「40~50代になると、肌にシミ、シワ、たるみが出てくるのは当たり前。出てきたものを食べ物で消すのは難しいことです。しかし、これから出ないようにする努力はできますよ」
そう話すのは、肌の再生医療に取り組む形成外科医・北條元治先生。
紫外線対策はきっちりと
「ヒトは受精卵のころから、細胞分裂を繰り返しています。しかし、22~23歳を過ぎると細胞の数は減っていきます。これが老化といわれるもの。皮膚も細胞の数が減り、質の低下が起こることで、シワ、シミ、たるみが起こるのです」
肌細胞の数を増やす方法はないのだろうか。
「肌の再生医療と呼ばれる“肌細胞補充療法”を行えば可能ですが、肌の質までは変えられません。特に、生活習慣や食事療法によって変えることは難しいと思います」
しかし、いつまでも美しくいたいと願うのが女ごころ。シワが増えていくのを、黙って見ているだけというのも悔しい。
「紫外線から肌を守ることで、これからの肌が変わりますよ」
ひと口に紫外線といっても、波長の長い順にUV-A、UV-B、UV-Cに分かれ、身体に与える影響はそれぞれ異なる。このうち最も波長の短いUV-Cは、オゾン層に吸収されるため地表には届かない。次に波長が短いUV-Bは、一部が地表に到達し、肌を赤く炎症させるなどのダメージを引き起こす。DNAを傷つけるため、皮膚がんの原因になるとも言われている。
そして最も波長の長いUV-Aは、窓ガラスや薄いカーテンをすり抜け、室内にも入ってきてしまう。
「UV-Aは波長が長いため、皮膚の奥深くまで到達する特徴があり、シワやたるみを引き起こします。そのため近年、これを防ぐことが重要視されています。室内と屋外で日焼け止めを使い分けるなどして、注意してください。日焼け止めにある表示のSPFは、UV-Bを防ぐ効果を表し、PAはUV-Aを防ぐ効果を示しています」
また、スマホやパソコンから出るブルーライトも肌の大敵。目の網膜などにダメージを与えるブルーライトは紫外線ほどではないが波長が短く、肌を傷つけ、シミや日焼けにつながるという研究報告もある。最近はブルーライトカット入りの日焼け止めも出てきたのでチェックしてみよう。
良質のタンパク質とオイルがカギに
「40~50歳以降は肌細胞を減らさないように、肌質を高める努力をしていきましょう」
肌質とは、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などのタンパク質を作り出す能力のこと。美肌づくりには、何が効果的?
「良質なタンパク質とオイルをとることが、肌のコラーゲン生成に役立ちます」
タンパク質は、体内で生成されず食事からとるしかない必須アミノ酸の含有量が多いものをまんべんなくとるのがポイント。必須アミノ酸は大豆や卵、牛乳のほか、牛肉や鶏肉、豚肉などの肉類、魚類に多く含まれている。
「オイルも重要です。女性ホルモンやステロイドホルモンなどホルモンの原料になるのが脂質。これらのホルモンで肌の質は上がりますので良質のオイルは肌の質を上げる際に欠かせません」
ただし、動物性の脂は少なめにして、オメガ3脂肪酸を多く含む亜麻仁油やえごま油、オリーブオイルなどを積極的にとるのがいい。
「肉は湯がいて脂を落とし、そのあとに香りや風味のあるオリーブオイルなどをかけるといいでしょう」
さらに北條先生から“究極の特効薬”を教えてもらった。
「日常のストレスを減らすこと。特に、老化に対しては抗わないことです。ストレスを感じると肌の血流が悪くなり、せっかく栄養をとってもうまく体内に回っていきませんから」
良質なタンパク質とオイルをとっていれば、いつの間にかキレイになっているかも!?
お肌がプリプリになるおすすめの一品
豆腐の豚しゃぶのせ
【材料(1人分)】
豆腐…1丁、豚もも薄切り…100グラム、サンバルソース(チリソースの一種)…大さじ1、レモン汁…大さじ1、オリーブオイル…小さじ1、ショウガ…小さじ2、パクチー…少々、塩…少々
【作り方】
豆腐はお好みの大きさにカットしておく。豚もも肉をしゃぶしゃぶをする要領で1枚ずつ湯がく。豚肉を豆腐にのせ、レモンをしぼって汁をかける。パクチーをのせて、オリーブオイルとサンバルソースをかける。塩分がなくてもOK。
《PROFILE》
北條元治先生 ほうじょう・もとはる。株式会社セルバンク代表取締役、弘前大学医学部卒業。東海大学医学部非常勤講師、形成外科医、医学博士。ヤケドの皮膚再生から、再生医療の道へ。細胞保管や再生医療技術の支援を行う会社を立ち上げ、皮膚培養の特許を供与。著書『美肌のために必要なこと』(スタンダーズ)など著書多数