん、要潤さんなど、メイン登場人物もイケメンぞろいで、それぞれのキャラクターも違う。

 さらに、序盤の重い展開の中、笑いを誘い、ホッとさせてくれるような存在だった、“白馬の歯医者”浜野謙太といったキャストもいました。様々なタイプをそろえたイケメンドラマ、という視点でも楽しめていると思います」

 高視聴率を維持させつつ、すごいテンポ感で進む『まんぷく』ワールド。

 まだ3分の1も消化していないが、今後も、塩軍団に匹敵する新たなイケメンキャストの登場にも期待したい。

<取材・文/渋谷恭太郎>