映画やミュージカルで知られるヴィクトル・ユゴーの不朽の名作をドラマ化。平成30年間の日本を舞台にした大河エンターテイメント。ディーン・フジオカと井浦新がW主演する。
“希望”を感じられる物語
「2019年は、平成最後の年明けと同時に、ひとつの時代が終わり新しい時代を迎える。このタイミングに“希望”を感じられる物語を、と思いました。
19世紀のフランスを舞台に過去の罪から逃れられなかった主人公や逆境の中で生きる人々を描いた原作は“あぁ無情”と邦訳されるほどつらい物語。しかし、根底には志半ばで倒れたとはいえ、フランス革命に向け、市民たちが思い描いた夢と希望が詰まっている熱い物語でもあるのです。
未曾有(みぞう)の震災や災害、多発する犯罪、景気の低迷と、激動の時代だった平成。いまこの時代に生きている人々は荒波を生き抜いてきたということでもあります。
そんな平成という時代を振り返りつつ、新しい時代に踏み出すための光と希望の物語を紡ぐうえで、その指針となるのが『レ・ミゼラブル』と考えました」
と、太田大プロデューサー。阪神・淡路大震災や東日本大震災、オレオレ詐欺、待機児童問題など平成に起きたさまざまな社会的事象を盛り込みつつ、希望の光を求める人々の心情を描いている。
ディーンが演じる純は過去に罪を犯し、別人になり代わって生きる男。
「ジャン・バルジャンが改心して名を変えて市長になったいきさつは原作にはありませんが、本作では、純が別人になりすまして弁護士になった経緯を丁寧に描いています」(太田P、以下同)
井浦が扮する涼介は、純が起こした事件の被害者遺族で彼を生涯、追い続ける刑事。
「純と涼介、追われる者と追う者の心理戦が展開されますが、単なる敵対関係としては描いていません。ふたりは1度は心を許し、友情で結ばれそうになりますが、涼介にとっては最も憎むべき相手だったのです。
キャスティングでも、この部分の説得力を重視しました。ディーンさんと新さんは、まったく違うタイプではなく、おふたりとも理知的で、スマートで、紳士的。お互いをわかりあえる雰囲気があるふたりなら、運命が違えば友情が生まれ信頼で結ばれたかもしれないのに、敵対することになった悲劇を演じていただけると思いました。
また、純の青年期を演じる吉沢亮さん、純の親友・拓海役の村上虹郎さんたちのフレッシュで胸が切なくなるような物語にもご注目ください」
ドラマは第1幕が平成3~7年の神戸、第2幕が同16年の東京、第3幕が同30年の福島をそれぞれ舞台にした3部構成で描く。
主要キャストだけで17人
主要キャストだけで17人という本作は、出演者が入れ替わり立ち替わりでクランクイン、クランクアップする撮影現場となった。
「誰ひとり欠けても成り立たない物語を作っているのを強く実感しました。純の青年期を演じた吉沢さんとディーンさんは共演シーンはありませんが、吉沢さんの演技でディーンさんは純の記憶を作るというように、作用しあっているんです。
共演経験のあるディーンさんと新さんは仲がよく、新さんのインスタにディーンさんが登場することもありました。でも、バディではないので適度な距離感、緊張感も大切にされていたようです」
純が拓海として生きるきっかけの阪神・淡路大震災のシーンには細心の注意を払った。
「フィクションとノンフィクションが混同してしまうような形での実際のニュース映像を使用はしないと決めていたので、地震の揺れは専門家の安全指導のもとで再現し、撮影しました。
純は、自分のためというより拓海の命を預かって、唯(山本美月)に娘の梢(清原果耶)を託されて生きた。そんな純にも自分の人生を生きる日が訪れるのか? 家族や親友、恋人など大切な人を思いながら見ていただけたらと思います」
自転車で逃亡した希代の悪女を彷彿
無認可保育園を経営する田辺真澄を演じる長谷川京子も、こだわりのキャスティング。
「迫力と美しさを兼ね備えた長谷川さんにしか演じられないと思い、何度もお願いをして受けていただきました。金子ノブアキさんが夫を演じる田辺夫婦は、ただ悪いだけではなく、どこか愛嬌があるのがポイントです」(太田P)
真澄が自転車で爆走して逃げるシーンは、平成事件簿のひとつである希代の悪女を彷彿とさせ、要チェックです!
「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」
フジテレビ系 1月6日 日曜夜9時~