「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。ライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「良いヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
既婚男と不倫する女性が妻に攻撃をしかける“ヤバ女”になりがちなのはなぜか(写真はイメージ)

第12回 江夏詩織

 2018年も残り少なくなってまいりましたが、このタイミングで今年一番ヤベェ女が現れました。悪い意味での「ヤバジョ・オブ・ザ・イヤー」を進呈したいのは、モデルの江夏詩織です。

 昨年の4月、RIP SLIMEのSUが『FRIDAY』に22歳年下のモデル・江夏詩織とのデート現場を激写されました。SUは歌手の大塚愛と結婚していましたから、不倫です。SUは所属事務所から謹慎を言い渡され、グループも活動休止に追い込まれてしまいました。SUが反省していると思しきコメントを出したことから、夫婦関係を修復するかと思いきや、11月21日に離婚を発表しました。

 複数のスポーツ紙の報道によれば、大塚は江夏から嫌がらせを受けていたそうです。SNS経由で「別れろ」というメッセージを送ってくるなど行動はエスカレートし、警察に被害届を提出したそうです。身の危険を感じた大塚は、子どもを連れて別居、そして離婚を決意した模様。

 不倫となると、今さら珍しくもなんともないわけですが、「被害届を出すほどの嫌がらせ」とは穏やかではありません。さらに、この江夏のインスタには匂わせ疑惑も複数あるのです。

匂わせ疑惑その1
不倫相手の名前連呼説

「欲しい色のリップがどこにも売ってない」「絶妙な色のリップを探しているんです」とツイッターで「リップが欲しい」を連呼する江夏。モデルですから化粧品の話をするのは不自然ではないのですが、この投稿は今年の10月になされています。SUと大塚の離婚が正式になるちょっと前であることを考えると、「リップが欲しい」という意味の言葉から、RIP SLIMEのSUを大塚から奪いたいと連想する人もいるはず。この他にも、『anan』のインタビューで趣味はスライム作りと明かすなど、意味深な発言を続けています。

匂わせ疑惑その2
不倫相手のメガネをかけて、妻と同じポースで撮る

 大塚が離婚を発表した前日に、江夏はインスタを更新しています。江夏が流行のメガネをかけているのですが、この丸い眼鏡、SUがテレビ出演していた時にかけていたものと酷似しているのです。また、画像のポーズが大塚のオフィシャルサイトのポーズと似ていると話題になっています。眼鏡もポーズもそれほど個性的なものではないので、偶然の一致だと言えばそれまでですが、とりあえず江夏に「誤解を招くことはしない」という感覚はないことだけは確かです。

不倫でヤバ化してしまう2大理由

 今の芸能界で不倫は悪です。バレてしまった場合、多くの芸能人は不倫をやめてほとぼりがさめるまでおとなしくしているでしょう。しかし、江夏はそういった常識や慣例を無視して、妻が逃げ出すほどの嫌がらせをしてしまう。ヤベェ女の匂いがぷんぷんしますが、不倫で女性がヤバ化するには、理由が2つあるように思います。

 1つめは、もともとヤベぇオンナである。

 不倫オトコがどんな気持ちでつきあっていても、やはり結婚している限り、家庭のほうが優先順位は高いもの。それはある意味当たり前なのですが、ごくまれに「奥さんのせいで、私が我慢を強いられている」と解釈してしまう人がいます。こういう人は常日頃から、物事を自己中心的に解釈してしまうヤバ女です。

 2つめは、オトコのウソが見抜けないから。

 20代の女性の不倫と逆襲というと、ある事件を思い出してしまうのです。1993年に、27歳(当時)のOLが不倫相手である上司の家に放火し、家の中で寝ていた子ども2人が焼殺されるという痛ましい事件が起きました。鬼のようなオンナだと世間は犯人を責めましたが、次第に風向きが変わっていきます。犯人が「騙されていた」部分が明らかになり、同情を買ったからです。

『週刊文春』などで報じられた事件の詳細をまとめると、以下のようになります。

 犯人にとって、不倫相手は人生で最初の恋人でした。犯人は相手にのめりこみ、2人で過ごす時間を長くするために、ひとり暮らしを始めます。この部屋に不倫相手は入り浸り、「遊びではない、結婚するつもりだ」と繰り返します。しかし、犯人が妊娠すると「今はまずい」と説き伏せて中絶させます。手術を終えた犯人が、会社行事で偶然会った不倫相手の妻は妊娠中。つまり、不倫相手は2人の女性をほぼ同時期に妊娠させていたことになります。

「妻と結婚するつもりはなかった。見舞いにきてくれたから、なんとなく」
「妻とはセックスしていない」
「妻が事故で死ねばいいと思っている」
「資格を取って、2人で事業を起こそう」

 ある程度の年齢と経験のある女性なら、不倫オトコの言うこれらの言葉がウソであることに気づくでしょう。事件後明らかになったところによると、実際に男は離婚の話などしていませんでしたし、妻に不倫がバレるとすぐに関係を清算したいと言い出しています。しかし、20代前半と若く、恋愛未経験だった犯人には、それが見抜けなかった。犯人は不倫オトコの言葉を真に受けて、資格の資料まで集めていたそうです。不倫女性が妻にいやがらせをする場合、妻をおとしめるオトコのウソがひきがねとなることは、よくあることです。

「家庭は円満だけど、キミのような若い子と無料でセックスしたいんだよね」と言ったら、フツウの女性はOKしてくれないでしょうから、妻の悪口は一種の社交辞令と言えるでしょう。こういう“煽り”にひっかからないように、特に若い女性は注意してほしいものです。

江夏はこれからどうすればいい?

 江夏がどちらのパターンなのかわかりませんが、これから彼女はいったいどうするつもりでしょうか。SUは仕事がなくなってしまいましたが、江夏も表立った芸能活動は難しそうです。

 こうなったら、SUをあきらめて違う男性に乗り換えたらどうでしょう。たとえば、不倫マッシュルームこと、川谷絵音なんてどうでしょうか。2人とも不倫で名前を売ったという共通点がありますし、川谷の元カノ・ほのかりんと雰囲気が似ていないこともない。

 芸能界の先輩である大塚に堂々といやがらせできるとは、なかなかの強メンタルでしょう。こういう人こそ芸能界向きの人材だと思いますし、ちょうど芸能界にはヒールの席が空いています。

 葉月里緒奈という女優をご存知でしょうか。清純派として売り出した彼女でしたが、共演した俳優と不倫をしていました。常識的に言えば隠すべきことですが、葉月は「恋愛相手に奥さんがいても平気です」と豪語、大バッシングされます。しかし、その代わりといっては何ですが、“魔性の女”の称号を得て、少数ではありますが賞賛も得たのでした。女性からは嫌われるかもしれませんが、江夏の清純な外見と行動の怖さのギャップに心を持っていかれる男性も多いはず。

 1人の男性と愛し合い、家庭を大事にする。こういうルールは、それを守る才能のある女性にまかせておけばいい。江夏のようなヤバいオンナは、とことんヤバ道を追求してほしいと思います。

 なぜなら、大衆は、自分は絶対にヤバいと言われたくないのにもかかわらず、他人をヤバいと言うのが大好きな生き物だから。「あいつはヤバい」と人を笑いたい心が誰にもある限り、ヤバ女の需要がなくなることはないのです。


プロフィール
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。他に、男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。