「西郷さんでいる時間のほうが多かった1年でした。あっという間で短くも感じましたし、人の一生を最期まで生きたので長くも感じて、なんだか不思議な感覚です」
大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合、毎週日曜夜8時~ほか)で、主人公の西郷隆盛を1年間、見事に生き切った鈴木亮平(35)。今週ついに最終回を迎えるが、撮影を終えた今だからこそ感じる、クランクインする前と後の自身の違いは?
「人間としての許容と言いますか、もし自分の中に器というものがあるのならば、確実に大きくしていただけたのではないかと感じています。西郷さんを演じさせていただけたことや、1年半たくさんの人を引っ張っていくという経験で、自分がどれだけ頑張れるか、どれだけ我慢できるかといった、さまざまな限界値が広がり、ひと回り深い人間になれたように思います」
1年半という長い撮影期間を支えてくれたものは?
「鹿児島にトークショーなどでお邪魔した際の会場の熱気がすごく励みになりました。あと、お手紙で“西郷さんを鈴木さんが演じてくれて本当によかったです”という言葉をいただけて。心のどこかで“僕には西郷さんを演じる資格があるのかな”と、不安に思っている自分がいたので、すごく支えになりました。あとは……インスタグラムですね。完全に趣味なのですが、自然の動画や、海の中の変な生きものや超巨大生物の動画を見て、撮影現場でも癒されてました(笑)」
30代に戻ってこれた!
実は、人の一生を最期まで演じ抜いたことで、自身の中にも変化が。
「“西郷さんの人生を生き切る”という思いでずっとやってきて、そして最後には49歳で西郷さんの死を経験して、今35歳の鈴木亮平に戻ってきて。なんだか、人の人生の先を見て帰ってきたような気がしていて。“今20代に戻れたらあんなことしたのにな……”と、思ったりしませんか? それと同じで、30代に戻ってこれた! という感覚なんです」
30代に戻ってこれた今だからこそ、やってみたいことは?
「ピアノは本格的にやろうと決めています。今までほとんど触れてこなかった音楽というものに、少しでも触れてみたいなと。実は渡辺謙さんと今作でご一緒させていただいて、音楽のようにお芝居をされるなと思うときが多々あったんです。謙さんは昔からブラスバンドで指揮などをやられていたと聞いて、音楽的な感性のお芝居を僕も見つけたいなと。だから、憧れの謙さんに感化されたっていうのも理由のひとつなんです(笑)」
今年を振り返って、漢字1文字で表すと……?
「人、かな。人の生き方について考えましたし、たくさんの人に出会わせていただけました。そしてここで出会えた人、ひとりひとりが僕にとって大切な存在になったので、今年は人という漢字がピッタリな年だったなと思います」
次の大河へバトンタッチ!
いよいよ今週で最終回を迎える『西郷どん』の鈴木亮平から、来年スタート『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』の中村勘九郎と阿部サダヲに、主演のたすきが渡された! 大役を託された2人は「大きな身体と心の西郷さんから受け取って、身の引き締まる思いです」(中村)、「亮平さんは明治で終わって、僕らは明治から始まりますので、全力で頑張りたいと思います」(阿部)