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 昔はいくら食べても太らなかったのに、年を重ねるごとにやせにくく……。太らないためには、何をどう気をつけたらいいのか。

脂肪摂取が肥満の原因ではない

「今までは、カロリーをたくさんとるから余ったカロリーが脂肪になり、結果として太ると考えられていましたが、大きな間違い。最も大切なのは『糖質制限』です」

 とは、糖尿病の専門医である牧田善二先生。肥満のメカニズムについて、こう解き明かしてくれた。

「食べた脂肪が太る原因と勘違いしている人がいますが、多量に摂取した炭水化物が中性脂肪に変わり、体内に蓄えられるから太るのです。むしろ脂肪は、37兆個もある身体の細胞膜やステロイドホルモンなどを作る大切な栄養素。決して脂肪をとることが肥満の原因ではありません」

 肥満の原因には、血糖値が大きく関係している。

「人間は血糖値が下がると、脳からアドレナリンが出て空腹感を覚えイライラします。反対に、食べると脳からドーパミンが出て幸せな気持ちになる。だから食べずにはいられない。

 しかも、はじめはおにぎり1個で満足していたのが、やがて、それでは満足できなくなり食べる量が増えていく。肥満は言ってみれば、糖質中毒なんです。1~2か月の間、糖質を完全に抜かなければ中毒は根本的には解決できません

 血液中にブドウ糖がなくなると、脳が働かないという批判もあるが、「ブドウ糖がなくても、脂肪を燃焼させケトン体を作り出して働くので、そういった心配はまったくありません」と牧田先生は言い切る。

 それでも完全に糖質をカットするのは難しい……、そんな読者に向けて、肥満を解消する「3つの裏ワザ」を教えてもらった。

 まず、第1の裏ワザは食べ合わせ。

炭水化物を単品でとるより、タンパク質や野菜と一緒に食べたほうが血糖値は上がりません。特に、タンパク質を一緒にとると、インクレチンというホルモンが分泌されて血糖値上昇は少し抑えられます。意外に思われるかもしれませんが、ラーメンを食べるよりチャーシューメンのほうが太らないんですよ

 また、お酒も太る原因と考える人は少なくないが、

ワインやジン、焼酎は血糖値を下げる働きがあるので、むしろやせます。ワインを毎晩、1~2杯飲んで寝るとダイエット効果がありますよ。ただし、ビールには糖質が含まれているため、残念ながら効果はありません」

“ベジファースト”にこだわって

 2つ目の裏ワザは、食べる順番。

「パスタを単品で食べると、たちまち血糖値が上がってしまいます。でも、前菜を食べてからパスタを食べ、肉料理、さらにデザートまでしっかり食べても血糖値は上がらないというデータが出ています。野菜を最初にとる“ベジファースト”にこだわり、ゆっくりと食べることがポイント

 そして3つ目の裏ワザは、食後の運動。

血糖値は食べ終わってから15分後に上がり始めます。これを防ぐためには、食べ終わったあとで10~15分ほどウォーキングすること。外に出るのがおっくうなら、家の中で体操をするだけでも効果があります」

そんな牧田先生がオススメする食材は、鶏の胸肉、マグロ、うなぎなどに含まれた、疲労回復の効果があるとされるカルノシンが含まれたもの。

「カルノシンは、強力な抗酸化作用で活性酸素を取り除いてくれるうえ、持久力をアップさせてくれるスグレモノ。やせるだけでなく、アンチエイジングなどプラスアルファの効果も期待できますよ」


脂肪燃焼に効く秘蔵メニュー
鶏肉とにらのピリ辛にんにく炒め

鶏肉とにらのピリ辛にんにく炒め

【材料(2人分)】
鶏胸肉…1枚(約200g)、にら…1束、赤唐辛子…小1本、にんにく…1かけ分、A【塩…小さじ1/3、こしょう…少々】、ごま油…大さじ1、しょうゆ…小さじ2、酒…大さじ1、塩・こしょう適量
【作り方】
鶏肉はひと口大のそぎ切りにし、Aをふる。にらは4センチ長さに切り、赤唐辛子はへたをのぞいて手でちぎる。フライパンにごま油、薄切りにしたにんにく、ちぎった赤唐辛子を入れて弱火にかけ、香りが出たら中火にし、そぎ切りにした鶏肉を炒める。肉の色が変わってきたら酒をふり、ふたをして2分ほど弱火で蒸し焼きし、にらを加え、しょうゆを回しかけて全体に炒め、塩とこしょうで味をととのえる。


《PROFILE》
牧田善二先生 ◎まきた・ぜんじ。医学博士、糖尿病専門医。糖尿病合併症の原因として注目されるAGEの研究をニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで行う。'03年より糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のためのAGE牧田クリニックを開業。著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)など多数