オジサマたちにはおなじみの“せんべろ”。「1000円でべろべろに酔える酒場」の俗称だ。かつては高架下などにある“昭和ムード漂う年季の入った飲み屋”というイメージだったが、最近、その様相が変わってきている。女性のおひとりさまが足しげく通う人気店まで登場しているのだ。
サラリーマンの聖地にも女性客がたくさん!
100~200円のフード、500円以下のドリンクをウリにしてチェーン展開する『立ち呑み 晩杯屋』など、せんべろ店は大人気。サラリーマンの聖地といわれる東京・新橋などでも、やはり女性客から熱視線を集めている。
月100万PVを叩き出す人気サイト『せんべろnet』管理人で、1000軒以上ものせんべろに足を運んだという、ひろみんさんに話を聞いた。
「せんべろという名前のルーツは、中島らもさんの著書『せんべろ探偵が行く』だといわれています。1000円でべろべろに酔える、という意味合いではありますが、実際には1軒あたり1人1000円少々で、気のきいたつまみとお酒2~3杯を楽しめる店という意味合い。同著でも、そういった酒場が多く紹介されています」
ひろみんさんがせんべろにハマったきっかけは?
「せんべろと出会ったのは、以前の勤務先があった新橋。数十軒もの立ち飲みが並ぶ場所で、その魅力に取りつかれました。当時の私は仕事に追われてストレスがたまる一方。
そんなときに活力になっていたのが、とある立ち飲み店。安くて美味しくて、接客もいい。ひと息つけるお店でした。そのお店が閉店してしまったのがきっかけとなり、たくさんの立ち飲み店などを巡るようになりました」
ただ安いだけでなく、ひと息つける癒しスポットであるというのも、ひろみんさんにとって大事なポイント。そんなひろみんさんがおすすめするお店とは?
「全国の飲み屋街に行けているわけではないので、東京都内だけのおすすめになりますが、自由が丘の海鮮丼専門店『波の』は、最大4杯&つまみ3品のせんべろセットが最強です。カフェのような店内で平日は昼飲みも可。
また、全席禁煙で子連れもOKなのが、駒込の焼き鳥居酒屋『焼鳥どん』。焼き鳥は1本80円で安ウマ。新宿の肉バル『ビーフキッチンスタンド』は、19時までのちょい飲みプラン1000円(ドリンク2杯+選べるフードメニュー)がお得です」
ひろみんさんオススメの5店は!?
サクッと飲めるのはもちろん、つまみがうまいことも重要。特に、せんべろ定番メニューのポテトサラダやハムカツがおいしいお店を教えて!
「まずポテサラからいくと、大阪・京橋『まつい』は朝から飲める串カツ立ち飲み。ここの名物・おでんのポテサラは、ホカホカのおでんのじゃがいもと卵サラダをあえたもの。ふわっと甘めのだしがきいて、マヨネーズとのバランスが絶妙。神奈川・関内の『関内もつ肉店』は、カリカリのフライドオニオンがたっぷりのった具だくさんのポテサラがおいしい。
ハムカツならば東京・上野『肉の大山』のシンプルなハムカツ。同じく上野の立ち飲み店『カドクラ』には、流行のミルフィーユタイプやチーズ、ポテサラ入りもあります。上野の2軒は隣り合わせなので、食べ比べてみてもいいですね」
ちなみに合わせるお酒は、しそエキスとりんご果汁が主原料の割り材を使った「バイスサワー」がおすすめとか。女性好みの甘酸っぱくさわやかな味でこってりとしたおつまみにもぴったりだ。
せんべろを求めて、ひろみんさんが遠征したのは九州や四国にまで及ぶが、基本的にせんべろは身近にあるもの。家の近所、仕事の帰り道などで気になっていたお店に、まずは足を運んでみるのはどうだろうか。居心地のいい自分だけの1軒が見つかるかもしれない。
最後に、“せんべろマスター”であるひろみんさんが教えてくれた、『せんべろの心得5か条を』紹介したい。
ひろみんさん的『せんべろ心得5か条』
(1)1000円札や小銭を用意! キャッシュオンのお店も多い。お金はくずしておくのがおすすめ
(2)やたら大人数で押しかけない。小さなお店は1~2名での訪問が◎。グループ訪問はお店の見極めを
(3)よく飲み食べるのが〇。薄利多売のお店がほとんど。飲み食いせずスマホに夢中などは迷惑!
(4)あまり長居しすぎるのは禁物。混んできたら新しいお客さんに場所を譲るのがマナー
(5)とはいえ、気楽に楽しむ。周りへの配慮や謙虚な気持ちは大切。でも、難しく考えず気楽に楽しもう
《PROFILE》
ひろみんさん ◎せんべろnet管理人。大衆酒場を中心とした1000円ほどで楽しめるお店を日々探すせんべろ放浪人。 せんべろnetのHPはコチラ→1000bero.net/