「ジャニーズに入ったきっかけ? 女にモテるからですよ」
今ではデビュー組として活躍する男性が、ジュニア時代に語った言葉だ。
「“ジュニアっていうと女が目の色変えるから、面白くってやめられない”だって」
当時記者をしていた友人が、苦笑しつつ教えてくれた。
これに対し、12月28日放送の『金スマ』で「ジャニーズに入ったのは生活を支えるため」と語った滝沢秀明さんの覚悟は、あまりに重い。13歳で入所以来、めきめきと頭角を現し“ジュニアのリーダー”として“黄金期”を築いた滝沢さん。
今夜20年ぶりに復活する『8時だJ』では、滝沢さんのほか、嵐、関ジャニ∞、FOUR TOPS(山下智久、生田斗真、風間俊介、長谷川純)ら黄金期を彩ったメンバーが顔をそろえる。
黄金期をもう一度
プレイヤーとしての人生を返上してでも、滝沢さんが再び望む“黄金期”とは何なのか? 時代が切り替わったのはいつだったのか?
直前に控えた『8時だJ』の放送を前に振り返っておきたい。
ジュニア黄金期とは、滝沢さんが入所した1995年から“タッキー&翼”がデビューする2002年ごろまでを指し、特に盛り上がりを見せたのは『8時だJ』の放送が始まった1998年をはさみ前後2年ほどである。
“滝沢秀明”という運命のカリスマを筆頭に、今井翼さん、渋谷すばるさん、小原裕貴さん、山下智久さん、生田斗真さん、風間俊介さん、長谷川純さん、そして現在の嵐、関ジャニ∞らいずれ劣らぬ個性派少年たちがジャニーズに集った。
この時期、少年ゆえの勢いと無邪気さは時代に歓迎され、“ジャニーズJr.”は強力なブランドとして市民権を獲得した。
だが、滝沢さんのインパクトがあまりに強烈だったため、彼の卒業後しばらくは「誰がジュニアを牽引するのか問題」が渦巻くことになる。次期リーダーとしてFOUR TOPSがゆるやかに動き始めるが、ここに新たな風が吹く。
KAT-TUNである。
2001年に結成されたKAT-TUNは“BLACK&WILD”をテーマに掲げ、従来の正統派アイドルとは真逆のアクションで女心をとらえてみせた。
サッカー部のエースが好きだったのに、強引に唇を奪った不良が忘れられない……的な衝撃がKAT-TUNにはあった。彼らが現れた以上、杓子定規な統制は叶わない。
KAT-TUNの登場をターニングポイントに、ジュニアは“ひとりのリーダーが率いる王国”から、“魅力的なユニットがひしめく共和国”の様相を呈し、これは現在も続いている。
滝沢さんが望む“黄金期”とは王国への回帰でなく、ジュニアたちが、テレビにネットにステージに、往事のような存在感を取り戻すことなのだと思う。
滝沢秀明と後輩たち
ところで、“黄金”というキーワードには興味深い符合がある。
滝沢さんは2005年の大河ドラマ『義経』で主演を務め、これが当たり役となった。“義経”は彼の主演舞台『滝沢歌舞伎』でも人気の演目である。
源頼朝に追われた義経は、“黄金の都・平泉”を目指す。これにつき従ったのが、武蔵坊弁慶に伊勢三郎義盛。
演じてきたのは、“弁慶”を大倉忠義さん(関ジャニ∞)、藤ヶ谷太輔さん(Kis-My-Ft2)、岩本照さん(Snow Man)。“三郎”を風間俊介さん、戸塚祥太さん(A.B.C-Z)、深澤辰哉さん(Snow Man)といった面々だ。(※出演者の一部を抜粋)
彼らは“殿”と共に、豪雨の中、壮絶な殺陣を繰り広げる。
主君に忠誠を誓い、死闘をものともせず支え切るさまは、そのまま滝沢さんと後輩たちの姿に被りはしないか。
また、先ごろ“ジャニーズをデジタルに放つ新世代”のキャッチフレーズのもと、YouTubeのPRを務めたジュニアの人気ユニット“SixTONES”。
再生回数380万PVを突破した彼らの初MV『JAPONICA STYLE』のプロデュースを手掛けたのは滝沢さんで、言うまでもなく“JAPONICA”とは「日本の」を意味する。マルコ・ポーロの見つけた日本=ジパング(Zipangu)は“黄金の国”である。
さらに12月28日、グランドプリンスホテル新高輪で開催された滝沢さんのラストステージ『THANK YOU SHOW~epilogue~』には、このSixTONESとSnow Man、Travis Japanの3ユニットが集結。
現在出演中の舞台『JOHNNYS’ King & Prince IsLAND』(帝国劇場)を抜けて駆けつけ、感謝をこめて1曲だけ踊り、劇場に戻っていったという。
ただでさえ緊張の絶えない舞台中、誰にも失礼のないよう慎重に、準備と時間配分をしたのだろう。計り知れない気遣いと敬意、そしてまばゆいほどの愛がそこにある。
嵐ら、黄金期に育ったジュニアたちは、豊かに実り、金の稲穂のようにその頭を垂れている。
冒頭、「女にモテるためにジャニーズに入った」と語った男性も“黄金期メンバー”のひとりで、今夜の『8時だJ』にも出演する。歌に演技に、出色の才能でファンを魅了し続ける彼の、「女に〜」発言は、少年ゆえのイキりやカッコつけだったのだろう。幼さゆえの、愛すべきエピソードだ。
黄金は輝き続け、ジャニーズは終わらない。
そしてまた、滝沢さんらの手により、新たな金の穂が育ちゆく。
プロフィール
みきーる/ジャニヲタ・エバンジェリスト。ライター・編集者。
グループを問わずジャニーズアイドルを応援する事務所担。応援歴は25年超、3日に1度は現場参戦。著書に、『ジャニヲタあるある』(青春出版社)、『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(青春出版社)など。
◆Twitter @mikiru
◆オフィシャルブログ 『ジャニヲタ刑事!』